目次 -INDEX-

  1. Medical DOC TOP
  2. 医科TOP
  3. 医学のギモン
  4. 「お酒を飲むと吐く」原因はご存知ですか?気持ち悪くなる原因も医師が徹底解説!

「お酒を飲むと吐く」原因はご存知ですか?気持ち悪くなる原因も医師が徹底解説!

 公開日:2026/04/23
「お酒を飲むと吐く」原因はご存知ですか?気持ち悪くなる原因も医師が徹底解説!

お酒を飲むと吐くのはどうして?メディカルドック監修医がお酒を飲むと気持ち悪くなる原因・吐くと楽になる原因などを解説します。

岡本 彩那

監修医師
岡本 彩那(淀川キリスト教病院)

プロフィールをもっと見る
兵庫医科大学医学部医学科卒業後、沖縄県浦添総合病院にて2年間研修 / 兵庫医科大学救命センターで3年半三次救命に従事、近大病院消化器内科にて勤務 /その後、現在は淀川キリスト教病院消化器内科に勤務 / 専門は消化器内科胆膵分野

お酒を飲むと気持ち悪くなる原因

お酒を飲むと気持ち悪くなる原因

脳への影響

脳の中でも最後野(さいこうや)という部分は毒物などを感知し、嘔吐中枢を刺激、嘔吐を促します。アルコールを多量に摂取、アルコールの濃度やその代謝物であるアセトアルデヒドの濃度が上がった場合、この最後野が刺激されるため、吐き気、嘔吐を催します。

胃粘膜などへの影響

ビールやワインなどの醸造酒は胃酸分泌を増やすと報告されています。特にアルコールの主成分であるエタノール以外にも醸造酒に含まれる糖には胃酸分泌を促すという報告もあります。その結果、胃酸が過多となり、急性胃炎などの胃の粘膜の障害、炎症を引き起こします。この「炎症」により気持ち悪くなる、吐きたくなるという症状が出ることがあります。

アセトアルデヒド

アルコールは身体の中に入ると、アセトアルデヒドという物質に一度分解され、その後無害な物質に代謝されます。このアルコールが分解される過程でできる「アセトアルデヒド」という物質は、身体に有害なものになります。
お酒を飲みすぎた場合、アセトアルデヒドが無害な物質に分解される過程が追い付かず、体の中に溜まっていきます。このアセトアルデヒドが血中の濃度が高くなることで吐き気を引き起こすことがあるのです。

その他

アルコールそのものではありませんが、アルコールの利尿作用で脱水が起こったり、血糖の低下、体内の電解質バランスの崩れが起こることもあります。これらにより嘔気嘔吐等様々な症状が起こることもあります。

お酒を飲んで気持ち悪くなるのは何時間後?

お酒を飲んで気持ち悪くなるのは何時間後?

お酒を飲んでから症状が出るまでの時間はどのぐらいなのでしょうか。答えは人や状況によって異なります。お酒を飲んで気持ち悪くなる原因としては高濃度のアルコールやアセトアルデヒドです。そのためどんな濃度のアルコールをどのぐらいのスピードで、どのぐらいの量飲むかでも変わってきます。また、人によってはアルコールやアセトアルデヒドの分解速度も異なります。アルコールの分解が早ければ早いほどアセトアルデヒドができてきますし、アセトアルデヒドの分解が遅ければ遅いほどアセトアルデヒドは溜まります。一般的にはアセトアルデヒドがある程度蓄積される1~4時間程度とも言われますが、その時の状況、どんな人かでどのぐらいの時間かは変わってきます。

お酒を飲むと吐く原因

お酒を飲むと吐く原因

嘔吐中枢への影響

脳の中にはいろいろな部位でいろいろな機能をつかさどる場所があります。そのうち、最後野(さいこうや)という部分にはある薬物や毒物などの物質を感知する部分(化学受容器引金帯:chemoreceptor trigger zone(CTZ))があります。アルコールやアセトアルデヒドの血中濃度が上がると、その毒性をこの場所が感知、刺激され、CTZから嘔吐中枢に嘔吐を促すように信号が出されます。その結果、嘔吐が誘発されてしまいます。
つまり、脳の一部がアルコールの摂りすぎ、アセトアルデヒドの蓄積を危険信号として察知し、「毒物(アルコール)を外に出せ!」と指令を出すため、嘔吐が起こるのです。

胃への直接刺激

先にも述べた通り、お酒を多く飲むと胃酸が多く分泌され、胃酸過多の状態となります。それにより胃の粘膜があれ、炎症をおこします。胃の動きも悪くなることで胃が膨らみ、吐き気、嘔吐などの症状が出てくることもあるでしょう。

お酒を吐くと楽になる原因

お酒を吐くと楽になる原因

アルコールの吸収が抑えられる

飲酒中に嘔吐すると、胃の中に食べ物とともに残っているアルコールをある程度体外に出すことができます。胃の中にあればそれらのアルコールは体内に吸収されるだけですが、吸収されるものがなくなればこれ以上吸収される物質自体がなくなる、もしくは少なくなるため、アルコールの血中濃度はあがりにくくなります。そのため、少し楽になったと感じるかもしれません。
ただし、すでに吸収されてしまったアルコールは吐いても出てくことはありません。そのため、楽になったからと言って飲酒を再開してしまうとさらにアルコールの血中濃度が上がってしまいます。それによる吐き気、嘔吐やさらには意識障害等を引き起こすことがあります。
「吐く」ということはこれ以上アルコールをとってはいけないという身体からのサインです。自覚症状として楽になったからと言って飲酒を再開するのではなく、吐いた後で胃が楽になるのであれば少しずつ水分摂取をして脱水を防ぐ、休息をとる等の対処を行いましょう。

胃の中のアルコールが一時的に少なくなる

お酒を飲んでいる最中に嘔吐すると、それにより胃の中に残っているアルコールは減ります。そのため、アルコールによる直接の胃への作用、炎症を起こす等は少なくなります。そのため、少し楽になると感じるかもしれません。

お酒を吐いた後どんな病気を発症する可能性がある?

お酒を吐いた後どんな病気を発症する可能性がある?

マロリー・ワイス症候群

お酒を飲んで吐き出すと何度も吐くことがあるかと思います。この嘔吐をするときはお腹に力が入り、胃の中のものを吐き出そうとするため、かなりの腹圧がかかります。これを繰り返すなどすると、胃と食道の間の粘膜が裂けてしまい出血を起こし、吐血します。これを「マロリー・ワイス症候群」と言います。傷が小さいのであればそのまま様子を見て傷がふさがるのを待つこともありますが、たまに大きく裂けてしまい傷を塞ぐ必要があるケースもあります。吐血を認めた場合は胃カメラを行い、必要に応じて止血処置を行います。吐いた物に血液が混じっているのであればすぐに救急外来、消化器内科を受診しましょう。

誤嚥性肺炎

嘔吐を起こすと、胃の中の吐物が気道(空気の通り道)に入り込むことがあります。その時、口の中の雑菌なども一緒に気道に入り込み、肺に落ち込むことで感染を起こします。これを誤嚥性肺炎と言います。誤嚥性肺炎は高齢になり飲み込む力が落ちた人に多い病気ですが、飲酒で意識がなくなっているときでも起こり得ます。飲酒、嘔吐の後で熱がでる、咳が出る、息苦しいなどの症状があれば病院を受診しましょう。

窒息

上の項でも書いた通り、嘔吐した時に食べたもの、吐いたものが気道、気管に入り込むことがあります。大量のお酒を飲んだ時には意識を失うこともあり、意識がない状態で吐いたものが気管に入り込んで詰まると窒息してしまうこともあります。
意識がない人が吐いている時などは息をしているか確認、横向きに寝かせて(回復体位)吐いたものが詰まらないようにする、救急車を呼ぶなどしてください。
アルコールによって意識がないのか、ただ単に寝ているだけなのかわからないこともあるかもしれません。ただ、アルコールを飲みすぎた場合は窒息、その他急性アルコール中毒等命に関わることも多々あります。少しでもおかしいと思ったなら迷わず救急車を呼んでください。

「お酒を吐く」についてよくある質問

「お酒を吐く」についてよくある質問

ここまでお酒を吐くについて紹介しました。ここでは「お酒を吐く」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

お酒を吐くと体内のアルコールは抜けるのでしょうか?

岡本 彩那岡本 彩那 医師

お酒を飲んでいるときに嘔吐したとしても、それはまだ吸収されずに胃に残っているアルコールを外に出すことにしかなりません。アルコール自体は胃や小腸で速やかに吸収されてしまいますし、吸収されたアルコールは吐いても体外に出ていくことはありません。吐いたときに「楽になった」と感じることはあるかもしれませんが、「アルコールが抜ける」というよりは「これ以上吸収されないようにする」という形になり効果は限定的です。もちろんアルコールを飲んでからしばらく時間経過していた場合は既にアルコールが吸収された後になるため、吐いても効果がありません。

まとめ

飲み会、歓送迎会、忘年会、新年会・・・と様々な場面で場を盛り上げ、楽しくおいしく飲むお酒ですが、限度をすぎてしまうと嘔気嘔吐等を含め様々な症状を引き起こします。気持ち悪くなってしまいせっかくの楽しい時間が台無しになった、ということを経験した人も少なくないでしょう。アルコールによる症状の出方は人それぞれであり、どのぐらいで限界を迎えるかも人それぞれです。せっかくのおいしいお酒なのであれば、自分の限度を把握し、節度を守って楽しみましょう。
また、周りに吐いているだけではなく、意識が悪くなっているなど少しでもおかしいと感じる人がいれば、たかがお酒と侮らずに救急車を呼ぶなど対応しましょう。

「お酒」と関連する病気

「お酒」と関連する病気は14個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

消化器系

アルコールによって見られる急性期の症状及び、長年の飲酒によるアルコールの蓄積による病気の一部を列挙しました。

「お酒」と関連する症状

「お酒」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 意識障害
  • 背部痛
  • 脱水
  • 電解質異常
  • 肝機能障害
  • 嘔気嘔吐
  • 吐血

アルコールによる症状は人それぞれであり、限界量も異なります。自分の限度を把握し、節度を守って楽しんでください。

参考文献

この記事の監修医師