「発作性心房細動」で突然死することはある?症状やなりやすい人の特徴も医師が解説!

発作性心房細動とは?Medical DOC監修医が発作性心房細動の症状・原因・なりやすい人の特徴・心電図の特徴・治療法などを解説します。

監修医師:
大沼 善正(医師)
目次 -INDEX-
「発作性心房細動」とは?
心臓は、全身に血液を送り出すポンプのような役割を持っています。心臓は主に筋肉でできており、その筋肉は電気の刺激によって収縮することで、規則正しく血液を送り出しています。正常の場合、心臓の右上(右心房の上部)にある洞結節(どうけっせつ)という部分から電気信号が出て、それが心房から心室へと順番に伝わることで、心臓全体が規則正しく収縮します。
しかし心房細動では、肺静脈(はいじょうみゃく。肺と左心房をつなぐ血管)の周囲から異常な電気が発生し、左心房(さしんぼう)に伝わるようになります。左心房に異常な電気が伝わると、心房が小刻みに震えるように不規則に動くようになり、心臓のリズム(脈拍)も不規則になります。その結果、動悸や息切れ、疲れやすさなどの症状が現れます。
発作性心房細動は、心房細動の中でも急に始まり、ある程度の時間が経つと自然に正常の戻るタイプをいいます。発作の持続時間は、短いと数分から数時間、長くても7日以内に自然に正常に戻ります。
発作性心房細動の代表的な症状
動悸
脈が突然速くなり、乱れることで動悸(胸がドキドキ、バクバクする)を感じます。安静になり、楽な姿勢で休むことで改善すれば、様子を見ていて問題ありません。発作が出た時に飲むように言われている薬(屯用薬)をもらっている場合には、30分程度症状が続くなら使用しましょう。安静にしても症状が続く場合には、循環器内科や救急外来を受診しましょう。
胸の不快感
脈が乱れることで胸の不快感(胸が重い、苦しいなど)が出現することがあります。ただし、胸の不快感の場合には、狭心症や心筋梗塞、胃炎や食道炎など診断は多岐にわたります。急に始まった胸の不快感の場合には、可能であれば検脈(けんみゃく)を行い、自分の脈を測ってみましょう。脈が規則正しくない場合には、日中の循環器内科を受診しましょう。違和感が強く、気分不快や息切れ、倦怠感を伴う場合には、救急外来を受診するのがよいと思われます。
息切れ、倦怠感
脈が不規則になり、速くなることで、運動したときなどに息が上がりやすい、疲れやすいなどの症状が現れます。多くは運動をやめることで改善しますが、日常生活の歩行、軽い動作などでも息が切れる、息が上がりやすい、疲れやすいなどの症状がある場合には、心不全を合併している可能性があるため、早めに循環器内科を受診するようにしましょう。
発作性心房細動で突然死することはある?
発作性心房細動だけで突然死することは、通常はありません。ただし、「WPW症候群」という疾患に合併した場合は、心房細動をきっかけに致死的な不整脈である心室頻拍や心室細動を引き起こすことがあり、この場合には突然死するリスクがあります。WPW症候群とは、心臓の正常の電気の通り道である房室結節(ぼうしつけっせつ)以外に、心房と心室の間をつなぐ先天的な電気回路が存在する病気です。
発作性心房細動の主な原因
高血圧
高血圧は、大きく「本態性高血圧」と「二次性高血圧」に分類されます。
二次性高血圧とは、腎臓病や内分泌の異常(甲状腺、副腎など)など、明らかな原因となる病気があって起こる高血圧のことです。原因となる病気の治療によって血圧が改善することもあります。
本態性高血圧とは、特定の病気が原因ではない高血圧で、年齢、生活習慣、遺伝が関係しています。多くの人が該当するのはこの「本態性高血圧」です。塩分の取りすぎ、肥満、飲酒、運動不足、ストレス、遺伝的な体質などが複雑に関与して発症します。
高血圧は自覚症状がほとんどないまま進行するため、定期的な健康診断や血圧測定による早期発見が大切です。
もし高血圧を指摘された場合は、できるだけ早く内科(かかりつけ医)を受診し、生活習慣の見直しや必要に応じた内服治療を始めましょう。
心筋梗塞
心筋梗塞は、心臓を栄養する血管が詰まり、心筋が壊死する病気です。心筋梗塞を発症すると多くは胸の痛みや圧迫感を自覚し、15分以上持続し放置すると危険な不整脈が発生したり、心不全を発症したりします。突然始まった耐え難い胸の痛み、圧迫感があれば、夜間や休日などであれば救急外来を、日中で受診可能な場合は循環器内科を速やかに受診しましょう。
心臓弁膜症
心臓の弁が固くなり狭窄を起こしたり、弁がうまく閉じないことにより逆流を起こしたりする病気です。心房細動と関係するのは主に、僧帽弁狭窄症(そうぼうべんきょうさくしょう)、僧房弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)です。心臓弁膜症は労作時の息切れや疲れやすさなどを起こします。また症状がない場合では、健康診断などの診察で心雑音がきっかけで発見されることがあります。
緊急性はないため、まずは内科または循環器内科を受診し、心臓超音波検査などを行うようにしましょう。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に10秒以上の無呼吸と低呼吸を繰り返す病気です。睡眠1時間当たりの無呼吸・低呼吸の総数を無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index:AHI)といい、AHIの回数が診断の基準になります。症状としては、いびき、日中の過度の眠気、睡眠中のあえぎ様呼吸や呼吸停止(一緒に寝ている人が気づきやすい)、窒息感で目が覚める、などです。
日中の呼吸器内科、耳鼻科、循環器内科を受診しましょう。病院によって診察を行っている科が違うため、受診前にご確認ください。
発作性心房細動になりやすい人の特徴
喫煙
タバコを吸うことで心房細動のリスクが高まることが報告されています。タバコを吸わない人と比較すると、タバコを吸うことで心房細動を発症するリスクを高めることが、複数の研究で示されています。そのため、禁煙することが心房細動の発症予防に重要です。ただし支援なしに禁煙することは難しいと思われるため、禁煙外来を受診する、ニコチン代替製品を使用するなど周りからのサポートを得るようにしましょう。
飲酒
アルコールの取りすぎにより、心房細動のリスクが高まります。1日のアルコール摂取量が10 g 増えるごとに心房細動新規発症リスクが 5% 上昇するとも言われています。禁酒または飲酒量を減らすことで、心房細動の予防や症状の軽減につながる可能性があります。
肥満
ここでの「肥満」というのは、体格指数(BMI)が30kg/m2 以上の人のことを言います。たとえば、身長が160cmであれば、体重約76kg以上、170cmであれば、体重約86kg以上のような場合を言います。BMIが上昇すれば、心房細動のリスクも上昇します。大切な点は、自分次第で治すことが出来る危険因子の中で、肥満が心房細動の生涯リスクにもっとも影響を及ぼすということです。男性、女性共にBMIが低下すると心房細動リスクが減少することができるため、肥満の改善も心房細動リスクを下げることに有用です。
発作性心房細動を発症すると心電図にどのような特徴が現れる?
洞結節からの刺激がなくなるため、P波が消失します。つぎに、RR間隔がバラバラになります。さらに人によりますが、基線上に心房の細かい電気興奮を示すf波が記録できます。
発作性心房細動の治療法
薬物療法
心房細動の薬物療法は、主に循環器内科で行われます。通常は外来で治療を行いますが、動悸症状が強い場合や心不全を発症している場合などは数日から1~2週間程度の入院治療が必要になることもあります。
心房細動になると、心臓内(特に左心耳(さしんじ)という、左心房にある袋状の構造)で血流が悪くなり、血栓(けっせん:血のかたまり)ができやすくなります。この血栓が脳の血管に詰まると、脳梗塞(のうこうそく)を発症してしまいます。そのため、抗凝固薬(こうぎょうこやく)と呼ばれる血液をサラサラにする薬を内服する必要があります。
また、心房細動では脈が乱れて速くなることが多いため、脈を整える薬(抗不整脈薬)や、脈拍を抑える薬(β遮断薬やカルシウム拮抗薬など)を使って治療することになります。
カテーテルアブレーション
循環器内科のある病院で行う手術です。入院期間は3~4日程度となります。
カテーテルアブレーションとは、不整脈の原因となっている異常な電気信号の発生源や伝導路を、カテーテルを用いて焼灼(または冷却)し、根治を目指す治療法です。
発作性心房細動の原因は、多くの場合、左心房に流れ込む肺静脈内からの異常な電気信号であることが判明しており、カテーテルアブレーションの目的は、肺静脈と左心房の電気的なつながりを遮断(電気的隔離)することです。
リハビリは不要であり、手術後すぐに日常生活に戻れます。
「発作性心房細動」についてよくある質問
ここまで心房細動の余命などを紹介しました。ここでは「心房細動の余命」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
発作性心房細動は自然治癒することはありますか?
大沼 善正 医師
心房細動の初めての発作である、若年である、ほかの心臓病がない、心房細動になって間もない、などの場合では自然に正常の脈に復帰することもあります。一度治まっても繰り返すこともあるため、その場合には医療機関を受診しましょう。
発作性心房細動を落ち着かせる方法はありますか?
大沼 善正 医師
横になり楽な姿勢をとります。深呼吸などを行い、動悸や胸の不快感が治まれば、そのままで様子を見ます。もし屯用薬をもらっていれば、使用してみましょう。
ただし、横になっても動悸や息苦しい感じがするときには、速やかに医療機関を受診するのが良いと思われます。
編集部まとめ
発作性心房細動は急に始まり、自然に改善することも多い不整脈です。病院受診時には改善していることも多く、なかなか診断がつかないこともあります。また短時間で改善するため、医療機関を受診せずに様子を見ることもあるかと思います。
現在ではスマートウォッチや携帯型心電計、1週間ホルター心電図など多様な診断方法が存在します。また治療に関しても、薬物療法のほかに、カテーテルアブレーションによる治療も進化しており、根治も目指せる病気と考えられます。
繰り返す動悸、胸の不快感、息切れや倦怠感などあれば、かかりつけ医や循環器内科を受診するようにしましょう。
「発作性心房細動」と関連する病気
「発作性心房細動」と関連する病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
内分泌科の病気
神経内科、脳神経外科の病気
発作性心房細動と関係のある病気は様々です。いずれの病気も放置すると心房細動を発症するリスクが高まるため、かかりつけ医、循環器内科を受診するようにしましょう。
「発作性心房細動」と関連する症状
「発作性心房細動」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
発作性心房細動は動悸のほかに、息切れ、胸の不快感などを引き起こします。また息切れやめまいなどの症状として出現することもあります。疑わしい症状がある場合には、早めに医療機関を受診して検査を受けることをお勧めします。
参考文献




