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「アスペルガー症候群を疑う顔つき」はご存知ですか?発症する原因も解説!

 公開日:2025/04/26
「アスペルガー症候群を疑う顔つき」はご存知ですか?発症する原因も解説!

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)は、コミュニケーションや社会的な相互作用に特徴が見られる発達障害の一つです。しかし、「アスペルガー症候群は顔つきに差異があるの?」「どのような特徴があるの?」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

本記事ではアスペルガー症候群の顔つきや特徴について以下の点を中心にご紹介します。

  • アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)とは
  • アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)の顔つき
  • アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)の特徴

アスペルガー症候群の顔つきや特徴について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

伊藤 有毅

監修医師
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)

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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)とは

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)とは

アスペルガー症候群とは何ですか?

アスペルガー症候群は、自閉スペクトラム症(ASD)の一部として位置づけられている発達障害です。かつては、言語や知的発達の遅れがない自閉症として区別されていましたが、2013年の診断基準改訂(DSM-5)以降、ASDに統合されました。
2022年のDSM-5-TRでも正式な診断名としては使用されていませんが、一般的な会話では旧名称が使われることもあります。

この特性を持つ方は、暗黙のルールや比喩表現の理解が難しく、相手の感情を読み取ることに困難を感じることがあります。また、強いこだわりやルーティンへの固執が特徴とされ、新しい環境の変化に適応しにくい傾向があります。
知的発達に遅れがないため発見が遅れることもあり、大人になってから気付くケースも少なくありません。

アスペルガー症候群の原因は何ですか?

アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の原因は、現在のところ明確には解明されていません。しかし、主に遺伝要因と環境要因の相互作用によって発症すると考えられています。
遺伝的要因としては、単一の遺伝子ではなく、複数の遺伝子が複雑に関与しているとされています。

また、環境要因も発症に影響を与える可能性がありますが、具体的な要因は明確になっていません。一卵性双生児の研究では、遺伝的に同じでも両方が必ずしも発症しないことがわかっており、環境の影響も考えられています。

かつては親の育て方が原因と誤解されていましたが、これは科学的に否定されています。近年では、早期療育によって二次的な問題を予防することが重要視されています。

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)の特徴

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)の特徴

アスペルガー症候群にはどのような特徴がありますか?

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症:ASD)の特徴は、大きく分けて以下が挙げられます。

1.社会的コミュニケーションの困難
相手の言葉をそのまま受け取る傾向があり、比喩や暗示を理解するのが難しいことがあります。そのため、場の空気を読まずに発言し、冗談や皮肉を真に受けてしまうことがあります。

2.対人関係の困難
相手の気持ちを察するのが苦手で、不適切な発言をしてしまうことがあります。また、話の流れを無視して一方的に自身の興味のある話題を続けることもあります。

3.強いこだわり
特定の物事に強い関心を示し、それについて深く探求することがあります。ルールや習慣が崩れることに強いストレスを感じることもあります。

4.感覚の偏り
音や光に過敏だったり、特定の食感や触感を極端に嫌うことがあります。このため、特定の環境ではストレスを感じやすくなることもあります。

アスペルガー症候群の顔つきの特徴はありますか?

アスペルガー症候群(ASD)に特有の顔つきというものは医学的には存在しませんが、以下のような特徴がみられることがあります。

1.表情が乏しい
感情と表情を結びつけることが難しく、笑顔や驚きなどの表情を適切なタイミングで表現するのが苦手なことがあります。そのため、周囲から冷たい、感情がないと誤解されることもあります。

2.目が合いにくい
アイコンタクトが苦手な傾向があり、会話の際に目を合わせないことがあります。これは視覚的な刺激を避けようとするためや、対人不安が関係していることもあります。そのため、自信がない、無礼と誤解されることがあります。

3.場にそぐわない表情
状況に合った表情を作るのが難しく、不適切なタイミングで笑ったり、驚くべき場面でも無表情でいることがあります。このため、周囲から違和感を持たれたり、対人関係が難しくなることがあります。

アスペルガー症候群のライフステージの特徴を教えてください

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)は、ライフステージごとに異なる特徴が現れます。

・乳幼児期
目を合わせることが少なく、指さしや微笑み返しが見られにくい傾向があります。抱っこを嫌がる、食べ物の好みに極端な偏りがあるなどの特徴もあります。

・幼児期・学童期
集団行動が苦手で、友達とのコミュニケーションに課題を抱えることが多いようです。興味のある分野には強く集中する一方、決まったルールや予定の変更に抵抗を示すことがあります。

・思春期
対人関係がより複雑になり、いじめの対象になりやすかったり、相談が苦手で孤立したりすることもあります。ストレスが蓄積し、精神的に不安定になりやすい時期です。

・成人期
職場では暗黙のルールの理解が難しく、対人関係に悩むことがあります。適切な支援や環境が整うことで、特性を活かした活躍が可能になります。

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)の治療・接し方

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)の治療・接し方

アスペルガー症候群の子どもとの接し方を教えてください

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)の子どもと接する際は、特性を理解し、環境を整えることが大切です。

・見てすぐわかる環境を整える
スケジュールや行動の流れをイラストや写真で示すと、視覚的に理解しやすくなります。

・指示は短く具体的に
あいまいな表現は伝わりにくいため、「車を箱に入れて」のように具体的な指示を出すと効果が期待できます。
また、「走らない」ではなく「歩こう」など、肯定的に伝えると理解しやすくなります。

・注意を引いてから伝える
肩を軽く叩く、目を合わせるなどして注意を向けてから話すと、伝わりやすくなります。

・できたことを褒める
行動をすぐに褒めることで、自信をつけさせ、よい行動の定着を助けます。

アスペルガー症候群の治療法を教えてください

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)は、根本的に治療する方法はありませんが、以下に気を配ってみましょう。

・療育(発達支援)
子どもの場合、言語や社会的スキルを伸ばすための療育を受けることがおすすめです。個々の特性に合わせたトレーニングを行い、日常生活をスムーズに送れるようサポートします。

・ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)
大人の場合、対人関係のスキルを向上させるSSTが役立ちます。適切なコミュニケーション方法を学び、社会生活のストレスを軽減できます。

・環境の調整
生活や仕事の環境を整え、特性に合った方法で物事を進めることで、困難を減らすことにつながります。

・薬物療法(必要に応じて)
不安や抑うつなどの二次的な症状がある場合、医師の指導のもとで薬を使用することもあります。

アスペルガー症候群を疑ったらどこに相談すればよいですか?

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)の診断や相談が必要な場合、以下の機関に問い合わせてみましょう。

・精神科・心療内科
発達障害の診断は、精神科や心療内科で行われます。心理検査や問診を通じて、特性や困りごとを評価します。受診前に、発達障害の診断を扱っているか確認するとよいでしょう。

・発達障害者支援センター
発達障害のある人やその家族を支援する専門機関です。医療・福祉・教育など幅広い分野と連携し、生活や仕事の悩みに関する相談を受け付けています。

・自治体の相談窓口
市区町村の福祉課などで、発達障害に関する相談窓口が設けられていることがあります。支援機関の紹介や、利用できる制度について案内を受けられます。

早めに相談することで、適切な支援を受けることができ、生活の困難を軽減する手助けになります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)は、個々に異なる特性を持つ発達障害ですが、適切な理解とサポートがあれば、本人も周囲もよりよい関係を築くことができます。
大切なのは違いを受け入れ、それぞれの特性を活かせる環境を整えることです。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでアスペルガー症候群の顔つきや特徴についてお伝えしてきました。アスペルガー症候群の顔つきや特徴の要点をまとめると以下のとおりです。

  • アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)とは、自閉スペクトラム症(ASD)の一部として位置づけられている発達障害の一つ
  • アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)の顔つきには、表情が乏しい、目が合いにくい、場にそぐわない表情をするなどが挙げられる
  • アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)の特徴は大きく分けて、社会的コミュニケーションの困難・対人関係の困難・強いこだわり・感覚の偏りなどの特徴がある

もし、自身や家族が特性に悩んでいるなら、一人で抱え込まず、専門機関や信頼できる方に相談してみましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師