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食道静脈瘤の症状・原因・治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

食道静脈瘤(読み方:しょくどうじょうみゃくりゅう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
池内 孝夫 医師 医療法人社団池内クリニック 副院長

食道静脈瘤とは

池内孝夫 医師 池内クリニック 院長監修ドクターのコメント
肝硬変(かんこうへん),あるいは門脈(もんみゃく)や肝静脈の狭窄(きょうさく)・閉鎖により門脈圧が上昇し、食道の側副血行路が発達したものです。食道静脈瘤は場合によっては破裂し、吐血や下血が起こりえます。食道静脈瘤破裂は緊急内視鏡治療が必要な場合もあり,肝硬変の死亡原因の主要なもののひとつです。

食道静脈瘤の症状

食道静脈瘤は大きな自覚症状はありませんが胸のつかえ感でることもあります。食道静脈瘤が破裂すると大量出血し、吐血します。出血量は非常に多く、死に至ることもあります。特に肝硬変では血が止まりにくくなっている為注意が必要です。

引用:医療法人社団俊爽会 仁愛堂クリニック
http://www.jinkuri.com/blog/naika/cat47/

池内孝夫 医師 池内クリニック 院長ドクターの解説
食道静脈瘤は基本的に無症状です。ただし、一旦破裂すると、吐血、下血、貧血症状などをきたします。

食道静脈瘤の原因

ほとんどが肝硬変などの肝疾患によるものですが、ほかに特発性門脈圧亢進症、肝外門脈閉塞症、バッド・キアリ症候群などが原因になる場合があります。

引用:関西医科大学附属病院
http://www.kmu.ac.jp/hirakata/visit/search/sikkansyousai/d03-022.html

池内孝夫 医師 池内クリニック 院長監修ドクターのコメント
食道静脈瘤の原因の多くは肝硬変に伴うものです。肝硬変になって肝臓が硬くなると、門脈(肝臓に流入する太い血管)の血液が肝臓の中に入りにくくなり、門脈圧が上昇します(門脈圧亢進症)。その結果、肝臓の近くの細い血管がバイパスとなり、直接心臓に戻るような経路が発達します。このバイパスのうち食道周囲の血管を通過して心臓にもどる血液経路が発達すると、食道静脈瘤となります。なお、食道静脈瘤の血管は壁が薄く、破れやすいため、破裂を防ぐための観察、対応が必要になります。

食道静脈瘤の検査法

内視鏡検査は、静脈瘤の診断、重症度の判定、出血部位の確認などにおいて最も重要です。治療を行うにあたっては、超音波内視鏡検査やCTなどで静脈瘤の状態を詳細に調べるとともに、肝機能や全身状態などを把握する必要があります。

引用:関西医科大学附属病院
http://www.kmu.ac.jp/hirakata/visit/search/sikkansyousai/d03-022.html

池内孝夫 医師 池内クリニック 院長監修ドクターのコメント
診断は内視鏡で行います。内視鏡を行い、食道静脈瘤の占拠部位(Location;L)、形態(Form;F)、色調(Color;C)、発赤所見(Red color sign;RC)、 出血所見(Bleeding sign;BS)、 粘膜所見(Mucosal finding;MF)を観察し、破裂の兆候がないかどうかを確認します。これらの所見を参考に、治療の適応を決定します。

食道静脈瘤の治療方法

出血に対する治療が重要です。現在の治療法の中心は内視鏡による治療で、以下の2つの方法が行われています。

食道静脈瘤硬化療法(Endoscopic injection sclerotherapy : EIS) 食道静脈瘤の内視鏡的治療法として広く普及しているものです。内視鏡で静脈瘤を確認しながら、注射針と呼ばれる処置具を用いて硬化剤を注入して静脈瘤を固めてしまう方法です。

内視鏡的静脈瘤結紮(けっさつ)術(Endoscopic variceal ligation : EVL) 食道静脈瘤を内視鏡で縛って取り去る方法です。EISに比べると、患者さんにとっても侵襲(しんしゅう)が少なく、簡便で安全性に優れていますが、再発も多いとされています。最近ではEISとEVLのメリットを生かしながら両方を併用(へいよう)する事もあります。

引用:オリンパス おなかの健康ドットコム
https://www.onaka-kenko.com/various-illnesses/esophagus/esophagus_02.html

池内孝夫 医師 池内クリニック 院長監修ドクターのコメント
内視鏡治療には、内視鏡的硬化療法(Endoscopic injection sclerotherapy; EIS)と内視鏡的静脈瘤結紮(けっさつ)術(Endoscopic varices ligation; EVL)があります。EISは静脈瘤に内視鏡を使って針を刺し、硬化剤を注入して静脈瘤を閉塞させる方法です。EVLは内視鏡的に静脈瘤を輪ゴムで結紮して壊死(えし)脱落させる方法です。一般的に複数回の治療が必要です。
そのほか、血管内にカテーテルを挿入して治療する方法も行われます。
食道静脈瘤破裂が疑われた際は、まず点滴で補液し、貧血が進行している場合は輸血をおこないます。内視鏡治療が可能な全身状態である場合は内視鏡で止血をおこない、内視鏡による緊急止血術は、一般的にはEVLで止血をおこないます。
EVLで止血が困難な場合や、食道静脈瘤破裂により出血が著しく、出血点が確認できない場合などはSengstaken – Blakemore tube(SB チューブ)を挿入し、止血します。

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