「ヒートショック」を発症すると「脳梗塞」などの「後遺症」が残るの?医師が解説!
ヒートショックの更新とは?Medical DOC監修医がヒートショックの後遺症・症状・発症しやすい状況下・対処法・対策などを解説します。
監修医師:
大沼 善正(医師)
目次 -INDEX-
「ヒートショック」とは?
急激な温度変化により、体に悪影響を及ぼすことをいいます。暖かいところから急に寒い場所に行くと血管が収縮し、血圧が上昇することが原因で脳出血、脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こすことがあります。冬場の浴室などで、ヒートショックによる事故が多発しており注意が必要です。
ヒートショックの後遺症
脳梗塞、脳出血
脳の血管が詰まることを脳梗塞、血管が破れ出血することを脳出血といいます。突然のしゃべりにくさ、手足のしびれや麻痺、片方の目が見えない、歩行できない、意識障害などが起こります。早期発見、早期受診により完治する可能性が高くなるため、症状が出現した場合には、すみやかに医療機関を受診しましょう。歩行困難などがある場合は、救急車を要請することが必要です。
くも膜下出血
脳の表面にある大きな血管にできた瘤(脳動脈瘤)が破れ、脳を包んでいる軟膜とクモ膜の間に出血がたまります。それにより、突然の頭痛、意識障害、吐き気、嘔吐をおこします。
発症してから治療までの期間が完治に重要であるため、今までにないような突然の激しい頭痛や、上記症状がある場合には、すみやかに医療機関を受診しましょう。自分で歩行せずに、救急車を要請することが望ましいでしょう。
心筋梗塞
突然の胸痛として発症することが多い病気です。その他肩や腕の痛み、歯の痛み、気分不快や嘔吐という症状もあります。冠動脈という、心臓を栄養している血管が突然詰まることにより発症します。治療がすみやかに行われ、合併症がない場合には、社会復帰が可能です。症状が発生したときには、循環器科、救急外来を受診しましょう。
大動脈解離
突然の胸痛、背部痛として発症します。大動脈という、体の中心を走っている大きな血管の壁の内側の膜(内膜)が破れて、壁の中間層からはがれることで、血流障害を起こす病気です。血管のはがれる場所により完治できる可能性が変わってきます。突然発症し、痛みが持続する、冷や汗が出る場合は、救急外来を受診しましょう。
ヒートショックの代表的な症状
めまい、ふらつき
頭がふらふらして、倒れそうになったり、立ち上がれなくなったりすることをいいます。水分を取り、横になることで改善することが多いと思われます。会話や歩くことがいつも通り可能であり、手や足のしびれ、麻痺がないようでしたら、緊急性はありません。しかし、そのいずれかがある場合は脳梗塞などの可能性があります。すみやかに救急外来、脳神経科を受診しましょう。
意識消失、失神
目の前が暗くなり、意識を失って倒れてしまうことをいいます。倒れそうになったら、しゃがむ、またはすぐに横になりましょう。意識消失、失神は血圧が下がる、または脈拍が遅くなることが原因で起こります。横になってすぐに意識が回復するようであれば、緊急性はありませんが、脱水症などが隠れている可能性もあるため、内科、循環器科を受診しましょう。また意識が回復しない場合は、救急外来を受診しましょう。
胸痛
胸の真ん中あたりに締め付けられる、圧迫されるような痛みを感じます。胸がつかまれると感じることもあります。数秒程度の痛みですぐに改善する場合は問題ありませんが、横になっても5~10分以上持続し、冷や汗も出てくるような痛みであれば、すぐに救急外来や循環器科を受診しましょう。
ヒートショックを発症しやすい状況・状態
浴室、脱衣所
寒暖差の多い場所で発症しやすくなります。とくに、飲酒後の入浴では、血管が拡張することにより血圧が下がりやすくなり、めまい、ふらつき、失神を起こします。また浴室と脱衣所の気温が違うと、ヒートショックを起こしやすくなります。
温泉
露天風呂など、気温と温泉との温度差がある場合や、お湯の温度高い場合には、ヒートショックを起こしやすくなります。
サウナ
サウナ後に冷水に入ると、急激に体が冷やされることで血管が収縮し、血圧が上昇します。それによりめまい、立ちくらみなどの症状を引き起こします。
トイレ
トイレに暖房設備がなく、外の気温と同じぐらい低い場合には、寒さで血管が収縮し血圧が上がりやすいことに加え、排便時のいきみなどで血圧がさらに上昇しやすくなります。
ヒートショックを発症した場合の対処法
浴室の栓を抜く
浴室内で気分が悪くなったり、立ち上がれなくなったりした場合は、溺水などの可能性があるため浴室の栓を抜きましょう。
人を呼ぶ
ぐったりしている人を見たら、可能であれば浴室から救出しますが、ムリならばすぐに救急車を要請しましょう。浴室から救出できたのならば、意識状態を確認し、呼びかけに全く反応せず、意識がなければ心臓マッサージ(胸骨圧迫)を開始します。
しゃがむ、横になる
めまい、ふらつきなどの症状が起きたら、それ以上歩こうとせず、その場ですぐにしゃがむ、または場所があれば横になってすぐに休みましょう。
ヒートショックの予防法・対策
脱衣所を暖める
脱衣所にヒーターを置くなど、浴室と脱衣所の寒暖差をなるべく小さくなるようにしましょう。
浴室を暖める
入浴する前に浴室内でシャワーを出し、浴室内を温めておく、浴槽をかき混ぜて湯気を立てることで浴室内を暖めましょう。
水分補給をする
入浴前に水分をとる、入浴後もこまめに水分を取り、熱いお湯に入らない、長湯をしないなどを心がけましょう。
食後、飲酒後すぐの入浴をさける
食後や飲酒後は、血圧が下がりやすくなっているため、入浴にて血管が拡張し、さらなる血圧低下を招くことがあります。食後すぐの入浴をさけ、アルコールが抜けてからの入浴が望ましいと思われます。
「ヒートショックの後遺症」についてよくある質問
ここまでヒートショックの後遺症について紹介しました。ここでは「ヒートショックの後遺症」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ヒートショックを発症すると脳にどんな影響が考えられますか?
大沼 善正 医師
寒い場所から暖かい場所に移動すると、血管が拡張します。とくに冬場の寒い脱衣所から急に暖かい浴室に入ると、血管が拡張し、血圧が低下します。そのため脳に行く血流が少なくなり、めまい、ふらつき、失神を起こすことが考えられます。また、外気温に近いような寒いトイレなどでいきむと、急に血圧が上昇し、脳出血などを起こす可能性があります。
編集部まとめ
冬になると脱衣所や浴室と、風呂のお湯の温度との差が激しくなります。とくに動脈硬化があるような方、ご高齢の方は、血圧の調整が難しく、寒暖差による血圧の変動が大きくなります。ヒートショックにより、脳出血、脳梗塞、心筋梗塞、大動脈解離などの重大な病気を引き起こす可能性があります。食後すぐや飲酒後の入浴は控え、ヒーターなどで寒暖差を少なくし、こまめな水分補給を心がけましょう。
「ヒートショック」と関連する病気
「ヒートショック」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
急激な温度変化によって発症する病気なので、冬季の浴室や脱衣所などでは注意しましょう。
「ヒートショック」と関連する症状
「ヒートショック」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- めまい
- ふらつき
- 失神
- 胸痛
これらの症状が続く場合には早めに病院を受診するようにしてください。