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「アルコール性肝炎」を発症する原因や症状はご存じですか?禁酒についても解説!

 更新日:2024/01/09
「アルコール性肝炎」を発症する原因や症状はご存じですか?禁酒についても解説!

アルコール性肝炎をご存じですか?
本記事では、アルコール性肝炎とは?診断方法と治療法について以下の点を中心に紹介します。
・アルコール性肝炎とは
・アルコール性肝炎の治療はできるのか
・禁酒したほうがいいか
アルコール性肝炎について知るためにぜひ最後までお読みください。

アルコール性肝炎について

アルコール性肝炎について

アルコール性肝炎とはどのような病気ですか?

アルコール性肝炎は、長期間にわたって大量のアルコールを摂取することによって引き起こされる肝臓の炎症性疾患です。
アルコールの代謝過程で生じる有害物質が肝臓に蓄積し、肝細胞が損傷を受けることで発症します。

アルコール性肝疾患の一種で、脂肪肝、肝線維症、肝硬変、肝細胞がんと並びますが、特に炎症が強い特徴があります。
飲酒量の増加が発症のきっかけとなり、肝腫大、腹痛、発熱、黄疸などの症状があらわれます。

日本酒換算で、1日のアルコール摂取量が2合(純アルコール量約40g)を超えると、肝障害のリスクが高まります。
ただし、これは2合までは飲んでよいという意味ではなく、これ以下の量でも健康障害を引き起こす可能性があります。

治療にはまず禁酒が重要で、禁酒することで異常所見の著明な改善が見られます。
その他に、肝庇護療法、合併症の治療、栄養価の高い食事が重要とされています。
しかし、禁酒しても症状が持続する場合や、肺炎、肝性脳症、急性腎不全、消化管出血などの合併症を伴う重症型アルコール性肝炎の場合は、ステロイド薬による治療や肝移植が必要となることもあります。

アルコール性肝炎の主な症状を教えてください。

アルコール性肝炎は、アルコールの過剰摂取によって肝臓が炎症を起こしている状態で、肝細胞の急速な腫大と壊死、肝細胞の線維化による肝機能障害を引き起こします。
アルコール性肝炎の主な症状は以下の通りです。

腹痛や腹部の不快感:
腹部の上部や右上腹部での痛みや圧迫感があらわれることがあります。

黄疸(皮膚や目の白部の黄変):
肝臓の機能低下により、黄疸があらわれることがあります。

食欲不振と体重減少:
食欲が減退し、体重が減少することがあります。

疲労感と筋力の低下:
慢性的な疲労感や筋力の低下があらわれることがあります。

嘔吐や吐血:
進行した場合には嘔吐や吐血がみられることがあります。

肝臓の腫れや硬さ:
肝臓が腫れたり、硬くなったりすることがあります。

精神状態の変化:
血中のアンモニアが上昇するため、不安やイライラ、注意力の低下などの精神状態の変化がみられることがあります。

発熱:
体温が上昇し、発熱が見られます。

腹水やむくみ:
肝臓の機能が低下すると、肝臓でのたんぱく合成が低下し、腹部や足に水分が溜ることがあります。

血液検査の異常:
白血球・AST・ALT・ALP・γ-GTPの増加、貧血、血小板・アルブミンの減少などが見られます。

アルコール性肝炎はどのように診断しますか?

アルコール性肝炎の診断には、以下の方法が用いられます。

病歴と症状の検査:
患者のアルコール摂取の状況や期間、症状の有無など、アルコール性肝炎のリスクを検査します。

診察:
医師は腹部の腫れや脾臓の拡大などの身体所見を検査します。
また、皮膚や目の黄斑の程度を確認することもあります。

血液検査:
血液中の肝機能酵素(AST、ALT、γ-GTPなど)のレベルやビリルビン濃度などを測定します。
これらの値の上昇は、肝臓の炎症や損傷を示す可能性があります。

イメージング検査:
超音波検査やCTスキャン、MRIなどのイメージング検査は、肝臓の大きさや形状、脂肪蓄積、炎症の程度などを判断するのに役立ちます。

肝生検:
症状や検査結果によっては、肝生検が行われることもあります。
これにより、肝臓組織の炎症や損傷の程度、および他の肝疾患の除外が可能となります。

アルコール性肝炎の診断には、患者のアルコール摂取歴や症状の評価、血液検査、イメージング検査、そして必要に応じて肝生検が組み合わせて行われます。
これらの検査結果を総合的に判断し、正確な診断をすることが重要です。

何が原因で発症しますか?

アルコール性肝炎は、主に長期間にわたって過度のアルコール摂取が続いた場合に発症する肝疾患です。
アルコール性肝炎の発症は深刻な健康問題であり、早期の診断とアルコール摂取の制限が重要です。
以下に、アルコール性肝炎の主な原因をまとめます。

過度のアルコール摂取:
長期間にわたって大量のアルコールを摂取することが最も一般的な原因です。
アルコールは肝臓で代謝される際に有害な物質に変換され、肝臓にダメージを与えます。

遺伝:
アルコールに対する個人の感受性や遺伝も関与しています。
同じ量のアルコールを摂取しても、一部の人はより大きなリスクを抱えている可能性があります。

栄養不足:
長期にわたるアルコール摂取は、栄養不足を引き起こすことがあります。
特に、ビタミンBや葉酸の不足は肝機能に悪影響を及ぼし、アルコール性肝炎の発症リスクを高めます。

性別と年齢:
男性よりも女性の方が、アルコール性肝炎の発症リスクが高い傾向があります。
また、年齢も重要な要素であり、長期間のアルコール摂取による肝臓への負荷が増すにつれて、発症リスクが上昇します。

初期症状を教えてください。

アルコール性肝炎は、長期間の過剰なアルコール摂取によって引き起こされる肝臓の炎症疾患ですが、初期症状がほとんどないと言われています。

アルコール性肝炎は、長期間のアルコール摂取の結果として発生します。
肝臓は、アルコールを分解し、有害な代謝物質を排除する主要な役割を果たしています。
しかし、この過程は時間がかかるため、肝臓の損傷が初期段階では症状としてあらわれにくいとされています。

また、アルコール性肝炎の初期症状は非特異的であり、他の病態と混同される可能性があります。
一般的な初期症状には、疲労感、食欲不振、体重減少、軽度の腹痛などがあります。
これらの症状は、他の疾患や一時的な不調と関連づけられることが多く、アルコール性肝炎とは直接関連づけられない場合があります。
さらに、遺伝的な要因や生活習慣、アルコールの摂取量など個々の状態によって異なる反応を示すことがあります。

ただし、初期症状の欠如はアルコール性肝炎の重要な特徴であり、注意が必要です。
長期的なアルコール摂取による肝臓の損傷が進行すると、重篤な合併症や肝不全のリスクが高まります。
したがって、アルコール摂取の過剰な習慣がある場合は、定期的な健康チェックや肝機能の検査を受けることが重要です。

どのように進行していきますか?

アルコール性肝炎は、初期段階ではほとんど症状があらわれないと言われています。
しかし、適切な治療をせずに放置しておくと、肝臓に炎症が生じ、肝炎へと進行します。
さらに状態が悪化すると、肝硬変になる可能性もあります。

肝炎や肝硬変の段階になると、患者は発熱、黄疸、倦怠感などの自覚症状を経験することが多くなります。
これらの症状は肝臓の機能が大幅に低下していることを示し、速やかに医療的介入が必要となります。

また、長期間にわたって大量のアルコールを摂取していると、アルコール依存症を発症する可能性もあります。
アルコール依存症は、アルコールに対する強い精神的な依存感と身体的な依存感を伴う病状です。

これらの情報から、アルコール性肝炎の初期症状があまりあらわれないこと、及びその病状が放置すると深刻な肝臓の病状へと進行する可能性があることを理解することは、早期の診断と適切な治療にとって重要です。

アルコール性肝炎の治療について

アルコール性肝炎の治療について

アルコール性肝炎は治療できますか?

適切な治療と生活習慣の改善により、アルコール性肝炎を治療することは可能です。

治療の目的は、肝臓へのアルコールの影響を軽減し、炎症を抑えることです。
医師によるアルコール摂取の制限や禁止、ビタミンや栄養補給、肝臓をサポートする薬物療法などが行われる場合があります。

また、生活習慣の改善も重要です。
完全な禁酒やアルコール摂取の制限、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレスの管理などが推奨されます。
さらに、医師の指示に従い、必要な検査や定期的なフォローアップを受けることも重要です。

アルコール性肝炎の治療は個人の状態や進行度によって異なるため、医師との相談が欠かせません。
早期の診断と適切な治療を受けることで、アルコール性肝炎の進行を遅らせ、肝臓の健康を保てます。

アルコール性肝炎になったら気をつけることはありますか?

アルコール性肝炎になった場合、以下のポイントに気をつけることが重要です。

アルコール摂取の制限:
アルコール性肝疾患の治療の中心は、節酒・禁酒です。
薬は人体にとって「異物」であり、肝臓の負担を増やす可能性があるため、薬の役割は小さいと言われています。
適正な飲酒量は、1日の純アルコール量が20g程度とされており、これを超えると肝疾患のリスクが高まります。
1日の適正な飲酒量を守り、肝臓を休息させることが重要です。

休肝日の設定:
毎日飲酒している場合、アルコールを一切取らない休肝日を設けることが推奨されます。
休肝日を設けることで、肝臓のダメージを受けた細胞の回復が期待できます。
ただし、効果を得るためには週3日以上の休肝日が必要とされています。

早期発見と治療:
アルコール性肝疾患は、自覚症状が出てからでは治療が難しいため、早期発見が重要です。
血液検査や超音波検査などを通じて早期に診断し、適切な治療を開始することが求められます。

栄養バランスのとれた食事:
肝臓の損傷を修復するために、栄養バランスの摂取が必要です。
バランスの取れた食事を心がけ、ビタミンやミネラルを含む健康的な食品を摂取しましょう。

健康的な生活習慣:
健康的な生活習慣を維持することも重要です。
十分な睡眠をとり、ストレスを適切に管理し、適度に運動しましょう。
喫煙や薬物の乱用も避けるべきです。

精神的サポート:
アルコールが原因の病気であるため、禁酒は簡単でなく、特に肝疾患になるほど過剰な摂取の習慣がある患者には非常に困難です。
精神科医との連携を検討し、周囲の力を借りて禁酒を進めることが重要です。

アルコール性肝炎は重篤な疾患であるため、早期の診断と適切な治療が不可欠です。
医師と密に連携し、上記のポイントを守ることで、肝臓の回復を促し、健康を取り戻せます。

禁酒したほうがいいですか?

アルコール性肝炎である場合、禁酒することは非常に重要です。

アルコール性肝炎は、長期間にわたって過度なアルコール摂取が原因で肝臓が炎症を起こす状態です。
アルコールの摂取を続けると、肝臓の損傷が進行し、重篤な肝疾患に進展する可能性があります。

禁酒は肝臓の回復と症状の進行の防止に役立ちます
禁酒により、肝臓は休息を取り、炎症が軽減されます。
アルコールの摂取を避けることで、炎症や肝臓への負担を軽減し、肝機能の回復を促せます。

禁煙することは、肝疾患のリスクを減らし、心血管疾患やがんの発症リスクを低下させると知られています。
禁酒は、肝臓の健康を守るために不可欠であり、早期に取り組むことが重要です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

飲酒による肝臓へのダメージは深刻です。健康のためには、適量の飲酒や禁酒が必要です。肝臓は貴重な臓器です。定期的な健康チェックと医師の指導を受けましょう。

編集部まとめ

アルコール性肝炎
これまで、アルコール性肝炎について紹介してきました。
・アルコール性肝炎は、長期間にわたって大量のアルコールを摂取することによって引き起こされる肝臓の炎症性疾患のことである。
・治療では、医師によるアルコール摂取の制限や禁止、ビタミンや栄養補給、肝臓をサポートする薬物療法が行われる。
・禁酒は、肝臓の健康を守るために重要である。
これらの情報が、アルコール性肝炎について知りたい方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修医師