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「ペットボトル症候群(ソフトドリンクケトーシス)」の症状・原因はご存知ですか?

 公開日:2023/05/31
「ペットボトル症候群(ソフトドリンクケトーシス)」の症状・原因はご存知ですか?

甘い炭酸飲料やスポーツドリンクなどの飲みすぎによって引き起こされる「ペットボトル症候群」をご存知でしょうか。

この病気は、「ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)」といって清涼飲料水の過剰摂取により急性糖尿病が引き起こされた状態を指します。

甘くて美味しい清涼飲料水ですが、飲みすぎてしまえば血糖値が急上昇し、様々な症状が引き起こされるため注意が必要です。

この記事では、ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)の症状や原因・治療方法・予防方法を解説します。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)とは

自販機

ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)はどのような病気ですか?

ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)とは、糖分が多く含まれた清涼飲料水を大量に飲み続けることにより、ブドウ糖やケトン体の血中濃度が高い状態になってしまう「急性糖尿病」のことを指します。専門的には「ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)」といいます。
甘い飲料を飲み続けることで血糖値が上昇し、著しく喉の渇きを感じるのが特徴です。そして喉の渇きを潤すために、さらに清涼飲料水を大量に摂取し高血糖状態を招くというサイクルによって引き起こされます。重症化すれば意識障害を起こすこともあるため注意が必要です。

発症した場合、どのような症状がみられますか?

ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)の特徴的な症状は、以下の通りです。

  • 倦怠感
  • 眠気
  • イライラ
  • 集中力の低下
  • 著しい喉の渇き
  • 尿量の増加
  • 腹痛・嘔吐
  • 意識の低下

甘い飲料を大量に摂取すると血糖値が著しく上昇し、血糖値を下げるための「インスリン」というホルモンが分泌されます。高血糖によりインスリンが大量に分泌されると、低血糖状態に陥ることがあります。これにより、倦怠感・眠気・イライラ・集中力の低下などがみられるでしょう。重度の低血糖状態では、意識の低下や昏睡状態を招く恐れもあるため注意が必要です。
なお、高血糖の持続によってインスリンの大量分泌が何度も行われているうちに、インスリンの分泌機能が低下してしまうことがあります。インスリンが正常に分泌されずに高血糖が続いた場合、「ケトン体」の血中濃度が高くなります。この状態をケトーシスといい、著しいのどの渇き・尿量の増加・倦怠感・吐き気などの症状を呈するのが特徴です。

ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)の原因を教えてください。

ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)の原因は、糖分の過剰摂取です。糖分が多く含まれる清涼飲料水などを多く摂取することで血糖値が上昇します。血糖値が上昇すれば尿量が増加し、喉の渇きを感じるようになるでしょう。これにより、さらに清涼飲料水を摂取するという悪循環に陥ってしまうのです。
日常的にこのような行動を続けることによって、急性糖尿病が引き起こされます。糖分が多く含まれる飲料とは、コーラなどの炭酸飲料・野菜ジュース・フルーツジュース・スポーツドリンク・糖分を含むコーヒー飲料などが挙げられます。

どのような方がなりやすいのでしょうか?

コーラなどの炭酸飲料(500mⅼ)には、3gのスティックシュガー10本以上の糖分が含まれています。日常的にコーラなどの甘い炭酸飲料を好んで飲んでいる方は、特に注意が必要です。また、健康志向と思われがちな野菜ジュースや100%フルーツジュースも糖分が高い飲み物です。これらを大量に摂取している方もペットボトルケトーシスのリスクが高いでしょう。
さらに、外仕事などでの熱中症対策にスポーツドリンクを大量に飲み続けている方も多いのではないでしょうか。しかし、過剰に摂取してしまえば血糖値が上昇し、ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)のリスクが高まりますので気を付けましょう。甘い飲料を日常的に摂取し、気になる症状がみられる場合には、一度医療機関へ受診することをおすすめします。

ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)の治療方法

水

ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)の治療方法を教えてください。

ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)と診断された場合には、血糖値を下げるためのインスリン療法薬物療法などが行われます。脱水症状が進んでいる場合には、脱水によるショック状態を回避するために輸液を行う必要があるでしょう。
命に関わるような危険な状態を引き起こさないためには、早期に治療を行うことが大切です。思い当たる生活習慣や症状がある場合には、放置せずに検査を受けるようにしましょう。必要に応じて、血糖値の自己測定や尿ケトン体の測定などを行うことが大切です。治療後の注意点については、かかりつけ医の指示に従うようにしてください。

ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)は治りますか?

早期に発見し、治療を行えば治ります。しかし、同じような生活習慣を繰り返してしまえば、再発の可能性は十分に考えられるでしょう。早期に治療を行うことはもちろん、予防を行うことも重要です。
糖分を多く含む清涼飲料水の大量摂取は避け、日常的な水分補給ではミネラルウォーターやお茶を飲むように心がけましょう。糖分の有無を判断するには、栄養表示を参考にしてみてください。

自然治癒することもあるのでしょうか?

ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)が自然治癒することはありません。命に危険が及ぶことも考えられるため、すみやかにインスリンを補う治療を行うことが重要です。ケトン体の血中濃度が高くなり血液が酸性に傾いた場合、ケトアシドーシスという状態になり、昏睡状態に陥ってしまうケースもあるため注意しましょう。
なお、インスリン療法を行って一時的に症状が改善しても、生活習慣が改善できなければ再発してしまいます。

血糖値が高いまま放置するとどうなりますか?

血糖値が高いまま放置すれば、ケトン体が血液中に増加してしまいます。それにより、悪心・嘔吐が引き起こされるでしょう。また、尿量の増加や嘔吐によって脱水症状が引き起こされることもあるため注意が必要です。
重度になれば、呼吸困難や意識障害が起こることもあるため、放置せずに医療機関を受診してください。

ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)の予防

女性

ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)を予防する飲み物の選び方を教えてください。

ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)を防ぐための日常的な飲み物には、糖類が含まれていない飲料を選ぶと安心です。たとえば、ミネラルウォーターや麦茶などです。
しかし、お茶の中でも緑茶・紅茶・ウーロン茶などにはカフェインが含まれています。夏場の暑い時期などは脱水を引き起こすこともありますので、カフェインが含まれない麦茶やルイボスティーなどをこまめに摂ると良いでしょう。

カロリーオフや無糖の飲み物もリスクが高いのでしょうか?

カロリーオフや無糖と表記されていても、糖分が含まれている場合があります。具体的には、以下のように表示基準が設けられています。(飲料100mⅼあたり)

  • ノンカロリー・カロリーゼロ:カロリーが5kcal未満のもの
  • カロリーオフ・カロリー控えめ:カロリーが20kcal未満のもの
  • 無糖・ノンシュガー・糖質ゼロ:糖類または糖質が0.5g未満のもの
  • 微糖・低糖・糖分控えめ:糖類または糖質が2.5g未満のもの

1本あたりの糖分が少なかったとしても、大量に飲み続ければ血糖値は高くなってしまいます。甘い飲料を飲み続けることは避けるようにしましょう。また、普段から飲んでいる飲料の栄養表示を確認することも大切です。

水分補給にはお茶を選べば問題ないのでしょうか?

無糖のお茶であれば問題ありません。しかし、糖分が含まれていないお茶であっても、カフェインが含まれているものがあります。例えば、緑茶や紅茶などです。
カフェインを含むお茶には利尿作用があるため、体内の水分を尿として排出してしまいます。水分補給のために飲むのであれば、カフェインの含まれていない麦茶やルイボスティーなどがおすすめです。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

自動販売機やコンビニなどで手軽に手に入る清涼飲料水を好んで飲んでいる方も多いかもしれません。しかし、過剰に摂取してしまえば、急性糖尿病を引き起こすことがあります。熱中症対策が必要な夏場であっても、甘い飲料だけを大量に飲むことは避けましょう。
日常的な水分補給には、ミネラルウォーターや麦茶を活用するのがおすすめです。

編集部まとめ

女性医師
今回は、清涼飲料水の飲みすぎによって引き起こされる「ソフトドリンクケトーシス(糖尿病性ケトーシス)」について解説しました。

この病気は、日常的に甘い飲料を飲み続けることによって、突然糖尿病を発症してしまうのが特徴です。

甘い炭酸飲料はいうまでもなく、野菜ジュースやフルーツジュースなどにも糖分が多く含まれているため注意が必要です。

さらに、カロリーオフや無糖などの表記がある飲料でも、糖分が含まれていることがあります。

知らず知らずのうちに血糖値が上昇することが考えられますので、栄養表示を確認することも大切です。

この記事の監修医師