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【新型コロナウイルス】第7波で感染主流が「BA.2.75」に置き換わりか

 更新日:2023/03/27
第7波で感染主流が「BA.2.75」に置き換わりか

第7波による新型コロナウイルス感染拡大の中、厚生労働省専門家組織の会合で、感染の主流がオミクロン株の派生型「BA.2.75」に置き換わる可能性があることが判明しました。このニュースについて武井先生にお話を伺います。

武井 智昭 医師

監修医師
武井 智昭(医師)

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平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

今回のニュースの内容は?

厚生労働省専門家組織の会合で議論された内容について教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

7月27日に開かれた厚生労働省専門家組織、アドバイザリーボードの会合では、新型コロナウイルスの感染状況について「全ての都道府県で前回の感染拡大を大きく超え、急速な感染拡大が継続している。感染者と濃厚接触者の急増で社会活動全体に影響が生じている」との評価を示しています。また、今後の見通しについても「多くの地域で増加が続く、あるいは少なくとも横ばいが見込まれ、過去最多を更新することが予測される」と評価しました。

会合では、感染者急増の一因とされるオミクロン株「BA. 5」とは別の新たな派生型である「BA.2.75」に今後感染の主流が置き換わる恐れがあることについても共有されました。京都大学の西浦博教授が解析した結果、7月上旬時点と同じ割合で感染拡大が続く場合は、新規感染者3万人のうち184人が新たな派生型の「BA.2.75」感染者と想定されるとの結果を示しました。西浦教授は「第7波はBA.2.75に置き換わりながら進展する可能性がある」と指摘しています。

「BA.2.75」とは?

「BA.2.75」について教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

「BA.2.75」はオミクロン株「BA.2」系統の変異ウイルスです。オミクロン株「BA.2」の流れを受け継いでいますが、「BA.5」の変異も見られるという、2つ変異の部分が重なっている特徴から、ケンタウロスとも呼ばれています。

WHO(世界保健機関)によると、2022年5月にインドで初めて報告され、ECDC(欧州疾病予防管理センター)が7月23日におこなった報告によると、既に21カ国で感染が確認されているとのことです。最初に報告されたインドでは、5月の時点では感染者数や死亡者数が低い水準で推移していましたが、その後、増加傾向に転じており「BA.2.75」の拡大が影響している可能性も指摘されています。ただ、インド以外の多くの地域では、日本でもほぼすべてを占めるに至った「BA.5」が感染の主流になっている状態が続いています。ECDCは「BA.2.75」を「注目すべき変異株(VOI)」としています。

「BA.2.75」感染拡大への対策は?

「BA.2.75」の感染拡大を防ぐためにできる対策を教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

オミクロン株と同様に、感染予防にはマスク着用や手洗いなどの標準的感染対策、適度な換気が重要です。それと同時に規則正しい生活を送りましょう。また、基礎疾患がある方は、治療によってコンディションを整えることが大切です。

まとめ

7月27日に開かれた厚生労働省専門家組織の会合で、オミクロン株の派生型「BA.2.75」に感染の主流が置き換わる可能性が示されたことが今回のニュースでわかりました。ケンタウロスとも呼ばれる派生型が感染拡大にどのように関与してくるのか、今後も注視が必要です。

この記事の監修医師