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「蕁麻疹と湿疹の違い」はご存知ですか?蕁麻疹・湿疹を発症しやすいの特徴も解説!

 公開日:2025/02/19
「蕁麻疹と湿疹の違い」はご存知ですか?蕁麻疹・湿疹を発症しやすいの特徴も解説!

蕁麻疹と湿疹はどちらも皮膚にあらわれる症状ですが、それぞれ異なる原因や特徴があります。また、誰にでも起こりうる病気です。

症状が繰り返されることで身体的にも精神的にも負担が増すため、原因を特定し適切な治療や原因の回避を行うことが重要になってきます。

この記事では、蕁麻疹と湿疹の違い、症状や原因について解説します。

また、治療法やなりやすい方についても解説していますので、あわせて参考にしてみてください。

高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

蕁麻疹について

かゆみがある女性

蕁麻疹の症状はどのようなものですか?

蕁麻疹の症状には次のようなものが挙げられます。

  • 突然皮膚の一部が赤く盛り上がる
  • 数十分〜数時間以内に症状は治まり、短時間で跡を残さず消える
  • チクチクした痛みやヒリヒリした焼けるような痛みがある
  • 形は円形・楕円形・線状・花びら状など
  • 赤くならずに瞼や唇が腫れる

蕁麻疹で見られる赤みは蚊に刺されたときの状態によく似ているとされています。蚊に刺された場合は、茶色くシミが残ってしまったりするのに対し、蕁麻疹は跡形もなく消えてしまうのが特徴です。また、膨らみ方が全体に平べったいのも特徴の一つです。赤くならずに瞼や唇が腫れるのは、血管性浮腫と呼ばれる蕁麻疹の特殊型の症状になります。通常の蕁麻疹は、皮膚の表層の血管が反応して症状があらわれるのに対し、血管性浮腫は皮膚の深いところの血管が反応します。そのため、境界のはっきりした腫れではなく、赤みもはっきりしない皮膚の腫れとしてあらわれるのが通常の蕁麻疹との違いです。手や足などにあらわれることもありますが、特に眼や瞼を初めとする顔面にあらわれることが多いです。また、かゆみがなく、一度あらわれると消えるまでに2〜3日かかることがあります。何週間も皮疹が出たり消えたりする状態が1ヶ月半以上続く場合は慢性蕁麻疹の可能性があります。

蕁麻疹の原因は何ですか?

蕁麻疹の原因は、大きく特定の刺激が原因で引き起こされるもの原因が明確でないものの2種類に分けられます。実際には、原因が特定できない場合が多く、原因が判明するケースは全体の1〜3割ほどです。特定の刺激によって発症する蕁麻疹には、アレルギー性非アレルギー性の2種類があります。アレルギー性の主な原因として次のようなものが挙げられます。

  • 青魚(サバ・アジ)
  • タケノコ
  • 甲殻類(エビ)
  • 果物

一方、非アレルギー性の蕁麻疹の主な原因としては次のようなものが挙げられます。

  • 摩擦や圧迫
  • 寒冷や温熱・日光
  • 発汗・入浴
  • ストレス

アレルギー性蕁麻疹の場合は、疑わしい食べ物や食べ物のエキスなどを用いた皮膚検査、または血液検査により簡単に原因の特定ができます。それに対し、非アレルギー性の蕁麻疹の場合は食べ物の食べ方や量、消化管の吸収のされ方などに大きく影響を受けることが多いため、皮膚や血液を用いた検査では原因を明らかにできません。何週間も繰り返してあらわれる蕁麻疹の場合は食べ物が原因となっていることがほとんどないといわれているため、ほかの原因を探す必要があります。このように蕁麻疹は原因によってさまざまなタイプに分類され、それぞれに異なる対処法が必要となります。

蕁麻疹はどのように治療しますか?

蕁麻疹の治療法は薬物療法症状の原因を特定し回避する方法の2つに大きく分けられます。薬物療法では、抗ヒスタミン薬または抗ヒスタミン作用がある抗アレルギー薬が用いられることが一般的です。原因物質のヒスタミンが血管や神経に働くことでアレルギー症状がでているとされているため、この作用を抑える抗ヒスタミン薬が用いられます。薬にはさまざまな種類がありますが、中でも内服薬・注射薬の効果が期待できるといわれています。ただし、抗ヒスタミン薬には眠気やめまいなどの副作用があるため、運転をされる方や機械類の操作を行う方は注意が必要です。また、前立腺肥大や緑内障の方も抗ヒスタミン薬によって症状悪化の可能性があります。担当の医師と相談をしながら薬の使用を検討していきましょう。

蕁麻疹になりやすいのはどのような人ですか?

蕁麻疹になりやすい人の特徴は以下のとおりです。

  • アレルギー体質
  • ストレスに敏感
  • 肌が敏感
  • 感染症にかかりやすい

アレルギーに反応しやすい体質の方は、その体質が遺伝する傾向があるとされていますが、具体的なアレルギー反応は生まれた後の生活環境のなかで決まってくるといわれています。その生活環境のなかで一定限度の身体的な苦痛を超えると、ストレスも蕁麻疹を悪化させる要因となってしまいます。実際に環境の変化により蕁麻疹が出るようになったり、出なくなったりする場合もあるといわれており、なりやすい方は原因を予測し原因の回避が重要です。蕁麻疹の症状が繰り返し現れる場合や、原因が不明の場合は、医療機関での相談や検査をおすすめします。

湿疹について

塗り薬

湿疹はどのような症状ですか?

湿疹の症状はさまざまありますが、大きく分けて炎症・かゆみ・皮膚の状態変化などが特徴です。症状には次のようなものが挙げられます。

  • 皮膚が赤く盛り上がる
  • カサカサまたはザラザラした皮膚
  • 水ぶくれ
  • ただれ
  • ジュクジュクしている

湿疹は急性と慢性の2つに大きく分類されます。急性では赤みやかゆみ、水トラブルなどがあります。それらが慢性化すると皮膚が硬くなり、色素沈着や皮膚が厚くなる状態が起こるのが特徴です。症状が進行すると、二次的な合併症として細菌感染やウイルス感染を引き起こし、患部がさらに腫れたり膿が増えたりする可能性があります。症状が改善しない場合や悪化する場合は、医療機関の受診が望ましいでしょう。

湿疹は何が原因で起こりますか?

湿疹は体質や体調などの内的因子と刺激の強い物質に触れる外的因子が重なり合って原因となり引き起こされる症状です。湿疹の内的因子は次のようなものが挙げられます。

  • 皮膚のバリア機能の低下
  • 発汗
  • 皮脂分泌
  • アトピー要因

外的因子は次のようなものが挙げられます。

  • ハウスダスト
  • 花粉
  • 細菌
  • 薬剤
  • 化学物質
  • 衣類との摩擦

アルコール消毒などの薬剤は、手の水分がアルコールと一緒に気化してしまうのが特徴です。それらから乾燥をまねいてしまい、手荒れが起きやすくなります。その他にも、皮脂分泌が活発になることで起きる乾燥も原因の一つです。手を洗う回数が多い方は、保湿剤を使用し乾燥を防ぎましょう。

湿疹の治療法はどのようなものですか?

湿疹の治療法には、原因の除去丁寧なスキンケア薬物療法などが主に挙げられます。スキンケアによって肌のバリア機能の強化が可能です。皮膚を丁寧に洗い清潔にし、保湿剤で皮膚を乾燥から守るようにしましょう。また、紫外線を避けたり生活習慣を見直して体調を整えることも大切です。薬物療法ではステロイドの外用薬や抗アレルギー薬、保湿剤などが用いられます。ステロイドが皮膚の炎症を改善するのに有効的とされていますが、強い薬剤なので適切な使用が重要です。患者さんの年齢・症状・塗る部位によって使い分けられ、部位によってステロイドの吸収率も異なります。処方された薬は指示された部位以外に塗ることは避けるように気をつけましょう。

湿疹はどのような人がなりやすいですか?

湿疹になりやすい人は次のような特徴が挙げられます。

  • 乾燥しやすい
  • 汗をかきやすい
  • アトピー性皮膚炎

乾燥しやすく肌が敏感な方は、さまざまな刺激によって湿疹が起きやすい状態です。乾燥は季節的なものだけでなく、エアコンや過度の手洗い、入浴時のナイロンタオルなどでの洗いすぎも原因の1つです。また、汗をかきやすい方は汗腺が詰まってしまうことで汗が排出されず、皮下で炎症を起こしてしまうことがあります。このように湿疹は、免疫学的な要因が重なったところにさまざまな刺激が加わることで発症してしまう傾向があります。

蕁麻疹と湿疹の違い

医師の説明

蕁麻疹と湿疹の発疹に違いはありますか?

蕁麻疹は突然皮膚が赤く盛り上がってあらわれますが、湿疹はプツプツとした赤みが段階的にあらわれるのが特徴です。また、蕁麻疹は症状があらわれてから短時間で跡形なく消えるのに対し、湿疹は皮膚に茶色く色素沈着が残りやすいとされています。また、症状の仕組みとして蕁麻疹は表皮の下にある真皮内の血管から水分の漏出が原因で起こりますが、湿疹は表皮に炎症が起こることで症状があらわれます。

蕁麻疹と湿疹のできやすい場所は違いますか?

蕁麻疹は一般的に全身にあらわれますが、血管性浮腫である場合は瞼や口唇にできやすいことが多いです。湿疹では、年齢や種類によってあらわれる場所は異なります。乾燥しやすい場所や汗をかきやすい手や足の裏などにでき、皮脂の分泌が活発な方は頭や生え際に湿疹ができやすいです。生後1年以内の乳児の場合は、頭や顔に湿疹があらわれやすいといわれています。

編集部まとめ

伸びをする女性
蕁麻疹も湿疹も環境の変化などによって起こりうる身近な症状です。

皮膚は自分の身体を守ってくれる重要な組織の一つであることから、異常があれば原因を特定し適切な対策をとっていかなければなりません。

実際に日常生活に支障をきたしてしまうほど重篤化してしまうと生活の質が低下する可能性があります。

症状は身体からのSOSと受け止め、原因の特定や環境の見直しを行うことで、生活の質を向上させていきましょう。

この記事の監修医師