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「舌の付け根が痛い」と感じる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「舌の付け根が痛い」と感じる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

舌の付け根が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

見立 英史医師

監修医師
見立 英史(医師)

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九州大学歯学部卒業。親知らずの抜歯をはじめ、口腔粘膜疾患、口腔がんの診療を行なっている。日本口腔外科学会指導医・専門医、日本口腔科学会認定医。

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「舌の付け根が痛い」症状で考えられる病気と対処法

食事をしていて舌を噛んだり、熱い食べ物で火傷をして舌が痛い経験はあると思います。しかし、舌の付け根、喉に近いあたりが痛い時、どういう事が考えられるのでしょうか?ここでは、舌の付け根あたりが痛い時に考えられることについて見てみます。

舌の付け根が痛い症状で考えられる原因と治し方

舌の付け根の部分を、舌根(ぜっこん)部と言います。この部分は、舌をしっかり前に出したりしないと見えない場所ですので、普段の歯磨きなどではそう見ることがないと思います。鏡を見ながら、意識して舌を出したらなんとか見える、という方がほとんどです。
この舌の付け根が痛い、という場合に考えられる状況には、次のものがあります。
まず一番多いのが、固い食べ物を食べたり、箸や歯ブラシが当たって傷ができた場合です。熱い食べ物で火傷をした可能性もあります。これらは、思い当たる出来事があれば、はっきりわかると思います。口内炎の可能性を考えて自然治癒を待ちます。
次に考えられるのが、神経系疾患のうち、舌痛症です。これは仕事上の問題・悩みや家族・友人などの人間関係の問題、将来への不安など、様々な要因が心理的ストレスとなり、舌がヒリヒリもしくはジンジンするというものです。まず実際に舌や関連する神経などに特に問題となる疾患が無いことをMRIなどで確認しておくことが必要です。大きな特徴は、四六時中ずっと痛いわけではなく、趣味の時間など楽しい時間など意識が別のものに向いている時は、舌に痛みをほとんど感じないというものです。睡眠の質改善やストレスマネジメントなどを行います。
3つ目としては神経系疾患の中で舌咽神経痛というものです。短時間ですが強い痛みが、舌またはのどの片側、耳にまで起こることがあります。舌咽神経という脳から出ている神経が血管によって圧迫されるという説がありますが、詳細は不明です。
4つ目としては、腫瘍による痛みです。良性腫瘍による可能性よりも悪性腫瘍である舌がんの可能性を常に念頭に置きながら、検査を早めに進めていく必要があります。内視鏡で直接のどを診て確認したり、CTやMRI検査などを行います。
この他にヘルペスの可能性も考えることがありますが、ヘルペスは舌の前の方に多く見られる疾患です。

左・右だけなど舌の片側の付け根が痛い症状で考えられる原因と治し方

左・右だけなど舌の片側の付け根が痛い場合には、先ほどあげたうち、やけど、舌咽神経痛、舌がんなどが考えられます。
早めに歯科医院や耳鼻咽喉科を受診しましょう。夜間や休日などで受診できない場合は、まずは痛み止めを飲んで効くかどうかみてください。冷たい水で痛みが和らぐこともあります。そしてなるべく早めに歯科医院や耳鼻咽喉科を受診しましょう。

口内炎で舌の付け根が痛い症状で考えられる原因と治し方

口内炎も、明らかなエピソードがあればやけどなど傷ができたことを考えますが、舌がんの可能性も頭の片隅には置いておきましょう。病院で受診することで、「専門家が診察して問題ないので良かった」ということになるでしょうし、万一舌がんが見つかった場合も「早期発見、早期治療ができて良かった」と思えた方がいいでしょう。

親知らず抜歯後に舌の付け根が痛い症状で考えられる原因と治し方

親知らずの抜歯後に舌の付け根が痛いことはよくあります。特に下あごの親知らずを抜歯した時に見られます。これは傷が治る過程の関係で、抜歯した部位の周囲が固く引きつり感が出てくるからです。
もう1つ、術後感染の可能性があります。抜歯した部位に食べかすなどが汚染されて感染を起こした場合も、舌の付け根が痛いことがあります。
これらの確認をしてもらうため、抜歯した歯科を受診できるなら、診察を受けましょう。

できものがあり舌の付け根が痛い症状で考えられる原因と治し方

舌の奥の方は意識しないと見えにくい場所です。舌を前に目いっぱい出したりしない
まず、この「できもの」が、片側だけにあるのか、左右両側にあるのかで、大きく変わってきます。左右両側にある場合、味覚のセンサーを見ている可能性があります。有郭乳頭もしくは葉状乳頭と言います。有郭乳頭は球形の丸みのある形をしていて、舌の上側(舌背)にあります。葉状乳頭は舌の側面(舌縁部)にあり、周囲より少し赤みがあります。どちらも皆さんが持っているもので、病気ではありません。
しかし、片方だけにできものがある場合は、注意が必要になってきます。

風邪で舌の付け根が痛い症状で考えられる原因と治し方

鼻水、発熱、咳など、明らかに風邪の症状がある場合は、扁桃炎により舌の付け根が痛い可能性があります。まず風邪の治療を内科で受けましょう。それで痛みが減ればいいですが、残存する場合は耳鼻咽喉科などで別の疾患の可能性を見てもらいましょう。

ストレスで舌の付け根が痛い症状で考えられる原因と治し方

ストレスとの関連で言われているのは舌痛症です。人間関係や仕事関係などだけでなく、睡眠の質の低下なども脳にとってストレスになります。睡眠の質の改善は内科などでの相談になりますし、趣味などの時間を確保することも1案でしょう。また心療内科で睡眠を助ける薬をもらって頓服することで、とても楽になることがあります。

すぐに病院へ行くべき「舌の付け根が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

片方だけ痛みがある場合は、歯科口腔外科・耳鼻咽喉科へ

片方だけに痛みがある場合は、何らかの原因となる疾患が存在する可能性が高くなります。
腫瘍などの可能性も考えられます。腫瘍には休みなどありませんので、仕事や旅行などの用事を可能な限り調整して、歯科口腔外科もしくは耳鼻咽喉科への受診をお勧めします。脳神経内科での精査を指示される可能性もあります。そして早期発見・早期治療によってその後の経過が大きく変わってくる可能性があるからです。

受診・予防の目安となる「舌の付け根が痛い」時のセルフチェック法

  • ・舌の付け根が痛い以外に口内炎がある場合
  • ・舌の付け根が痛い以外に貧血の症状がある場合
  • ・舌の付け根が痛い以外にしこりがある場合

「舌の付け根が痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「舌の付け根が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

舌がん

舌がんは、舌の表面(上皮)の細胞がガン化したものがほとんどです。あごや首のリンパ節に転移することもよくあります。
初期は見た目や痛みの程度が口内炎ととても似ています。そのため、歯科医師によっては口内炎の診断でステロイド軟膏やレーザーを照射することもあります。しかし、これらの治療を漫然と続けても改善しないのが舌がんです。
「経過観察できるタイムリミットは2週間まで」と思ってください。まずかかりつけの歯科医院もしくは耳鼻咽喉科で相談しましょう。仕事がある人はスケジュールを調整してでも時間を確保していただきたいくらいですが、なかなか受診するだけの時間が取れないという場合もあるでしょう。その場合は市販の口内炎の塗り薬を使ってみてください。
歯科医院もしくは耳鼻咽喉科、市販の口内炎に塗り薬、どちらであっても症状が改善する気配が無い、しこりが内側の方向に大きくなっている、痛みが出てきた、などがあればすぐに大きな病院に紹介してもらいましょう。そこで詳しく検査をしてもらいましょう。もちろん舌がんではなく、なかなか治りにくい口内炎というのもあります。

舌咽神経痛

舌咽神経痛は見た目だけでは診断がつきにくいと思います。まずは耳鼻咽喉科で相談してみてください。脳神経内科などより専門の診療科を紹介されるかもしれません。

舌扁桃炎

扁桃とはリンパの集まりで、お口などに外界から入ったウイルスや細菌などへの免疫を担当する、いわば関所のようなものです。口蓋扁桃、咽頭扁桃、舌扁桃などがあります。俗にいう扁桃腺は、咽頭扁桃になります。
この舌もウイルスや細菌などの攻撃を受けやすいため、扁桃があります。そこが炎症を起こしたものが舌扁桃炎です。舌扁桃炎は歯科医院よりも耳鼻咽喉科での相談をお勧めします。喉の方まで炎症が広がっているかもしれません。
治療の基本はお口の中を綺麗にし、歯磨きやうがい薬で清潔に保つことです。なるべく安静にして栄養補給を行い、症状に応じて抗菌薬を内服します。

貧血

鉄、ビタミンB12、葉酸が欠乏すると、貧血気味になります。鉄欠乏性貧血はプランマービンソン症候群とも言われ、赤く平らな舌になったり、えん下が困難になったりします。ビタミンB12および葉酸が欠乏するのは、胃を切除した後や悪性貧血の場合に見られることがあります。血液検査などが必要になりますので、もともと貧血を自覚されている方は内科で詳しく検査してもらいましょう。

「舌の付け根が痛い」ときの正しい対処法は?

舌の付け根が痛い時は、疲労や栄養不足による免疫力の低下などとの関連が考えられます。歯科や耳鼻咽喉科にすぐ行けない時間帯に痛みが出た場合は、水分はしっかり摂取し、栄養も摂るようにしましょう。痛みで飲み込みにくい時はゼリー飲料などを使うのもひとつです。そしてできるだけ体を休める時間を取りましょう。
お口の中を綺麗にすることも大切です。ただ、舌の付け根あたりに痛みが出ていますので、歯磨きは内側の奥の方は難しいでしょう。可能な範囲の歯磨きで構いません。それに加えて、うがい薬を併用することで、歯磨きがしにくいところをできる限り清潔な状態にしましょう。
痛みについては、市販の痛み止めを内服して、効くのか、あまり効かないのか、また効いた場合は何時間くらい効いたか、などを記録しておきましょう。その後の医療機関での治療において、とても参考になる情報です。

「舌の付け根が痛い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「舌の付け根が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

舌の付け根が痛いときは何科の病院を受診すべきですか?

見立 英史医師見立 英史(医師)

舌の付け根が痛い時には歯科医院もしくは耳鼻咽喉科のかかりやすい方を受診してください。診察して必要と判断したら内科、脳神経内科の受診など、その後の検査・治療戦略について説明があります。その指示に従ってください。

舌の付け根を動かすと痛いです。対処法はありますか?

見立 英史医師見立 英史(医師)

まず市販の痛み止めを試してみてください。そして効き具合をみてください。動かさないように安静にすることも一つでしょう。そしてできるだけ早く医療機関を受診してください。

親知らずの抜歯後にベロの付け根が痛い…歯科を再診するべきですか?

見立 英史医師見立 英史(医師)

抜歯した歯科を受診できるなら、診察を受けましょう。術後の経過としてありえる程度なのか、術後感染なのかを確認をしてもらうためにも、歯科の受診をお勧めします。

舌の付け根が筋肉痛のように痛いのですが原因は何でしょうか。

見立 英史医師見立 英史(医師)

舌は筋肉のかたまりです。そこが筋肉痛のように痛いのは、十分考えられますが、ストレスで無意識に舌が緊張しているのかもしれません。舌痛症のたぐいの可能性を考えます。頻発するようでしたら、神経系疾患を考えて、神経内科での相談をお勧めします。

口内炎と舌がんのしこりとの見分け方はあるのでしょうか。

見立 英史医師見立 英史(医師)

初期の舌がんは口内炎と区別しにくいことがあります。そのため、ステロイド軟膏を使ってみて、その反応を見ます。レーザー照射はがんだった場合に細胞を撒き散らす可能性があるため、避けましょう。治っていけば口内炎、治る気配が無さそうなら舌がんを疑って検査を進めます。この検査までのタイムリミットは2週間と思ってください。舌がんの特徴は、まず徐々に大きくなることにあります。これは外側だけでなく、舌の内部に向かって大きくなることもあります。痛みについては酸味などの刺激物で痛みが出たり、触ると痛い時期もあれば、進行して神経にも影響を与えるようになると、舌を安静にしても痛みを感じるようになります。

まとめ

今回は舌の付け根が痛いことについて考えられる疾患をいくつか挙げてみました。この他にも考えられる疾患がいくつかあります。下記のリンクに参考となる記事を掲載していますので、ぜひそちらも参考にしてください。悪性貧血や舌がんの場合、1か月とか悠長に経過観察するとそれだけ治療が大掛かりになったります。何事も早期発見、早期治療です。早めに医療機関で診断をしてもらうようにしましょう。

「舌の付け根が痛い」で考えられる病気と特徴

「舌の付け根が痛い」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

歯科・口腔外科の病気

舌がんは経過観察できるタイムリミットが2週間までと言われるため、2週間経過しても症状が改善しない場合には、医療機関を受診するようにしてください。

「舌の付け根が痛い」と関連のある症状

「舌の付け根が痛い」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「舌の付け根が痛い」症状の他に、これらの症状がある場合も「舌痛症」「口内炎」「抜歯後感染」「ヘルペスウイルス感染症」「舌がん」「舌扁桃炎」「舌咽神経痛」などの疾患の可能性が考えられます。
症状がなかなか改善しない場合には、早めの医療機関への受診をおすすめします。

この記事の監修歯科医師