「炭水化物」と「糖質」の違いはご存知ですか?炭水化物の一日の摂取量も解説!
炭水化物と糖質の違いとは?Medical DOC監修医が炭水化物と糖質の違い・炭水化物の一日の摂取量・効果・効果的な摂取方法などを解説します。
監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
目次 -INDEX-
「炭水化物」とは?
炭水化物はたんぱく質・脂質と並ぶ三大栄養素のひとつです。炭素と水素の化合物で、私たち人間が消化・吸収できる糖質と、消化できない食物繊維の総称になります。炭水化物の分類は以下のとおりです。
単糖類(ぶどう糖・果糖・ガラクトースなど)
二糖類(ショ糖・乳糖・麦芽糖など)
少糖類(オリゴ糖)
多糖類(でんぷん・デキストリンなど)
糖アルコール(キシリトール・ソルビトール)
その他(アスパルテーム・アセスルファムK・ステビアなど)
食物繊維(セルロース・ヘミセルロース・ペクチンなど)
体内で消化された炭水化物はブドウ糖に変化し、脳や神経系の活動を支える役割を担います。健康的な暮らしや、仕事・勉強に集中するなど充実した日々を送るためのエネルギー源として必要不可欠な栄養素です。
「糖質」とは?
糖質は炭水化物の分類の1つです。食物繊維以外の6つの糖質がありますが、単糖類と二糖類の2つは糖類として分類されています。糖質が不足するとエネルギーが足りず、疲労感や集中力の乱れが発生します。ブドウ糖の供給不足は、脳や神経系の働きを鈍らせてしまい意識障害につながることも否定できません。一方、糖質の過剰摂取による肥満や生活習慣病のリスクが危惧されています。
「炭水化物」と「糖質」の違いとは?
炭水化物は糖質と呼ばれることもありますが、炭水化物は炭素と水素の化合物で糖質と食物繊維を含んだものの総称です。明確には、消化・吸収できるエネルギー源を糖質(易消化性炭水化物)、消化できないエネルギー源を食物繊維(難消化性炭水化物)として分類しています。そのため、糖質は食物繊維を含まないエネルギー源のみを指します。炭水化物には食物繊維が含まれていると覚えておいてください。
炭水化物の一日の摂取量
炭水化物は、たんぱく質・脂質を含めた一日の栄養バランスのうち50〜65%の割合で摂取することが推奨されています。もちろん、摂取量は性別・年齢・一日の運動量などによって異なります。あくまでも参考ですが、大まかな数値は以下のとおりです。
1,700kcal:215~275g
2,000kcal:250~325g
2,300kcal:290~375g
2,600kcal:325~420g
上記は目標の一日摂取kcaに対して必要な炭水化物の量になります。炭水化物は1gあたり約4kcalです。食物繊維の一日の摂取量で考える場合は以下になります。
20~60代の男性:20g以上
20~60代の女性:18g以上
70代以上の男性:19g以上
70代以上の女性:17g以上
自身に合った一日の必要エネルギー数を知りたい方は計算式で数値を求めることができます。必要エネルギー量=身長(m)×身長(m)×22×身体活動量で計算できます。身体活動量の数値は以下のとおりです。
25~30:大部分を座位にて過ごす
30~35:座位中心だが通勤・家事・軽い運動を含む
35~40:力仕事・活発な運動習慣あり
例えば身長160㎝でデスクワークの方を計算式に当てはめると、1.6(m)×1.6(m)×22 ×30〜35=1689〜1971kcalになります。つまり一日に必要な炭水化物摂取量は215〜275gです。コンビニおにぎり(100g)一つあたりの炭水化物は約37gなので、一日で5.8個のおにぎりが必要となります。
炭水化物の効果
機能の維持
炭水化物に含まれるブドウ糖は、血液中ですぐにエネルギーとして利用される速効性を持っています。
脳
神経組織
赤血球
腎尿細管
精巣
酸素不足の骨格筋
上記はぶどう糖しかエネルギー源として利用できない組織です。機能を正常に維持するためには、炭水化物の摂取は必要不可欠です。また、炭水化物はエネルギー源に変換されて筋肉や肝臓にも蓄えられます。しかし、貯蔵量に限界があるため、過剰摂取には注意が必要です。必要な摂取量を守れば、仕事・勉強・運動などのパフォーマンスや集中力アップが期待できます。
消化・吸収・代謝を支える
炭水化物に含まれる糖質は、消化管腔内で唾液や膵液に含まれるアミラーゼにより消化されて少糖類や単糖類に変化します。糖類になったものは細胞や血管を経て吸収され、代謝されるとともに各臓器に血糖として送り込まれるのです。つまり、消化・吸収・代謝と3つの機能を支える働きを行っています。
生活習慣病の予防
炭水化物に含まれる食物繊維には、生活習慣病を予防する効果があります。食物繊維の一日目標摂取量を維持することで、便秘の改善や空腹時の血糖値低下などが報告されています。ほかにも、心筋梗塞・脳卒中・乳がんなどの予防にも効果があり、食物繊維の摂取量が増えて生活習慣病につながるリスクもほとんどありません。ただし、炭水化物には糖質も含まれているため、炭水化物のみで食物繊維を取ろうとすることは控えてください。また、毎日の食生活や栄養バランスを整えて習慣化することが生活習慣病の予防に効果的です。無理のない範囲で、栄養バランスを考えた食事を心がけましょう。
炭水化物の効果的な摂取方法
炭水化物を多く含む食品の摂取
炭水化物を多く含む食品は主食となるものです。例えば、白米・パン・芋・麵類などが挙げられます。砂糖や砂糖を多く使ったジュースやお菓子にも含まれていますが、良質な炭水化物とはいえないため、摂取する食品には注意しましょう。
炭水化物と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
炭水化物はたんぱく質と一緒に摂取することで、インスリンの相乗効果と筋たんぱく合成量が増大することがわかっています。また、炭水化物とたんぱく質をそれぞれ単独で摂取するよりも一緒に摂取した方が、筋たんぱく分解を抑制したり骨格筋へのたんぱく質蓄積に効果的であったりすることもわかっています。
鮭おにぎり
チキンサンドイッチ
あくまでも一例ですが、上記のように一緒に摂取できる食べ物や飲み物がおすすめです。サプリメントでも同様の効果が認められています。
炭水化物の効果を高める摂取タイミング
炭水化物の効果は人体が機能するためのエネルギーの供給です。炭水化物が不足するとエネルギーが枯渇し、疲労感や集中力の低下を招くことになります。例えば、日中の仕事や勉強のパフォーマンスを上げたいのであれば、朝食でしっかりと炭水化物を摂取するのが効果的です。運動のパフォーマンスを上げたい場合は、1〜2時間前までに摂取するのがよいでしょう。また、運動後2時間以内に炭水化物を摂取することで、筋たんぱく合成促進の効果も期待できます。
「炭水化物と糖質の違い」についてよくある質問
ここまで炭水化物と糖質の違いを紹介しました。ここでは「炭水化物と糖質の違い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
砂糖と炭水化物を比べると、どちらが太りやすいですか?
武井 香七 医師
砂糖と炭水化物のどちらが太りやすいというのはありません。そもそも砂糖は人体にとって重要なエネルギー源であり、心身の満足感・料理の味付け・嗜好品など私たちの食習慣を豊かにしてくれるものです。砂糖の成分の80〜99.85%がショ糖です。もちろん、炭水化物にも二糖類としてショ糖が含まれています。太るのは砂糖や炭水化物を摂取したからではなく、偏った食生活や習慣によって生じるものだと留意しましょう。
糖質が少ない炭水化物(食品)について教えてください。
武井 香七 医師
低GIの炭水化物(食品)を選びましょう。GI値(グリセミック・インデックス)は、食品が血糖値に与える影響を示します。例えば、精製されていない全粒粉パン・そば・玄米などの低GI食品は、血糖値の上昇を抑える効果があります。また、食物繊維や調理方法もGI値に影響を与えるため、食べる際にはこれらの要因を考慮することが大切です。
編集部まとめ
本記事では、炭水化物と糖質の違い・炭水化物の一日の摂取量・効果・効果的な摂取方法について解説しました。
炭水化物は私たちの体を支えるエネルギー源として必要不可欠な栄養素です。一日摂取量を守っていれば生活習慣病の予防や、仕事・勉強のパフォーマンスの向上に役立ちます。
一日摂取量には個人差があるため、まずは自身に必要な分量を認識することが大切です。
「炭水化物と糖質の違い」と関連する病気
「炭水化物と糖質の違い」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
炭水化物は摂取量が不足したり過剰に摂取したりしてもよくありません。必要な摂取量には個人差があるため、自身の摂取量を把握してバランスのよい食事を心がけることが大切です。
「炭水化物と糖質の違い」と関連する症状
「炭水化物と糖質の違い」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
炭水化物の過剰摂取はさまざまな病気につながることがあります。特に生活習慣病に直結した症状が現れる可能性があることに留意しましょう。