「リコピンの効果」を高める摂取タイミングは「朝・昼・夜」どの時間帯だと思いますか?
リコピンの効果とは?Medical DOC監修医がリコピンの効果・一日の摂取量・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。
監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
目次 -INDEX-
「リコピン」とは?
リコピンは野菜や果物などに含まれるカロテノイドの一種で、赤い彩りを与える天然色素です。
リコピンと聞くと、すぐにトマトを思い浮かべる方は少なくないと思いますが、実はトマト以外のさまざまな食品に含まれています。
リコピンは抗酸化作用を持ち、私たちの体の健康面だけでなく、美容面にもよい影響をもたらします。
機能性食品のパッケージやCMなどでリコピンの効果が謳われているのをよく目にしますが、実際はどうなのか気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はリコピンの特徴、効果や摂取のポイントなどを順番に解説します。
リコピンの一日の摂取量
ビタミンAなど一般的なビタミン類と違い、リコピンは食事摂取基準や国が定めた1日の目標量や目安量がありません。リコピンの摂取に関する研究データを見ていきましょう。
- 1日に15mgの摂取により、血中の善玉コレステロールが増えたという報告
- 1日に25mgの摂取で、血中の悪玉コレステロール低下の関連が見られたという報告
- リコピン12mgを含むトマトジュースを飲むことで紫外線によって暗くなった肌の色調が明るくなることが認められた
これらのデータを参考にするとリコピンは1日に15〜25mgを目安に摂取することで、健康面や美容面においての効果が期待できると考えることができます。
リコピンの効果
血中コレステロールのバランスを改善
血中にあるLDLコレステロールは細胞膜を構成する成分の一つとして、私たちの体にとっては必要不可欠なものです。ですがLDLコレステロールが増えすぎると、血管壁にたまり血栓をつくり、心筋梗塞や脳卒中の原因になります。リコピンの摂取によりLDLコレステロールを低下させる効果が期待できます。また、増えすぎたコレステロールを回収し肝臓に戻すHDLコレステロールを増やす効果が期待できることも報告されています。
高血糖を予防
リコピンには慢性的な高血糖を予防する効果が期待できることはご存知でしょうか。食事をとると一時的に高血糖の状態になりますが、健康的であれば時間とともに血糖が少なくなります。しかし、食べ過ぎや運動不足などが原因で慢性的に高血糖が続くことがあると注意が必要です。慢性的な高血糖があるかどうかの指標になるのが、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という血液検査の項目です。1年間のリコピンの継続的な摂取がHbA1cの低下に効果があったという報告があります。
炎症から体を守る効果
リコピンには抗酸化物質として、健康面にさまざまなメリットがあることがわかっています。そのうちの一つが高脂肪摂取による肥満で起こりやすい炎症を抑制する働きです。この作用により体内の酸化ストレスを軽減され、がん、心血管疾患などの病気を予防においては大切な働きとされています。
お肌の美容維持
紫外線によるダメージは肌の赤みや色素沈着、しわ、ニキビなどの肌トラブルの原因になります。リコピンは抗酸化作用をもつため、紫外線ダメージによる赤みや色素沈着などのお肌トラブルを予防し軽減する効果が期待できることがわかっています。
がんのリスクを低下
日本人の二人に一人がかかるといわれているがん疾患は、多くの方にとって身近なテーマといえるのではないでしょうか。そもそも私たちの身体には、健康であってもがん細胞が存在していることがわかっています。そのがん細胞を増殖させないことは、がん予防やがんの進行において重要です。リコピンが前立腺がん患者さんのがん細胞の増殖を抑制した、という報告があり、がん予防の分野でも期待が高まっています。
リコピンを多く含むトマトの健康効果
紫外線によるダメージを軽減
紫外線を浴びることで、肌が赤くなったということは、誰しもが経験があるのではないでしょうか。これは、肌に炎症が起きている状態で、軽度であっても肌にとってはダメージにつながります。リコピンを10〜12週間摂取した結果紫外線による肌の赤みなどの肌トラブルが軽減されたという報告があります。
血中コレステロール対策
悪玉コレステロールが活性酸素などによって酸化すると、酸化LDLという物質になります。酸化LDLは、血管壁を傷つけたり、血管壁に沈着したりすることで血管に塊(プラーク)ができやすくなり、動脈硬化が引き起こされる原因になります。抗酸化作用をもつリコピンを含むトマトを食べることで酸化LDLが減少したという研究が発表されています。
生活習慣病の対策
肥満や2型糖尿病などの代謝性の疾患、動脈硬化などの循環器系の疾患で共通してみられる症状が慢性炎症です。この慢性炎症は、脳卒中や心疾患など命に関わる症状の大きなリスクです。トマトのリコピンの摂取により慢性炎症が抑制される効果があることがわかっています。特に肥満や過体重の方で、高い改善効果が期待できます。
血圧を下げる効果
トマトやトマト製品に含まれるリコピンの継続摂取が、収縮期血圧を下げたという報告があります。血圧が高い状態が続くと脳卒中など命に関わる症状につながるため、放置せず食事で対策をとることはとても大切です。
リコピンを多く含む食品
トマト
ご存知のとおり、トマトはリコピンを多く含む食品の代表例です。品種などによりばらつきはありますが、100gあたりおよそ9mgのリコピンを含んでいます。リコピンは、脂溶性のため油脂と一緒に摂取することで吸収されやすい特徴があることはご存知でしょうか。オリーブオイルやチーズと一緒に摂取することで相乗効果が期待できるという研究結果もあります。
金時人参
リコピンを多く含む野菜の一つが金時人参です。一般的な人参である西洋人参よりも赤みが強く、抗酸化作用が期待できます。ソテーや炒め物・天ぷらなどの油と摂取できる料理で、効率よく摂取することができます。
スイカ
赤肉種のスイカもリコピンを含む食品の一つです。リコピンの含有量は、品種によってかなりの差があります。スイカのリコピンは、生の果実や果汁で摂取することで効率よく摂取することができます。
ピンクグレープフルーツ
リコピンを含む果物の一つとして、ピンクグレープフルーツがあげられます。リコピンは油脂と一緒に摂取することでもより効果が高まることから、オリーブオイルを加えたマリネやサラダにして摂取するのも、効果を高める方法の一つです。
柿
柿にもリコピンが含まれています。ただし、品種によってリコピンを含まないものもあります。少し未熟な果実よりも完熟した果実の方が2倍近くのリコピンを含むという報告もあります。リコピンを効率よくとるのなら、柿は完熟したものを選ぶとよいでしょう。
リコピンの効果的な摂取方法
リコピンを多く含む食品の摂取
習慣的にリコピンを多く含む食品を摂取することで、自然とリコピンの摂取量を高めることができます。トマトやスイカなどの赤い彩りをもつ野菜と果物を、食卓に積極的に取り入れていきましょう。食品での摂取が難しい場合は、リコピンを含むサプリメントを活用するのも方法の一つです。
リコピンと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
リコピンは脂溶性であることから、脂質を含む食品と一緒に摂取することで、吸収がされやすいです。なかでもn-3系、n-9系とよばれる構造をもつ不飽和脂肪酸を一緒に摂取することで生活習慣病の予防、お肌の美容維持などのメリットが期待できます。n-3系の不飽和脂肪酸を含む食品は次のとおりです。
- サンマやサバなどの青魚
- しそ油
- えごま油
- なたね油
- 亜麻仁油
続いて、n-9系の不飽和脂肪酸を含む食品です。
- オリーブオイル
- ココナッツオイル
- アボカド
- アーモンド
リコピンの効果を高める摂取タイミング
リコピンの効果を高める摂取タイミングについては、時間栄養学の研究で明らかになってきました。効果が高いとされる時間は朝といわれています。トマトジュースを朝に飲む場合と、昼や夜に飲む場合とで血液中へのリコピンの吸収量を比較した実験で圧倒的に朝の方が効率よく吸収されることがわかっています。
「リコピンの効果」についてよくある質問
ここまでリコピンの効果を紹介しました。ここでは「リコピンの効果」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
毎日、トマトやトマトジュースを摂取するとどんな効果がありますか?
武井 香七 医師
販売されているトマトジュースは完熟させた果実の果汁を濃縮させたものが多くあります。これは生のトマトよりもリコピンの含有量が多く、リコピンの摂取には優れているためです。トマトジュースを継続的に摂取することで、血液中のリコピン濃度が高くなり、それによる健康へのメリットが期待できます。期待できる効果としては以下があげられます。
善玉コレステロールを増やす
抗酸化作用によるお肌の美容維持、エイジングケア
脳卒中など生活習慣病の予防
編集部まとめ
この記事では、リコピンの特徴や効果、摂取のポイントについてお伝えしました。
リコピンを含む食品といえばトマトがとても有名ですが、トマト以外にもリコピンを含む食品があることや、摂取の方法にもコツがあります。よりリコピンのことを知る機会になれましたでしょうか。
ここではすべてを紹介しきれませんでしたが、リコピンはほかの栄養素と一緒に摂取することで、私たちの健康にとってよりよい影響をもたらしてくれます。
リコピンを含む食品をとるときも、ほかの食品と組み合わせを楽しむことを意識していきましょう。
そうすることでリコピンの効果的な摂取につながるだけでなく、食事全体のバランスが良くなり健康的に過ごすことができます。
「リコピン」と関連する病気
「リコピン」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「リコピン」と関連する症状
「リコピン」と関連している、似ている症状は6個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 肌の老化
- 肌のシミ
- 肌の赤み
- 血糖値が高い
- LDLコレステロールが高い
- HDLコレステロールが低い