「食物アレルギー」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
公開日:2023/05/13

食は私たちにとって必要不可欠なものです。心身の健康を維持し豊かな生活を送るためにも、さまざまな食材をバランスよく摂取することが大切だといえるでしょう。 しかし、人によっては特定の食材でアレルギー症状を引き起こす食物アレルギーを持っていることで、食事が制限されてしまうケースがあるのです。 乳幼児によくみられる食物アレルギーですが、大人になってからでも悩まされている方は少なくありません。 幅広い年代で起こり得る食物アレルギーとはどのような病気なのでしょうか。今回は、食物アレルギーの症状・原因・治療法などについて詳しく解説いたします。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
目次 -INDEX-
食物アレルギーとは
食物アレルギーはどのような病気ですか?
食物アレルギーとは、特定の食物を摂取した際に、体が過剰に反応しさまざまな症状を引き起こす病気のことです。発症時期は、初めて食物を摂取する乳幼児から大人までと幅広く、生まれ持った体質によるもののため完治が難しいことも特徴です。
また症状の現れ方にも個人差がありますが、まれに命にかかわるような症状が現れるケースもあるため、専門医の指導が推奨される病気でもあります。
また症状の現れ方にも個人差がありますが、まれに命にかかわるような症状が現れるケースもあるため、専門医の指導が推奨される病気でもあります。
さまざまな種類があると聞きましたが…。
アレルギーを引き起こす原因となる食材である食物アレルゲンにはさまざまな種類があり、どの食物でどの程度症状が現れるかは個人によって異なります。アレルギーを引き起こす食物として、以下のものが代表的です。
また、落花生や魚介類(特に甲殻類)は症状が強く現れやすいため注意が必要です。上記以外にも果物やナッツ類など非常に多くの食物アレルギーが存在するため、食物を摂取して体に異変が現れた場合は、早めに病院で相談することをおすすめします。
- 卵
- 牛乳
- 小麦
- 魚介類
- 落花生
- 大豆
また、落花生や魚介類(特に甲殻類)は症状が強く現れやすいため注意が必要です。上記以外にも果物やナッツ類など非常に多くの食物アレルギーが存在するため、食物を摂取して体に異変が現れた場合は、早めに病院で相談することをおすすめします。
大人が発症することもあるのでしょうか?
食物アレルギーは、食物を初めて摂取する乳幼児期に起こりやすいですが、大人になってから初めて発症するというケースも珍しくありません。
大人の食物アレルギーは、初めて食物アレルゲンを摂取することだけでなく、ストレスや疲れなどから免疫力が低下することでも発症します。そのため、これまで問題なく摂取できていた食物で、突然アレルギー反応が現れることもあるのです。
また、乳幼児期に発症した食物アレルギーが軽快せず、大人になっても継続するケースもあります。
大人の食物アレルギーは、初めて食物アレルゲンを摂取することだけでなく、ストレスや疲れなどから免疫力が低下することでも発症します。そのため、これまで問題なく摂取できていた食物で、突然アレルギー反応が現れることもあるのです。
また、乳幼児期に発症した食物アレルギーが軽快せず、大人になっても継続するケースもあります。
発症した場合の応急処置や対処法を教えてください。
食物アレルギーを発症した場合は、症状の程度によって対処法が異なるため、まずは症状をよく観察しましょう。皮膚や粘膜の症状のみで意識がはっきりしており、呼吸や消化器系の異常がみられない場合には、安静にしながらしばらく様子をみます。
しかし、意識が朦朧としている・呼吸がしづらい・犬が吠えるような咳・激しい腹痛や嘔吐など緊急を要する症状がみられる場合には、迷わず速やかに救急車を呼びましょう。エピペンなどのアドレナリン自己注射液を持っている場合は、投与することで症状の軽減が期待できます。
食物アレルギーは、呼吸困難や急な血圧低下によるショック症状などにより命にかかわるケースもあるため、早急な対処が必要です。そのため、エピペンを使うか迷った場合には躊躇せずに投与し、その後専門の医療機関を受診するようにしてください。
ご自身やご家族などが食物アレルギーと診断された場合には、冷静に対処するためにも専門医などから事前に対処法を学んでおくと良いでしょう。
しかし、意識が朦朧としている・呼吸がしづらい・犬が吠えるような咳・激しい腹痛や嘔吐など緊急を要する症状がみられる場合には、迷わず速やかに救急車を呼びましょう。エピペンなどのアドレナリン自己注射液を持っている場合は、投与することで症状の軽減が期待できます。
食物アレルギーは、呼吸困難や急な血圧低下によるショック症状などにより命にかかわるケースもあるため、早急な対処が必要です。そのため、エピペンを使うか迷った場合には躊躇せずに投与し、その後専門の医療機関を受診するようにしてください。
ご自身やご家族などが食物アレルギーと診断された場合には、冷静に対処するためにも専門医などから事前に対処法を学んでおくと良いでしょう。
食物アレルギーの症状と原因
どのような症状がみられますか?
食物アレルギーは、アレルゲンの摂取後15~30分でさまざまな症状が現れることが特徴です。食物アレルギーの症状には個人差があり、引き起こされる症状もさまざまです。主な症状としては以下のものが挙げられます。
上記の症状が重症化すると呼吸困難や血圧低下などの症状が現れ、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があるため注意が必要です。また、食後の運動が引き金となりこれらの症状が現れる食事依存性運動誘発アナフィラキシーもあります。
食事依存性運動誘発アナフィラキシーは、アレルゲンを摂取しただけでは症状が現れず、摂取後2時間以内の運動により腸からの吸収量が増加することで発症につながります。10~20代の青年期に最も多く発症し、重症化することも多いため、学校や職場への周知が不可欠だといえるでしょう。
- かゆみや蕁麻疹などの皮膚症状
- 嘔吐や腹痛などの消化器症状
- 咳や喉の詰まり感などの呼吸器症状
- 動悸やめまいなどの循環器症状
上記の症状が重症化すると呼吸困難や血圧低下などの症状が現れ、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があるため注意が必要です。また、食後の運動が引き金となりこれらの症状が現れる食事依存性運動誘発アナフィラキシーもあります。
食事依存性運動誘発アナフィラキシーは、アレルゲンを摂取しただけでは症状が現れず、摂取後2時間以内の運動により腸からの吸収量が増加することで発症につながります。10~20代の青年期に最も多く発症し、重症化することも多いため、学校や職場への周知が不可欠だといえるでしょう。
アナフィラキシーショックについて教えてください。
アナフィラキシーショックとは、皮膚や呼吸器などのアレルギー症状が進行して、ショック症状を引き起こした状態のことを指します。アレルギー症状は、体内に初めてアレルゲンが侵入した際に作られるIgE抗体によって引き起こされます。
そのため、アナフィラキシーショックは初めてアレルゲンを摂取した際には起こらず、2回目以降の摂取で発症しやすくなるのです。アナフィラキシーショックでは、急激な血圧低下・意識障害・失神・呼吸困難など命にかかわる重篤な症状が現れるため、迅速な対処が必要です。
また、ショック状態にはアドレナリンが有効なため、アナフィラキシーショックが起こる可能性が高い方にはエピペンなどのアドレナリン自己注射液が処方されることもあるでしょう。万が一アナフィラキシーショックを発症した際に即座に対応できるよう、アドレナリン自己注射液の使用法や救急車を呼ぶ目安などをご家族などに周知することも大切です。
そのため、アナフィラキシーショックは初めてアレルゲンを摂取した際には起こらず、2回目以降の摂取で発症しやすくなるのです。アナフィラキシーショックでは、急激な血圧低下・意識障害・失神・呼吸困難など命にかかわる重篤な症状が現れるため、迅速な対処が必要です。
また、ショック状態にはアドレナリンが有効なため、アナフィラキシーショックが起こる可能性が高い方にはエピペンなどのアドレナリン自己注射液が処方されることもあるでしょう。万が一アナフィラキシーショックを発症した際に即座に対応できるよう、アドレナリン自己注射液の使用法や救急車を呼ぶ目安などをご家族などに周知することも大切です。
発症の原因を教えてください。
食物アレルギーは、食物の中に含まれる特有のタンパク質が体内で異物と判断され、体が過剰に反応することで発症します。体内にアレルゲンが侵入すると、体内ではアレルゲンを追い出そうと体が過剰に反応し、その過程でIgE抗体というものが作り出されます。
IgE抗体が同じアレルゲンの刺激に対して過剰に反応してしまう感作と呼ばれる状態になることで、さまざまなアレルギー症状を引き起こすのです。
アレルゲンとなるタンパク質は食材ごとに異なり、どの食材のタンパク質でアレルギー反応が現れるかは人によってさまざまです。
IgE抗体が同じアレルゲンの刺激に対して過剰に反応してしまう感作と呼ばれる状態になることで、さまざまなアレルギー症状を引き起こすのです。
アレルゲンとなるタンパク質は食材ごとに異なり、どの食材のタンパク質でアレルギー反応が現れるかは人によってさまざまです。
食物アレルギーの検査方法と治療方法
どのような検査を行うのでしょうか?
食物アレルギーの検査には、血液検査・皮膚テスト・経口負荷試験があります。
血液検査や皮膚テストはアレルギーの有無や程度を調べる補助的な検査として行われ、診断は問診と経口負荷試験によって下されることが多いです。アレルギーの程度は血中のIgE抗体の量によってクラス0~1(陰性)・クラス2(疑陽性)・クラス3~6(陽性)の7段階に分類されますが、クラスが高いからといってアレルギー症状が必ず現れたり強まったりするというわけではありません。
そのため、診断には問診と経口負荷試験が重要視されるのです。問診ではいつ・何を・どれくらい摂取して、いつ頃どのような症状が現れたかを問われるため、症状が現れた際にわかる範囲でメモを取っておくと診断の手助けとなるでしょう。
経口負荷試験では、問診をもとに実際にアレルゲンとなる食材を摂取して、症状の現れ方や程度を確認します。ごく少量から摂取をはじめ、次第に量を増やしていくことで、どれくらいの量で発症するかを確かめます。
経口負荷試験はアレルギー症状を引き起こすリスクが高いため、早急に対処できるよう日帰り入院で検査を行うことが一般的です。
血液検査や皮膚テストはアレルギーの有無や程度を調べる補助的な検査として行われ、診断は問診と経口負荷試験によって下されることが多いです。アレルギーの程度は血中のIgE抗体の量によってクラス0~1(陰性)・クラス2(疑陽性)・クラス3~6(陽性)の7段階に分類されますが、クラスが高いからといってアレルギー症状が必ず現れたり強まったりするというわけではありません。
そのため、診断には問診と経口負荷試験が重要視されるのです。問診ではいつ・何を・どれくらい摂取して、いつ頃どのような症状が現れたかを問われるため、症状が現れた際にわかる範囲でメモを取っておくと診断の手助けとなるでしょう。
経口負荷試験では、問診をもとに実際にアレルゲンとなる食材を摂取して、症状の現れ方や程度を確認します。ごく少量から摂取をはじめ、次第に量を増やしていくことで、どれくらいの量で発症するかを確かめます。
経口負荷試験はアレルギー症状を引き起こすリスクが高いため、早急に対処できるよう日帰り入院で検査を行うことが一般的です。
治療方法を教えてください。
食物アレルギーは体質によるもののため、根本的な治療は行われず、基本的には食物アレルゲンを避け症状が現れないようにします。誤って摂取し症状が現れた際には薬を用いた対症療法をとることが一般的です。
皮膚のかゆみ・腫れ・蕁麻疹などのアレルギー症状はIgE抗体がアレルゲンと結びつく際にヒスタミンが分泌されることでおこるため、皮膚症状には抗ヒスタミン剤が有効でしょう。また、先述したとおり呼吸器症状や循環器症状などで緊急を要する場合には、エピペンなどの自己注射でアドレナリンを投与すると症状の軽減が期待されます。
しかし、子どもの場合では消化器官の発達に伴いアレルギー症状が現れにくくなることが多いため、免疫療法が行われるケースが増えています。免疫療法は食物アレルゲンをごく少量ずつ摂取することで体を慣らし、将来的にある程度まで食物アレルゲンを摂取できるようになることを目指す治療法です。
しかし、アレルギー症状が現れるリスクも高くなるため、医師の指導を厳守して行うことが重要です。
皮膚のかゆみ・腫れ・蕁麻疹などのアレルギー症状はIgE抗体がアレルゲンと結びつく際にヒスタミンが分泌されることでおこるため、皮膚症状には抗ヒスタミン剤が有効でしょう。また、先述したとおり呼吸器症状や循環器症状などで緊急を要する場合には、エピペンなどの自己注射でアドレナリンを投与すると症状の軽減が期待されます。
しかし、子どもの場合では消化器官の発達に伴いアレルギー症状が現れにくくなることが多いため、免疫療法が行われるケースが増えています。免疫療法は食物アレルゲンをごく少量ずつ摂取することで体を慣らし、将来的にある程度まで食物アレルゲンを摂取できるようになることを目指す治療法です。
しかし、アレルギー症状が現れるリスクも高くなるため、医師の指導を厳守して行うことが重要です。
食物アレルギーは完治しますか?
食物アレルギーは体質によるもののため、残念ながら完治させる治療法はありません。しかし、食材によっては症状が軽減されやすいものもあります。
先述したとおり子どもの場合では免疫療法などの治療を行うことで症状が改善する可能性があるため、免疫療法が可能な場合は積極的に取り組むことをおすすめします。ただし、体質によっては完全除去が必要な場合もあるため、自己判断での摂取は非常に危険です。必ず医師の指導のもと行うようにしましょう。
先述したとおり子どもの場合では免疫療法などの治療を行うことで症状が改善する可能性があるため、免疫療法が可能な場合は積極的に取り組むことをおすすめします。ただし、体質によっては完全除去が必要な場合もあるため、自己判断での摂取は非常に危険です。必ず医師の指導のもと行うようにしましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
食物アレルギーは、重篤な症状が現れた際には注意が必要ですが、少しずつ摂取することで改善するケースもあります。症状の現れ方から必要以上に警戒されることもありますが、栄養面を考慮すると食べられる範囲で食べることも大切なのです。
そのためにも、食物アレルギーが疑われる場合には早めに専門の医療機関で受診し、医師の指導のもと最低限の除去を心掛けてさまざまな食材を摂取するようにしましょう。
そのためにも、食物アレルギーが疑われる場合には早めに専門の医療機関で受診し、医師の指導のもと最低限の除去を心掛けてさまざまな食材を摂取するようにしましょう。
編集部まとめ
食物アレルギーの種類・症状・原因などについて詳しく解説しました。
食物アレルギーは人によって発症する原因や症状の現れ方がさまざまであるうえに、見た目で判断できる病気ではないため、周囲の理解も必要となってくるでしょう。
また重篤な症状が現れた際には命にかかわることもあるため、食物アレルギーを持っている方やそのご家族の方は、症状が現れた際の対処法について理解しておくことも大切です。
完治が難しい食物アレルギーですが、上手に付き合っていくためにも、早めに医療機関などで受診し正しい知識を身につけることをおすすめします。




