「肝臓がん」のリスクを高めるのは「毎日の晩酌」「週末の大量飲酒」どっち?医師が解説!

「毎日の晩酌」「週末の大量飲酒」どちらの方が肝臓がんのリスクを高める?メディカルドック監修医がそれぞれの肝臓に与える影響や肝臓に負担をかけにくくするお酒の飲み方も解説します。

監修医師:
岡本 彩那(淀川キリスト教病院)
目次 -INDEX-
肝臓がんとは?

肝臓がんとは肝臓の中にできるがんです。肝臓がんのリスク、原因としてはウイルス感染やアルコールがあげられます。肝臓がんには肝臓の細胞からできる肝細胞癌や肝臓の消化液を流す管(胆管)からできる肝内胆管がん、ほかの臓器からの転移である転移性肝がんなどがありますが、その大半は肝細胞癌です。ここでは肝細胞癌について解説していきます。
毎日の晩酌が肝臓に与える影響

お酒が好きな人には「毎日の晩酌が楽しみ」という人も多いでしょう。一方でアルコールが肝臓に悪いということは一般的によく言われており、どのような影響が出てくるか心配という人もいるでしょう。ここではアルコールが及ぼす影響などについて解説します。
脂肪肝、慢性肝炎など
毎日飲酒を続けていると、お酒の影響で肝臓に脂肪がつき、「脂肪肝」の状態となります。この状態を放置し続けると炎症が起こり「慢性肝炎」、「肝硬変」となってきます。
肝硬変となった肝臓には肝臓がんができる可能性があります。また、その発生率は1年で1.9%~2.6%程度と報告されています。一方で、脂肪肝、慢性肝炎と異なり、肝硬変となった場合はお酒をやめたとしても元の肝臓に戻ることはありません。そのため、定期的に検査を行い、肝臓がんができていないかチェックすることが必要となってきます。
代謝物(アセトアルデヒド)による影響
アルコールの代謝物であるアセトアルデヒドは細胞のDNAを変異させることがあるということが報告されています。このDNAの変異により肝臓にがんができることがあります。
毎日アルコールを飲んでしまうと、この変異、損傷を修復する暇がなくなり徐々に蓄積され、発がんのリスクとなります。
酸化ストレス
アルコールを代謝する過程などにおいて、活性酸素が発生します。その活性酸素によって、細胞内のDNAが傷つけられることがあります。
毎日飲酒を行うと損傷を治す時間がなく、どんどんDNAの損傷が蓄積していきます。結果として、肝臓がんができるリスクとなってしまいます。
週末の大量飲酒が肝臓に与える影響

平日はアルコールを飲まないので週末にまとめて飲む、という人もいるでしょう。平日には一切飲酒をしないので、十分に肝臓が休んでいるから大丈夫、と思っていないでしょうか。
現在一度に大量飲酒をすることも肝臓に影響を与えると報告されてきています。
線維化
アルコールが肝臓の炎症を引き起こすということは前項で述べました。毎日の晩酌ではこの炎症がずっと、慢性的に続いていくことになります。一方で週末に大量の飲酒をする場合、肝臓に急激な炎症が起こってしまい、結果として瘢痕、線維化として残ってしまいます。この線維化が進んでしまうと、肝硬変となり、肝臓がん発症のリスクとなりえます。なお、この肝線維化のリスクは大量飲酒により3倍に高まってしまうと報告されています。
「毎日の晩酌」「週末の大量飲酒」どちらの方が肝臓がんのリスクを高める?

ここまで「毎日の晩酌」「週末の大量飲酒」について述べてきました。
双方でも述べましたが、それぞれが肝臓への負担を強いるので、肝臓がんのリスクとなりえます。どちらがといっても、「毎日少量(5~10g)のアルコールを飲む人」と「週末に焼酎を何本も飲む人」だと後者のほうがリスクが高いですし、前社が「毎日焼酎を一升飲む人」になると前者のほうが多い、ともなりかねません。
つまり、「1週間に飲むアルコールの総量が多いと肝臓がんのリスクが高まる」でしょう。
もちろん、「平日毎日晩酌を行い、週末には平日よりも多くのお酒を飲む」というように、両方を満たす場合は、より一層肝臓がんのリスクを高めてしまうことになるでしょう。
肝臓に負担をかけにくくするお酒の飲み方

毎日の晩酌も、週末の大量飲酒も、それぞれ肝臓への負担となり、肝臓がんのリスクとなりえます。ではどのようなことに気を付ければいいのでしょうか。ここでは肝臓に負担がかかりにくい飲み方を解説していきます。
休肝日を作る
アルコールやその代謝物は細胞の中のDNAを傷つけたりします。体はそれを修復しようとしますが、毎日飲酒をしてしまうと修復する時間が取れず、どんどんと傷が蓄積してしまいます。肝臓を休めて傷を修復するためにも休肝日を設定しましょう。
1日の量を制限
先に述べた通り、アルコールを飲み続ける、大量に飲むとなると肝臓への負担も大きくなり、肝臓がんのリスクも高まります。毎日飲むのであれば1日の量を制限するなどがよいでしょう。アルコールの量は1日20g程度が適量とされており、この程度の飲酒量に抑えるほうがよいでしょう(女性は20gより少なめのほうがよいでしょう)。
週の総量をコントロールする
先にも述べた通り、アルコールの飲み方もですが、そもそも1週間でどのぐらいアルコールを飲んでいたか、その量も肝臓への負担に関係します。1週間でたくさんのお酒をとってしまうと、それだけ肝臓へ負担がかかり、脂肪肝、肝機能障害などが起こり、結果として肝臓がんなどのリスクにもなりえるでしょう。健康的に、というのであれば1週間で100g以下などまでアルコール摂取量を抑えていきましょう。
「肝臓がんとお酒の飲み方」についてよくある質問

ここまで肝臓がんとお酒の飲み方について紹介しました。ここでは「肝臓がんとお酒の飲み方」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
肝臓がんを発症してもお酒は飲めるのでしょうか?
岡本 彩那 医師
基本的に肝臓がんになったのであればお酒はやめましょう。肝臓がんになったとき、肝臓の機能はある程度低下しています。その状態でお酒をのむと、正常な部分で代謝しなければならず、余計に負担となります。
また、肝臓がんになった場合、いろいろと治療を行いますが、お酒で肝臓に負担を強いた状態は治療に影響が出ることがあります。その他、飲酒を続け、肝硬変になってしまう場合などは再度肝臓がんができてしまったり、治療が受けられないなどの状態にもなりかねないでしょう。
まとめ 適切な飲み方と定期的な検査で肝臓がんを予防しましょう
肝臓は障害がおこる、がんができるなどでもなかなか症状として表れにくい「沈黙の臓器」と言われます。そのため、肝臓がんはなかなか気づかれず、気づいたときにはかなり進んでいたなどもあり得ます。
肝臓がんにならないように適切なお酒の楽しみ方をする、定期的に検査を受けて大丈夫かチェックするなどが重要となってきます。
「肝臓がん」と関連する病気
「肝臓がん」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
上記のような疾患が挙げられます。健康診断で肝臓に異常を指摘された場合には早めに医療機関を受診することをお勧めします。
「肝臓がん」と関連する症状
「肝臓がん」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
これらの症状は、肝臓がん以外に他の肝臓疾患の進行によっても生じることもあります。症状が気になる場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
参考文献




