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漢方薬が新型コロナウイルスに有効「発熱緩和・重症化抑制の可能性」 東北大学の研究

公開日:2022/12/14  更新日:2023/03/27
新型コロナ急性期に漢方薬で発熱緩和・重症化抑制の可能性

11月28日、東北大学は「新型コロナウイルスの急性期症状に対して、漢方薬が発熱緩和や重症化抑制に有効である可能性を2つの研究で明らかにした」と発表しました。このニュースについて中路医師に伺いました。

中路 幸之助 医師

監修医師
中路 幸之助(医師)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

東北大学が発表した研究内容とは?

東北大学が発表した研究内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

11月28日、東北大学は「新型コロナウイルスの急性期症状に対して、漢方薬が発熱緩和や重症化抑制に有効である可能性が2つの研究によって示された」と発表しました。1つ目の研究は、2020年1月1日~2021年10月31日に全国23の医療機関より実施された治療に関するデータや、一般的な感冒様症状の変化に関するデータをカルテから収集して観察研究を実施しました。合計1314例が登録され、そのうち962人の患者データが解析されました。解析対象者のうち528人が漢方薬を含んだ対症療法を実施、434人が漢方薬を含まない対症療法を受けていました。新型コロナウイルスと確定された症例に限定して、ステロイド投与を受けずに発症から4日以内に治療を開始した症例で統計解析をおこなったところ、呼吸不全への悪化のリスクが漢方を使わなかったグループと比べて、漢方を使ったグループで有意に低い結果となりました。なお、使用頻度が多かった漢方薬は、「葛根湯(カッコントウ)」と「小柴胡湯加桔梗石膏(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)」の併用でした。

2つ目の研究では、新型コロナウイルス急性期症状に対する葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏の追加投与の効果と安全性を検証しました。軽度および中等度の新型コロナウイルス患者を、通常治療をおこなうグループと漢方薬の葛根湯エキス顆粒と小柴胡湯加桔梗石膏エキス顆粒を1日3回、14日間投与するグループにランダムに割り付け、その効果を比較検討しました。その結果、漢方薬の葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏の投与によって発熱症状が早期に緩和され、中等症Ⅰ患者は漢方薬投与で呼吸不全への悪化が抑制傾向にあったことが示されました。

この2つの研究結果から東北大学は、「新型コロナウイルス急性期治療において漢方薬は安全に使用できて、発熱緩和および重症化抑制に貢献できる可能性が示された」と発表のポイントを説明しています。

今回の研究内容への受け止めは?

東北大学が発表した2つの研究結果への受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

最初に後方視的な観察研究をおこない、早期に漢方薬を処方された群が呼吸器不全の合併症が少なかったことを確認しています。その上で、今度は2つの代表的な漢方薬を用いて、よりエビデンスレベルの高い研究がおこなわれています。症状の緩和と呼吸器不全の悪化が抑制された結果を得ていることから、段階を踏んだ堅実な研究結果であると考えられます。

今後、治療現場に活かせる可能性は?

今回、東北大学が示した研究結果を治療現場に活かせる可能性はありますか?

中路 幸之助 医師中路先生

いずれの漢方薬も風邪や扁桃腺炎などの臨床現場で用いられている漢方薬であり、これらのエビデンスは実臨床ですぐ応用できる内容であるため、有用な研究結果であると考えられます。

まとめ

11月28日、東北大学は「新型コロナウイルスの急性期症状に対して、漢方薬が発熱緩和や重症化抑制に有効である可能性を2つの研究で明らかにした」と発表しました。2つの研究結果はそれぞれ「Internal Medicine」と「Frontiers in Pharmacology」に掲載されています。