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「気管支拡張症」を発症する3つの原因はご存知ですか?医師が監修!

公開日:2022/08/09  更新日:2022/10/12
「気管支拡張症」を発症する3つの原因はご存知ですか?医師が監修!

気管支拡張症とは、さまざまな原因で気管支が拡張したまま元に戻らなくなってしまう病気です。症状の中心は咳や痰ですが、ときに発熱がみられることもあります。

気管支拡張症の症状は、風邪とよく似ています。しかし、感染に伴う炎症を反復することで病気が進行してしまう場合もあります。気になる症状があるときは、「ただの風邪」と自己判断せずに、呼吸器内科を受診するのがおすすめです。

今回は、気管支拡張症とはどのような病気なのか、原因や治療法も含めて解説します。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(国家公務員共済組合連合会大手前病院)

プロフィールをもっと見る
2007年大阪市立大学医学部医学科卒業、2009年大阪急性期総合医療センター外科後期臨床研修医、2010年大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、2012年国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、2013年大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、2014年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医員、2021年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長。 著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など多数。 日本外科学会専門医 日本病院総合診療医学会認定医など。

気管支拡張症とは

気管支拡張症とは?

気管支拡張症とはどのような病気ですか?

気管支とは、鼻や口から肺までをつなぐ管のことです。気管支は枝のように分岐し、肺の中まで空気を運ぶ通路の役割をしています。さまざまな原因により気管支が拡張し、元に戻らなくなってしまった状態が「気管支拡張症」という病気です。
気管支拡張症を治療せずに放置すると、気管支の拡張した部分に細菌やカビが増殖していきます。その結果、炎症を起こし、感染を反復することにより病気が進行します。
病気が進行すると、増殖した細菌やカビは肺の中まで広がり、肺炎を起こして肺を損傷してしまう場合もあります。

気管支拡張症の症状

気管支拡張症の症状とは?

気管支拡張症の症状を教えてください。

症状の中心は咳や痰で、発熱がみられることもあります。咳が持続的に出るために呼吸が苦しくなったり、通常ではみられないような粘り気のある黄色や緑色の痰が出たりといった症状がみられます。
また、感染症を引き起こすと痰の量が増加し、炎症によって気管支の血管も増加していきます。その結果、血痰や喀血(かっけつ:咳とともに血液が吐き出されること)といった症状が出る場合もあります。

気管支拡張症が原因で、別の病気になることはありますか?

気管支拡張症に慢性副鼻腔炎を合併することがよくあります。慢性副鼻腔炎を合併すると、慢性的な鼻づまりや膿のような鼻水といった鼻の症状を伴います。
また、気管支拡張症が進行すると、肺炎や肺膿瘍、膿胸といった肺感染症を合併することもあります。

気管支拡張症の原因

気管支拡張症の原因を教えてください。

気管支拡張症の原因は、以下の3種類に分類できます。

  1. 生まれたときから気管支が拡張している先天性のもの
  2. 後天的な原因で発症するもの
  3. 他の病気に引き続き発症するもの

先天性の気管支拡張症

先天的に発症する気管支拡張症について詳しく教えてください。

気管支拡張症が先天的に発症する原因としては、原発性線毛機能不全症候群、嚢胞性線維症、免疫異常といった先天性疾患が挙げられます。
原発性線毛機能不全症候群とは、気道粘膜に発症する先天性の病気で、肺への感染症を反復するのが特徴です。

後天性の気管支拡張症

後天的な原因で発症する気管支拡張症について詳しく教えてください。

後天的に起こる最も重要な原因は、気道感染症です。特に、気管支が発育する乳幼児の間に起こった気道感染症が原因となりやすく、気管支での感染を反復することで気管支拡張症を発症します。
ほかにも、以下が気管支拡張症の原因となる場合があります。

  • 中葉症候群
  • アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
  • 閉塞性細気管支炎
  • Swyer-James症候群
  • 長期にわたる気管支への異物嵌入

他の病気に引き続き発症する気管支拡張症

他の病気に引き続き発症する気管支拡張症について詳しく教えてください。

肺結核、肺化膿症、塵肺といった病気に続いて、気管支拡張症を発症することがあります。

気管支拡張症の受診科目

気管支拡張症の受診科目

気管支拡張症を疑ったときは何科を受診すればいいですか?

呼吸器内科を受診してください。内科のなかでも呼吸器内科は、気道や肺などに起こる呼吸器の病気を専門に扱う診療科です。
風邪のような急性疾患の場合は通常の内科を受診してもいいですが、咳が2週間以上続く場合は、肺炎や喘息といった呼吸器の病気が原因となっている可能性が高いため、呼吸器内科を受診するのがよいでしょう。
また、咳が止まらない、咳がひどくて眠れない、咳が続き呼吸が苦しい、息切れがひどいといった強い症状がある場合も、呼吸器内科を受診するのがおすすめです。

気管支拡張症の性差・発症数

気管支拡張症になりやすいのはどのような人ですか?

気管支拡張症は男性よりも女性に多く、日本では約2万5000人が発症しているといわれています。子どもの頃に気道感染症を繰り返していた人や、慢性副鼻腔炎を有する人が発症しやすいともいわれています。

気管支拡張症の検査

気管支拡張症が疑われた場合には、どのような検査が実施されますか?

咳、痰、血痰、喀血といった症状の確認や、胸部X線検査、胸部CT検査を実施し、気管支が拡張しているかどうかを確認します。
また、感染症が疑われるときには、原因となっている菌の種類を調べるため痰の培養検査を行います。
特に喀血の症状が強いときには、血管の拡張程度を確認するために血管造影を行う場合もあります。

気管支拡張症の治療方法

気管支拡張症はどのように治療するのでしょうか?

気管支に溜まった分泌物は細菌が増殖する場所となり、気道を刺激することで咳症状を引き起こします。そのため、痰を出しやすくする去痰剤の投与や、体位排痰法などの呼吸リハビリテーションによる治療を行います。
自覚症状がほとんど見られないような軽症例は、経過観察をすることもあります。
去痰薬以外の薬物治療としては、炎症を抑制し症状を軽減するためにマクロライド系抗生物質を少量使用する場合もあります。感染症を合併したときには検査で原因菌を特定し、適切な抗生物質を選定して治療します。血痰や喀血がみられる場合は、止血剤を使用します。
薬物治療や呼吸リハビリテーションを行っても喀血が止まらない場合は、気管支鏡的止血法や気管支動脈塞栓術、外科的切除術などの外科的処置を検討します。

気管支拡張症の治療中に気をつけることはありますか?

気管支拡張症の治療でよく使用される去痰薬は、市販の風邪薬等に同じような成分が含まれている場合があります。また、抗生物質のなかには、薬やサプリメントとの飲み合わせによって効果が弱まったり、副作用が出やすくなったりするものもあります。
治療中に市販薬やサプリメントを使いたいときには、担当医、薬剤師や登録販売者に相談してから使用しましょう。
気管支拡張症の治療では、肺の損傷による呼吸不全への進行を防止するのが最も重要です。そのため、感染症状悪化の繰り返しを可能な限りコントロールする必要があり、毎日の治療を続けられるかどうかが治療の成功を左右します。
自宅での呼吸リハビリテーション実施や、飲み忘れのないように薬を飲むなど、患者さんも積極的に治療に参加することが求められます。

編集部まとめ

気管支拡張症とは、気管支が拡張したまま戻らなくなってしまう病気です。症状の中心は咳や痰ですが、血痰や喀血、発熱がみられることもあります。

気管支拡張症の初期症状は風邪とよく似ていますが、病気が進行すると肺を損傷し、呼吸不全に至るケースもあります。そのため、薬物治療や呼吸リハビリテーションなどの治療で症状をコントロールすることが大切です。

子どもの頃に気道感染症を繰り返していた人や、慢性副鼻腔炎をもつ人が発症しやすいとされています。痰や咳が長期間続いている、血痰が出ているなど、心当たりのある人は早めに呼吸器内科を受診しましょう。