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「炎症性粉瘤」ができる原因・治療法はご存知ですか?医師が監修!

公開日:2022/09/05
「炎症性粉瘤」ができる原因・治療法はご存知ですか?医師が監修!

粉瘤とは、皮膚の下に角質や皮脂がたまった嚢腫(のうしゅ)が作られる皮膚疾患です。そして、粉瘤に炎症や化膿が起こると炎症性粉瘤となります。放置すると進行して、痛みや腫れが強くなる可能性があるため、疑われる場合は早めに皮膚科を受診しましょう。

今回は炎症性粉瘤の症状や原因、治療法について解説します。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。専門領域は皮膚科、美容皮膚科。

炎症性粉瘤とは

炎症性粉瘤とは?

まず粉瘤とはどのような疾患ですか?

粉瘤とは良性の皮膚腫瘍の一種です。皮膚の下に嚢腫と呼ばれる袋状のものが作られ、その中に皮脂や角質が溜まることでできます。
初期の粉瘤に痛みがあることは稀であり、触るとしこりのような感触があります。

では、炎症性粉瘤はどのような疾患ですか?

粉瘤に炎症や化膿が起こった粉瘤を炎症性粉瘤といいます。そして粉瘤にはサイクルがあります。

炎症性粉瘤の症状

サイクル別に、炎症性粉瘤の症状を教えてください。

炎症性粉瘤のサイクルは定常期、炎症期、感染・膨張期、破裂期、治癒期です。

定常期

定常期はどのような状態ですか?

定常期ではまだ、炎症が起きていません。腫れや痛みもなく、粉瘤の状態も落ち着いています。

炎症期

炎症期の症状を教えてください。

炎症期では粉瘤に軽い炎症が起こっています。痛みはない場合が多く、あっても軽いものです。また、粉瘤が硬くなります。

感染・膨張期

感染・膨張期について教えてください。

感染・膨張期には強く腫れて、発熱することもあります。粉瘤の中に膿が発生するため、触ると柔らかい感触がします。触ると痛みがあり、触らなくても痛む場合があります。

破裂期

破裂期にはどのような症状が現れますか?

破裂期には粉瘤の中に膿が溜まり、袋が破裂して膿が外に出ます。

治癒期

治癒期はどのような状態ですか?

破裂期に膿が出たあと、炎症や腫れがなくなります。症状が消えたからといって治療しないと、粉瘤が再発するリスクがあるため、医師の指導のもとで治療を続けましょう。

炎症性粉瘤の原因

炎症性粉瘤の原因を教えてください。

粉瘤に炎症が起こる原因は2つです。1つは圧迫や摩擦などで割れた粉瘤から、溜まっていた皮脂や角質などの内容物が皮膚内に漏れて、異物反応を起こすことで炎症が起こります。こちらが多い原因です。
もう1つは粉瘤の開口部という小さな穴から、細菌が侵入することで炎症が起こります。粉瘤の中には免疫機能を持った細胞がないため、細菌感染に弱いのです。
炎症性粉瘤は全身のどこにでも起こりますが、お尻や背中のように、摩擦がおきたり圧迫されたりする場所で多く起こります。

炎症性粉瘤の受診科目

炎症性粉瘤の受診科目とは?

炎症性粉瘤が疑われる場合の受診科目を教えてください。

炎症性粉瘤が疑われる場合は、皮膚科を受診しましょう。できるだけ炎症が起こる前の、粉瘤の時点で受診するようにしてください。
粉瘤は自然治癒が難しい疾患です。治療を行わないと、炎症が悪化して患部が腫れたり痛んだり、さらには破裂したりなど、病状が悪化してしまう可能性があります。
しかし「ただのできものだから自然に治る」と自己判断して、治療が遅れて悪化させてしまう患者さんが多いようです。病態の進行を食い止めるためにも、できるだけ早期に受診しましょう。薬の処方や手術などの治療は病院でしかできません。
また、粉瘤ができると気になるものですが、触ったり潰したりするのはやめましょう。粉瘤が割れて内容物が粉瘤の外に漏れたり、開口部から細菌が侵入したりして、病態が悪化する可能性があります。

炎症性粉瘤の診断

炎症性粉瘤はどのように診断しますか?

多くの場合、視診です。粉瘤が深部まで到達していたり大きく広がっていたりする場合はCTやエコーなどの画像検査を行うこともあります。

炎症性粉瘤の治療方法

炎症性粉瘤の治療はどのように行われますか?

炎症性粉瘤の治療では主に、内服薬、切開法、くり抜き法の3種類が行われます。

内服薬

炎症性粉瘤の治療方法

どのような薬が処方されますか?

内服薬を用いて保存療法を行う場合、痛みには痛み止めの薬、炎症には抗生物質を処方して様子を見ます。しかし、炎症性粉瘤の原因の大半は、皮脂や角質などの内容物が皮膚内に漏れて異物反応を起こすパターンであり、細菌感染ではありません。
そのため、多くの場合は、抗生物質を服用しても治療の効果は限定的で、根本的な治療にはなりにくいようです。それでも、細菌感染の予防や感染拡大の予防には有効であるため、抗生剤の服用は重要です。
一方で、炎症性粉瘤の原因が粉瘤の開口部から細菌が感染した場合であれば、抗生物質は治療にとても有効です。
炎症が軽い場合は、このような内服薬を用いた保存療法で炎症が治まることもあります。しかし、炎症が進んでいる場合は、あまり効果がありません。薬を飲んでも炎症期から感染・膨張期や破裂期へ進んでしまうこともあります。
その場合は、破裂したあと数か月たってから粉瘤を取り除く手術が必要になります。治療が長期間になるうえに、痛みも長期間続くことになるので、あまりおすすめしません。多くの場合、根本的な治療には粉瘤の袋を取り除く治療が必要です。

切開法

切開法

どのような場合に、切開法を行いますか?

粉瘤の中に膿が溜まって炎症や腫れが強くなっている場合は、切開法を行うことがあります。メスで粉瘤を切開して、中に溜まっている膿や皮脂や角質を取り除きます。これらの内容物を取り除くことで、一時的に炎症や腫れを抑える方法です。
膿や皮脂や角質を取り除くことでゼロにはならないものの、一般的には痛みが引きます。
しかし、粉瘤の袋は残っているので、いずれはまた治療を行わなければなりません。

くり抜き法

くり抜き法について詳しく教えてください。

内服や切開法で症状を抑えることはできますが、粉瘤の袋は残ったままです。根本を治療するためには、袋を取り除かなければなりません。そのために、くり抜き法を行います。なお、くり抜き法は手術です。
くり抜き法では、まず粉瘤に穴を開けて膿や皮脂や角質をすべて抜き取ります。そして、粉瘤の袋もすべて抜き取ることで、根本的な治療ができます。
問題点は、粉瘤の炎症が強いと、袋と皮膚が癒着してしまうため、すぐに手術できないことです。炎症が落ち着いてから数か月かかることもあります。軽めの炎症であれば、問題なく手術できます。
このように、根本的な治療を行うためにはくり抜き法が必要です。そして、くり抜き法を行うには炎症が少ない状態が望ましいため、炎症が進行する前に治療を開始することが望ましいのです。できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。
くり抜き法を行えば縫合する必要もなく、炎症の引きも回復もとても早いため、治療期間も痛む期間も短く済みます。

編集部まとめ

粉瘤とは良性の皮膚腫瘍の一種で、皮膚の下に角質や皮脂がたまった嚢腫(のうしゅ)が作られる皮膚疾患です。粉瘤に炎症や化膿が起こったものを炎症性粉瘤といいます。

粉瘤に炎症が起こる原因は2つですが、大半は圧迫や摩擦などで割れた粉瘤から、溜まっていた皮脂や角質などの内容物が皮膚内に漏れて、異物反応を起こすことによるものです。

診断は多くの場合、視診によって診断されます。

炎症性粉瘤を根本的に治療するには、手術が必要です。内服薬を用いた保存療法や、切開法は症状を抑えても根本的な治療になりません。

炎症が進行していると手術ができない場合もあるため、炎症が進行する前に皮膚科を受診しましょう。できるだけ早く受診することで、治療期間も痛む期間も短くできます。