FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. NEWS
  3. 塩野義製薬の新型コロナ飲み薬「重篤な副作用なし」緊急承認後のデータ初公表

塩野義製薬の新型コロナ飲み薬「重篤な副作用なし」緊急承認後のデータ初公表

 更新日:2023/03/27
塩野義製薬の新型コロナ飲み薬 緊急承認後のデータ公表

塩野義製薬は国産初の新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」について、緊急承認後の使用状況などのデータを初公表しました。このニュースについて中路先生にお話を伺います。

中路 幸之助 医師

監修医師
中路 幸之助(医師)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

塩野義製薬が公表した内容とは?

今回、塩野義製薬が公表したデータの内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

塩野義製薬が開発した新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」は、11月22日に厚生労働省が緊急承認した軽症者に対して使用できる国内初の飲み薬です。塩野義製薬は、ゾコーバの使用状況や副作用に関する市販後調査の中間報告を初めて公表しました。報告によると、11月24日~12月4日までに推定1024人の患者が使用し、そのうち5人から頭痛や下痢などの症状の訴えがありました。重篤な副作用は報告されなかったとのことです。年齢別でみてみると20~50代の使用者が最も多く、全体の75%を占めました。

厚生労働省は塩野義製薬と既に100万人分の供給契約を結んでいますが、12月13日の加藤勝信厚生労働大臣の記者会見で「追加で100万人分の供給契約を結んだ」と発表されました。加藤大臣は「今後感染が拡大した場合でも、必要とする方に、より確実に処方することが可能となる」と契約の必要性を説明しています。

新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」とは?

新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

塩野義製薬が開発した、軽症者や無症状者向けの新型コロナウイルスの増殖を抑制する治療薬です。感染初期に1日1回、5日間自宅などで服用することで重症化を防ぐ効果が期待されています。塩野義製薬はこれまで、中間段階の治験の結果を用いて日本国内での緊急承認制度の活用を目指してきました。しかし、7月に開かれた厚生労働省の専門家による会議では、中間段階の治験で設定していた目標の1つである新型コロナウイルスに特徴的な12症状全ての改善が確認できなかったなどの理由で承認が見送られて継続審議となっていました。そして11月22日、ようやく緊急承認されました。

塩野義製薬が公表した内容への受け止めは?

塩野義製薬が公表した市販後調査の中間報告の内容への受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

ゾコーバの使用については、併用注意や禁忌薬が多く、妊婦には使用できないなどの処方に際する注意事項があります。ただし、実臨床での中間報告では多くの患者さんに適正使用され、特に重篤な副作用はみられなかったとのことでした。現在、ゾコーバを扱えるのは先行して承認されたファイザー社のパキロビッドパックの処方の経験がある医療機関と薬局などに限定されていますが、この中間報告を受けてさらに多くの医療機関や薬局にも処方の適応が拡大される可能性も考えられます。それにあたって、今後さらなる実臨床でのエビデンスの蓄積と普及が望まれます。

まとめ

塩野義製薬が国産初の新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」について、緊急承認後の使用状況などのデータを初めて公表したことが今回のニュースでわかりました。軽症者に使うことができる国内初の飲み薬なだけに、今後も副作用などの情報には注目が集まりそうです。

この記事の監修医師