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「βカロテンが1番多い野菜」はご存じですか?不足すると現れる症状も管理栄養士が解説!

 公開日:2025/10/09
「βカロテンの多い野菜」はご存じですか?不足しやすい人の特徴も管理栄養士が解説!

βカロテンの多い野菜とは?メディカルドック監修医がβカロテンの多い野菜・種類・一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・不足しやすい人の特徴・効率的な摂取方法などを解説します。

都々地尾 ゆき

監修管理栄養士
都々地尾 ゆき(管理栄養士)

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介護老人保健施設で給食管理や栄養管理業務等、約10年間従事しました。その後、管理栄養士の資格を取得し、現在は同施設で栄養ケアマネジメント業務やおやつレクを担当しています。日々の食事を楽しんでいただけるよう、心を込めてサポートしています。

「βカロテン」とは?

「βカロテン」とは?

植物性食品に多く含まれる脂溶性色素、カロテノイドの一種で、レチノールと同様の活性を持つプロビタミンA(ビタミンAの前駆体)です。プロビタミンAは体内でビタミンAに変換されます。β-カロテンは、体がビタミンAを必要としない時にはビタミンAには変換されず、そのまま主に脂肪細胞に貯蔵されるか、もしくは排泄されます。プロビタミンAの作用の他に、抗酸化作用があり、体内の活性酸素を減らす効果も期待できます。

βカロテンの一日の摂取量

βカロテンの一日の摂取量

日本人の食事摂取基準(2025年版)には、βカロテンとしての摂取量については特に定められていません。ビタミンAの推奨量に、レチノール活性当量として算出され含まれています。 〈ビタミンA〉
成人男性の推奨量
18~29歳 850µgRAE/日 30~64歳 900µgRAE/日 65~74歳 850µgRAE/日 成人女性の推奨量
18~29歳 650µgRAE/日 30~74歳 700µgRAE/日 ※妊婦の付加量:+80µgRAE/日(胎児へのビタミンAの移行蓄積量を付加)
 授乳婦の付加量:+450µgRAE/日(母乳中に分泌される量を付加)
また、ビタミンAとして耐容上限量が定められていますが、プロビタミンAであるβカロテンなどのカロテノイドについては、通常の食品からの摂取による過剰障害は報告されていないため、耐容上限量の算出には含まれていません。 ただし、サプリメントなどによって高用量のβカロテンを摂取した場合、皮膚が黄色くなる「カロテン血症」が起こることがあります。また、喫煙者においては高用量のβカロテン摂取が肺がんのリスクを高める可能性が示された研究もあるため、摂取源や量には注意が必要です。過剰摂取を避けるためにも、基本的には食品からの摂取を心がけましょう。

βカロテンの効果

βカロテンの効果

抗酸化作用

βカロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換される栄養素ですが、それ自体が強い抗酸化作用を持つことでも知られています。抗酸化作用とは、体内で発生する活性酸素を抑制し、細胞の酸化ダメージを防ぐ働きのことです。βカロテンの摂取により、動脈硬化やがんなど生活習慣病の予防に役立つとされています。

免疫機能の強化

ビタミンAは粘膜の材料となります。粘膜がしっかり働くことで、細菌やウイルスの侵入を防ぎ免疫力アップに繋がります。

発がん物質の抑制

発がん物質が体内で作られるのを阻止する働きがあると言われています。

目の健康を守る

暗い場所で目が見えにくくなる夜盲症の予防に役立ちます。視細胞の機能を維持し、視力低下予防に役立ちます。

美肌効果・肌トラブル予防

抗酸化作用により、紫外線や酸化から肌を守る効果があります。乾燥肌や肌荒れの予防に役立ちます。

βカロテンの多い野菜

βカロテンの多い野菜

可食部100g当たりに含まれるβカロテンの多い野菜を、ランキング形式でお伝えします。

1位 青しそ(大葉)

100gあたり11000μg含まれています。ただし、一回に食べる量は少ないため、冷奴や納豆、そうめんなどの薬味に使用したり、ツナと一緒におにぎりに混ぜたりと、こまめに食べると良いでしょう。ゴマ油やオリーブオイルを垂らすと、より効果的に摂取できます。

2位 モロヘイヤ

100gあたり10000μg含まれています。茹でて刻むことで粘りが出て吸収率が高まるため、お浸しがおすすめです。βカロテンだけでなくカルシウムや鉄も豊富に含まれます。

3位 人参

100gあたり〈皮つき生〉6900μg、〈油いため〉9900μg含まれています。生で食べるよりも油と一緒に加熱することで吸収率が高まります。人参のきんぴらや、ポタージュ、キャロットラペなどがおすすめです。

4位 ほうれん草

100gあたり〈生〉4200μg、〈油いため〉7600μg含まれています。人参同様、生よりも加熱することでより効果的にβカロテンが摂取できます。ほうれん草のバター炒めやごま和えにすると良いでしょう。

5位 パセリ

100gあたり7400μg含まれています。1位の青しそ同様、一回に食べる量が少ないため、こちらもこまめな摂取をおすすめします。生のまま刻んで、サラダのドレッシングやソースに入れると、色どりも風味も良く食べられます。

βカロテンが不足すると現れる症状

βカロテンが不足すると現れる症状

夜盲症

暗くなると視力が低下し、また暗さに目が慣れるのがおそくなる症状が現れます(とり目)。βカロテンやビタミンAを含む食品を摂取することを心掛け、不安であれば眼科を受診してください。

皮膚や粘膜の乾燥・角化

ビタミンAは粘膜の材料となるため、不足すると肌がカサついたり、鼻や喉の粘膜が弱くなります。体内でビタミンAに変換されるβカロテンを多く含む食材を、油と一緒に摂ることで吸収率が高まります。耳鼻咽喉科を受診すると良いでしょう。

免疫力低下・風邪をひきやすい

鼻や喉の粘膜が弱くなることで、細菌やウイルスへの抵抗力が弱まり、風邪や感染症にかかりやすくなります。ビタミンCやビタミンEと一緒にバランスの良い食事を心掛けてください。酷い場合は、内科を受診してください。

βカロテンが不足しやすい人の特徴

βカロテンが不足しやすい人の特徴

偏食が多い

食事が炭水化物や肉中心で、コンビニや外食が多い人は野菜の摂取が少なくβカロテンも不足する可能性があります。

緑黄色野菜の摂取が少ない

野菜を食べていても緑黄色野菜はほとんど食べない方も、βカロテンが不足する可能性があります。

ダイエット中の人

ダイエットで脂質を制限しやすいため、吸収率が弱くなり不足する可能性があります。

βカロテンの効率的な摂取方法

βカロテンの効率的な摂取方法

βカロテンと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

βカロテンは脂溶性ビタミンのため、油脂類や脂質を多く含む食品を一緒に摂ることで、吸収率が高まります。加熱することでも吸収率が高くなるので、炒め物や揚げ物、茹でてごま油やオリーブオイルをかけて食べると良いでしょう。また、βカロテンと同じ抗酸化ビタミンである、ビタミンCやビタミンEと一緒に摂ることで相乗効果が高まり、抗酸化力がアップします。ただし、油の過剰使用は体重増加に繋がる恐れがある為、使い過ぎには注意が必要です。

βカロテンと一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品

一緒に摂取すると効果を下げる食品や栄養素は特に報告はありませんが、バランスの良い食事を心掛けることが大切です。

βカロテンの効果を高める摂取タイミング

現時点でβ-カロテンの摂取タイミングによる吸収率の差については明確な報告はありません。ただし、リコピンなど一部のカロテノイドでは朝の吸収率が高いとの報告もあり、同様の可能性はあります。

「βカロテンの野菜」についてよくある質問

「βカロテンの野菜」についてよくある質問

ここまでβカロテンの野菜などを紹介しました。ここでは「βカロテンの野菜」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

毎日食べたほうがいいβカロテンの多い野菜はありますか?

都々地尾 ゆき都々地尾 ゆき

緑黄色野菜にはβカロテンが豊富に含まれていますが、特に、ランキングに入っている人参は、スーパーでも手軽に購入でき調理もしやすく油との吸収率も高いためおすすめです。皮の近くにβカロテンが多く含まれている為、できるだけ皮ごと調理すると良いでしょう。緑黄色野菜を毎日食事から摂取することが望ましいですが、忙しい場合は、1杯のキャロットジュースにオリーブオイルを少量垂らして飲むのも効果が期待できるでしょう。

まとめ

β-カロテンは主に緑黄色野菜に含まれていて、体内で必要に応じてビタミンAに変換される栄養素のため、たくさん摂取してもビタミンAの過剰摂取にはつながらず安心です。ただし、ビタミンAはβカロテンとは異なり過剰症が起こる可能性もある為、サプリメントを使用する際には注意が必要です。日頃の食事を気を付けていれば過不足なく摂取できる栄養素なので、バランスの良い食事を心掛けると良いでしょう。

「βカロテン」と関連する病気

「βカロテン」と関連する病気は8個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

眼科の病気

皮膚科の病気

内科・耳鼻咽喉科の病気

「βカロテン」と関連する症状

「βカロテン」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 夜間視力低下
  • 肌荒れ
  • 乾燥肌
  • 風邪をひきやすい

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