「食物繊維をとりすぎる」とどうなる?一日の摂取量も解説!【管理栄養士監修】
食物繊維をとりすぎると起こる問題とは?Medical DOC監修医が食物繊維をとりすぎると起こる問題・不足するとどうなるか・一日の摂取量・効率的な摂取方法などを解説します。
監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
目次 -INDEX-
「食物繊維」とは?
食物繊維は、小腸で消化・吸収されない食物内に含まれる物質とされています。
水に溶ける水溶性食物繊維、溶けない不溶性食物繊維の二つが主なものです。
水溶性食物繊維は小腸で栄養素の吸収速度を緩やかにします。そのため、食後の血糖値があがるのを抑制する効果があります。また血中コレステロールの低下、高血圧の予防にも効果的です。
不溶性食物繊維は水分を吸収して便の容量を増やし、大腸を刺激して便がスムーズに出るようにします。
食物繊維はエネルギー源にはなりませんが、食物繊維自体が低カロリーで肥満予防や腸内環境改善も期待されます。
それにより、生活習慣病の予防効果や大腸がんのリスクを減らすことも可能です。
今回は、食物繊維のとりすぎると起こる問題・不足するとどうなるか・一日の摂取量・効率的な摂取方法などを解説します。
食物繊維をとりすぎるとどうなる?
痩せにくく、太る
水溶性食物繊維は、過剰摂取するとビタミンやミネラルなどの必要な栄養素の吸収も抑えてしまいます。特にビタミンB1は糖質の吸収、ビタミンB2は資質の吸収に有効なビタミンで、ダイエットに必要な栄養素です。抑制してしまうことで、痩せにくくなり太る原因になります。また、食物繊維を含む食べ物のなかにはカロリーが高いものもあります。ナッツ類は食物繊維が豊富ですがカロリーが高いので、野菜やきのこ類などのカロリーが低い食べ物から食物繊維を摂取するといいでしょう。
便秘になってしまう
不溶性食物繊維をとりすぎると、便秘を悪化させることがあります。不溶性食物繊維は、便の容量を増やして、排便を促す働きがあります。しかし、大腸の収縮が強くなって排便がしにくくなるけいれん性便秘に注意が必要です。また不溶性食物繊維をとりすぎることでおならが溜まり、お腹が張る状態になります。そのため、便をやわらかくする効果がある、水溶性食物繊維をとっていきましょう。
下痢を起こしやすくなる
便は、7〜8割が水分で、残り2〜3割が固形物です。固形物は、食物繊維と腸内細菌の残骸などが合わさったものになります。水溶性食物繊維は、体内で水に溶けて、便をやわらかくする効果があります。しかし、とりすぎると水分量が過剰になり、割合が崩れることで下痢を起こしやすくなってしまうのです。また下痢を起こしている際には、不溶性食物繊維の過剰摂取にも注意しましょう。下痢中に、摂取すると腸内を刺激して排便を過剰に促し、下痢の症状が悪化してしまいます。毎日適量を摂取していくことも必要ですが、下痢の際に不溶性食物繊維を過剰摂取しないように気を付けましょう。
食物繊維が不足するとどうなる?
便秘になりやすくなる
便の水分量が減ってしまうと便容量が増えず大腸が刺激されないため、腸内環境が悪くなり便秘のリスクを高めるのです。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維ともに便通を改善する効果があるため、不足であると便秘になることがあります。そのため、ヨーグルトなどの乳酸菌とともに食物繊維の摂取が重要になります。
生活習慣病の発生リスクが高まる
日本人は、生活習慣病の発生率が年々あがっており、特に糖尿病の患者数は増加傾向です。生活習慣病の増加は、炭水化物や脂肪の過剰摂取と運動不足とともに、食物繊維の摂取量が不足しているのが原因のひとつになります。水溶性・不溶性食物繊維問わずに、生活習慣病予防になりますので、積極的に摂取していきましょう。
大腸がんの発生リスクが高まる
ヨーロッパの研究では、食物繊維の摂取量が多いほど、大腸がんのリスクが低くなったと報告されています。食物繊維を多く取ると必ず予防効果が期待できるわけではありませんが、摂取が極端に少ない人では大腸がんリスクが高くなる可能性があります。
食物繊維の一日の摂取量
日本人の一日の食物繊維の目標摂取量は、年齢や性別によって異なります。男性の場合18〜64歳で21g以上、65歳以上で20g以上が目標です。女性の場合は、18〜64歳で18g以上、65歳以上で17g以上が目標になります。
しかし、日本人の食物繊維摂取量は年々減少傾向になっています。1950年頃は一人あたり一日20g以上でしたが、食生活の変化に伴い、現在では平均摂取量は一日あたり14g前後といわれているのです。
目標量を目指すには、意識をして積極的に食物繊維をとっていく必要があります。
食物繊維を効率よく摂取する方法
食物繊維を多く含む食品の摂取
野菜類・穀類・豆類・キノコ類・いも類に多く含まれています。具体的に多く含む食材の一例は以下のとおりです。
- 大麦
- さつまいも
- 納豆
- しいたけ
- キャベツ
- ごほう
- オクラ
- キウイフルーツ
- 干しいちじく
水溶性と不溶性両方を含む食材も多くあります。特に納豆は両方のバランスがよく含まれている代表例です。
食物繊維と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
食物繊維をとるときには、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を増やす栄養素と一緒に摂取することがおすすめです。乳酸菌やビフィズス菌で善玉菌を増やし、食物繊維を摂取することで腸内環境をより高い効果で改善することが可能になります。以下のような多くの発酵食品に、乳酸菌やビフィズス菌は入っています。
- ヨーグルト
- 納豆
- ぬか漬け
また、併せて水分の摂取も積極的に行っていく必要があります。水分をしっかりととることで便に水分が含まれ、便秘を解消する効果を高めます。
食物繊維の効果を高める摂取タイミング
食物繊維は、血糖値を下げる効果が期待され、それ以外にも肥満や高血圧や生活習慣病などにも効果が期待できます。そのため、どの時間に摂取しても、食物繊維自体は良好な効果を発揮できるでしょう。朝であれば、1日の血糖値を下げることが可能です。昼や間食であれば、夕食後の血糖値上昇を抑えることが可能です。夜であれば、糖の吸収と血糖の上昇を抑える効果が発揮されやすくなります。また、排便を促す効果もあるため、1日を通してバランスよく摂取していくのが理想的です。
「食物繊維のとりすぎ」についてよくある質問
ここまで食物繊維のとりすぎについて紹介しました。ここでは「食物繊維のとりすぎ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
食物繊維のとりすぎとなる症状について教えて下さい。
武井 香七 医師
食物繊維は過剰摂取を行うことで、栄養素の吸収を抑えてしまうことや、便秘・下痢などの腸内環境トラブルになります。摂取目安としては、一日3~4gをプラスで摂取することを目標にしましょう。
食物繊維を手軽にとる方法について教えて下さい。
武井 香七 医師
食物繊維を手軽にとる方法として、主食の穀類の置き換えがおすすめです。玄米・麦・発芽米・全粒粉小麦パンなどに置き換えることで、効率的な摂取が可能です。またさまざまな食品に含まれていますが、納豆のように食物繊維と善玉菌を増やす栄養素の両方をバランスよく取れるものを積極的に取り入れていきましょう。野菜は生のままではかさが多くなってしまうので、煮る・茹でるなどを行い、かさを減らすと効率的に摂取できます。
食物繊維のサプリメントはどうなのでしょうか?
武井 香七 医師
食物繊維のサプリメントを摂取する目的としては、便秘改善や血糖値上昇を抑えることが目的の方が少なくないです。食品と違って、過剰摂取してしまう可能性があるため注意が必要です。適正量を守り、身体とサプリメントの相性を確認して使用してください。
編集部まとめ
今回は、食物繊維のとりすぎについてを中心にお伝えしました。
食物繊維を積極的にとる必要があることはよく耳にしますが、過剰摂取によって、下痢や便秘などの症状が出てしまうことを紹介しました。
現在の日本人には食物繊維が足りていないため、基本的には過剰摂取となることは多くはありません。しかし、食物繊維を摂取しているのに便がうまく出ないなど悩まれる方は、摂取量の確認が必要です。
またビフィズス菌や乳酸菌と摂取することで、腸内環境を整えやすくなり、水分と一緒に摂取すると排便もスムーズに行えるようになります。
水溶性・不溶性食物繊維ともに、積極的にとり、きれいな腸内環境で笑顔の生活を送りましょう。
「食物繊維のとりすぎ」と関連する病気
「食物繊維のとりすぎ」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
循環器科の病気
消化器内科の病気
- 大腸がん
- けいれん性便秘
内科の病気
「食物繊維のとりすぎ」と関連する症状
「食物繊維のとりすぎ」と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。