「水分の取りすぎ」でむくんでしまう人の特徴とは?対処法についても解説!
公開日:2025/09/17

水分を取りすぎるとどうなる?メディカルドック監修医が水分の一日の摂取量・取りすぎると現れる症状・むくんでしまう原因・対処法などを解説します。

監修管理栄養士:
池田 早苗(管理栄養士)
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病院やクリニックで給食・衛生管理業務に従事後、企業で商品開発や食品表示作成を担当、管理栄養士資格取得後は、介護老人保健施設で栄養管理を通して利用者様に寄り添いながら安心・安全にお食事できるようサポートしています。
目次 -INDEX-
「水分」とは?

水分の一日の摂取量

水分を取りすぎると現れる症状

頻尿・夜間頻尿
昼夜問わずトイレが近くなると、夜中に何度も起きるため睡眠の質が下がります。 就寝前にたっぷりのお茶や水を飲んだり、お酒を飲んでそのまま寝るというようなことを控えて冷えにも注意しましょう。症状が気になる方は、泌尿器科への受診をおすすめします。倦怠感
大量の水を飲むと、血液中のナトリウム濃度が低下(低ナトリウム血症)しナトリウムなどの電解質バランスが崩れて細胞がむくみやすくなり、脳の機能低下や筋力低下、だるさなどが起こることがあります。 症状が気になる方は、まずはかかりつけ医や内科への受診をおすすめします。むくみ(浮腫)
むくみの症状には手足や顔が腫れぼったくなったり靴や指輪がきつくなる、指で押すとへこんでしばらく戻らなくなることや、水分の滞留により数日で体重が急増することもあります。症状が気になる方は、まずはかかりつけ医や内科への受診をおすすめします。水分を取りすぎるとむくんでしまう人の特徴

女性・高齢者など筋肉量が少ない人
筋肉は血液を全身に循環させるポンプのような役割を担っており、筋肉量が少ないと血流やリンパの流れが悪くなりがちです。女性は男性と比べて皮下脂肪が多く、筋肉量が少ない傾向があるため、男性と比べてむくみが出やすくなります。また、高齢者においても加齢により代謝や筋肉量が低下することでむくみが生じやすくなります。体は水分の流れによって老廃物を回収する仕組みがあるため、水分の流れが滞ると余分な水分とともに、老廃物も溜まってしまいます。さらに月経前は女性ホルモンの影響で血管が広がって尿の量が減り、水分をため込みやすくなるので、よりむくみやすくなる傾向にあります。長時間同じ姿勢でいる人
立ち仕事やデスクワークなどで長時間同じ姿勢をとっている人は、筋肉があまり動かされず血液のめぐりが悪くなります。とくに足先は心臓から最も遠い位置にあり、血液のめぐりが必然的に悪くなり、水分が溜まりがちになります。アルコールや塩分を多くとりがちな人
アルコールで水分をとりすぎることで体内のバランスが崩れ、むくみを引き起こしやすくなります。一緒に塩分を多く含むおつまみを食べる習慣がある方はさらにむくみを助長します。水分を摂りすぎるとむくんでしまう原因

血管内の水分量増加
水分を摂りすぎると血管内の水分量が増加し、血管からしみ出す水分量が増加します。また、血中のナトリウム濃度が低下(低ナトリウム血症)し、体は濃度を一定に保とうとして水分を溜め込みやすくなります。塩分との関係
塩分の多い食事は、体内の塩分濃度を調整するために水分を溜め込み、むくみの原因となります。体内に塩分が増えると、のどが乾いてつい水分をとり過ぎてしまいがちですが、体は濃度を一定に保とうとして水分を溜め込みやすくなり、むくみの悪化につながります。水分排出の遅れ
心臓や腎機能が低下すると水分の排出が難しくなってきます。心臓のポンプ機能が低下すると、全身に十分な血液を送ることができなくなることで腎臓への血流が減少して尿の量が減り、体内に水分が溜まりやすくなるためむくみが生じます。特に足や足首、すねなどにむくみが出やすく、体重増加を伴うこともあります。水分摂取でむくんでしまった際の対処法

ストレッチ・マッサージ
つま先立ちやかかとの上げ下げ、足首やひざに向かって揉みほぐしたり、30分から1時間に一回は立って歩く、屈伸運動をするなどふくらはぎの筋肉を刺激するのがむくみ緩和に役立ちます。足湯・入浴
むくみは、冷えなどで血行が悪くなることでも悪化します。血行が良くなると、心臓に血液が戻るときに体の水分や老廃物が回収され、むくみの解消につながります。・足湯:42度前後のお湯に10分〜15分ほど浸ける。
・入浴:38〜40度のぬるめのお湯に10分以上、できれば30分以上浸かること。みぞおちあたりまでお湯につかる半身浴でじわじわと汗をかくことがおすすめです。
ただし、むくみ解消のために熱いお湯に長く浸かり汗をかこうとするのは逆効果。交感神経を刺激して血管を収縮することで、末端の血液やリンパ液の循環悪化になりかねません。
足を高くして休む
横になり心臓より高い位置に足を置くことで、重力によって足に溜まった血液やリンパ液が循環しやすくなり、溜まった水分が戻りやすくなります。10〜15㎝程度の高さが推奨されており、クッションや枕などを利用されると良いでしょう。水分を取りすぎてしまった際の対処法

水分摂取を一時的に控える
のどが渇いていなくても習慣で飲んでしまう人は、体が過剰な水分を処理できるように一時的に摂取を制限し、無理に水を飲むのは控えましょう。もし口の渇きを感じた時は、口をゆすぐだけでも効果的です。塩分・ミネラルの補給
・塩分(ナトリウム)の補給:水分の取りすぎによって体内のナトリウム濃度が薄まっている可能性がある場合は、適度な塩分補給が有効です。梅干し、塩昆布、味噌汁、スープなどを適度に摂取することで、電解質バランスの回復を促します。 ・カリウムの摂取:カリウムには体内の余分なナトリウムを排出する働きがあります。カリウムを多く含む食品(果物(バナナやスイカなど)、野菜(胡瓜、茄子など)、海藻類、きのこ類、いも類など)をとることをおすすめします。ただし、腎疾患や心不全、高血圧などの方は制限がある場合がありますので、自己判断せずかかりつけ医に相談してください。血行促進・代謝アップ
体内の余分な水分排出を促すためには、血行を良くし代謝を上げることが重要です。ウォーキングやジョギング、ストレッチなど体を動かすことで血行が良くなり、体内の水分や老廃物の排出が促されます。水分摂取の際に気をつけたいこと

一度に大量に飲まない
一度に大量の水を摂取すると、吸収が追いつかず排出されにくくなることもあるため、1回の摂取量はコップ1杯(200〜250ml)程度に分けると体にやさしいとされています。起床時や就寝前、食事や入浴の前後など、ご自身のタイミングで一日6〜8回程度に分けて飲むとよいでしょう。飲むものの種類に注意
・カフェイン:コーヒー、紅茶、緑茶などに含まれるカフェインには利尿作用があります。水分補給としてこれらを大量に摂取すると、かえって体内の水分が失われることがあります。 ・アルコール:強い利尿作用があるため水分補給には適していません。特にビールはプリン体が多く、アルコール自体が体内での尿酸産生を促進したり、尿中への尿酸排泄を妨げるため、血液中の尿酸値が上昇して痛風(高尿酸血症)のリスクを高めます。痛風予防には十分な水分摂取が重要ですが、水分補給の種類には注意が必要です。 ・糖分の多い飲料:ジュースや清涼飲料水などの甘い飲み物を習慣的かつ大量に摂取し続けると、「ソフトドリンクケトーシス」と呼ばれる状態を引き起こすことがあります。これは、糖分の過剰摂取によって血糖値が急上昇し、インスリンの分泌が追いつかなくなることで、体がエネルギー源として脂肪を分解し、ケトン体が大量に産生されることにより起こります。この状態になると、強い口渇や倦怠感、脱力感、吐き気・嘔吐などの症状がみられることがあります。特に糖尿病の診断を受けていない方でも、過剰な糖質摂取が原因で発症することがあるため注意が必要です。糖分の多い飲み物が習慣化している場合は、水や白湯、麦茶などの無糖の飲料に置き換えるよう意識してみましょう。汗をかいたら塩分も一緒にとる
高温環境下やスポーツ、体調不良時など、発汗が多いときや下痢、嘔吐の症状がある際には、水分と一緒に塩分も多く失われます。水だけを意識して補給すると、体内の塩分濃度が低下し、体液のバランスが崩れる可能性がありますので、スポーツドリンクや経口補水液、塩飴や塩タブレットなどを利用しナトリウム補給も意識しましょう。「水分の取りすぎ」についてよくある質問

ここまで水分の取りすぎについて紹介しました。ここでは「水分の取りすぎ」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
一日に水分を2L〜3L摂取するのは飲み過ぎでしょうか?
池田 早苗
一日に必要な水分摂取量は一般的に約2.5Lとされています。このうち約1Lは食事から自然に摂取されるとされており、残りの1〜1.5L程度を飲料で補うのが目安とされています。 ただし、気温が高い日や運動・発汗が多い場合などには、飲料から2L以上の水分をとることが必要になることもあります。そのため、2〜3Lを飲み物から摂取することが必ずしも飲みすぎとは限りません。 水分摂取量は、年齢、性別、体格、活動量、健康状態などにより異なります。ご自身の体調や生活スタイルに応じて、無理のない範囲でこまめな補給を心がけましょう。
まとめ
水分摂取は、私たちが生きていくうえで不可欠な習慣です。しかしたくさん飲めば良いというものではなく、自分に必要な量をこまめに少量ずつ、適切なものを摂取することが大切です。ご自身の体調や生活スタイルに合わせて賢く水分補給をしていきましょう。もしむくみや体調面など気になる症状が続くような場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。「水分」と関連する病気
「水分」と関連する病気は13個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。消化器系の病気
循環器系の病気
内分泌系の病気
- 抗利尿ホルモン異常(SIADHなど)
- 低ナトリウム血症
- ソフトドリンクケトーシス
泌尿器系の病気
「水分」と関連する症状
「水分」と関連している、似ている症状は15個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。関連する症状
- むくみ(浮腫)
- 倦怠感・だるさ
- 頭痛、吐き気
- 体重増加
- 腹部膨満感
- 意識障害、けいれん
- 多飲症
- 口の渇き(口渇)
- めまい・たちくらみ
- 頭痛
- 疲労感・倦怠感
- 尿量減少・尿が濃くなる
- 筋肉の痙攣
- 皮膚乾燥・弾力低下
- 便秘




