FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 病気Q&A(医科)
  4. 「外傷性くも膜下出血」の原因や症状はご存知ですか?他の病気の併発についても解説!

「外傷性くも膜下出血」の原因や症状はご存知ですか?他の病気の併発についても解説!

 公開日:2023/09/22
「外傷性くも膜下出血」の原因や症状はご存知ですか?他の病気の併発についても解説!

外傷性くも膜下出血といった病気をご存知でしょうか。通常のくも膜下出血とは違い、名前の通り交通事故などの「外傷」により外力が加わることが原因で、発症するくも膜下出血のことをいいます。

外傷性くも膜下出血は、通常のくも膜下出血に比べて、症状や治療方法も異なるため注意が必要です。

今回の記事では、症状・治療方法・通常のくも膜下出血との違いについて解説します。正しい知識を身につけて、予防に取り組みましょう。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

外傷性くも膜下出血の症状や原因

説明する医師

どのような症状が出るのでしょうか?

外傷性くも膜下出血は損傷する部位・その他の脳損傷の合併によって、さまざまな症状が出現します。
後述しますが、外傷性くも膜下出血の発症原因は「転倒」や「交通外傷」などの外力です。転倒・交通外傷などにより急性硬膜下出血・脳挫傷などを併発すると、頭痛・意識障害・運動麻痺・言語障害・感覚障害・高次脳障害などの神経症状が出現する場合があります。
外傷性くも膜下出血だけが出現した場合は出血量は少なく、頭蓋内の圧が高まりにくいケースが多いため、重い症状は出現しないことが多いです。脳出血などの一般的な脳の障害と比べると、外傷により受傷するため脳の広い範囲で症状が出現しやすい特徴があります。

外傷性くも膜下出血の原因を教えてください。

通常のくも膜下出血と違い、外傷性くも膜下出血では、名前の通り「外傷」が原因になります。若年では仕事中の受傷、高齢では転倒により発症するケースが見受けられています。受傷機転としては、「転倒」や「交通外傷」が多いです。
通常のくも膜下出血では、動脈瘤の破裂などが原因で発症するケースを認めますが、外傷性の場合は外的要因により発症します。そのため頭蓋内での出血量は、通常のくも膜下出血に比べ少ない傾向にあります。

他の病気も併発しやすくなりますか?

外傷性のため、受傷時の外力の強さによっては、他の病気も併発するケースもあります。外傷時に併発する代表的な病気は以下の通りです。

  • 脳挫傷
  • びまん性軸索損傷
  • 急性硬膜下血腫
  • 急性硬膜外血腫
  • 慢性硬膜下血腫

脳挫傷・びまん性軸索損傷のように脳自体に損傷を生じる病気もあれば、急性硬膜下血腫・急性硬膜外血腫のように頭の中に出血を伴うケースなどさまざまです。
慢性硬膜下血腫のような、発症直後は出血がないものの、徐々に出血が出現してくる病気もあるため注意が必要です。外傷の直後に症状がなくても、時間の経過とともに神経症状が出現してきた場合は、早急に医療機関を受診して医師の指示に従いましょう。
また外傷が原因のため転倒で直接、頭をぶつけた場合は頭蓋骨の骨折を伴うケースもあります。交通外傷の場合は、首・肋骨・腰などの骨折を伴うこともあるため注意が必要です。

外傷性くも膜下出血の治療方法や診断

検査室

外傷性くも膜下出血の治療方法を教えてください。

外傷性くも膜下出血の治療方法は「保存療法」が一般的です。出血の量が少ないケースが多いため、時間の経過とともに血腫が自然と吸収されたり、止まったりすることが多いです。
一方で外傷時の外力が強く、脳挫傷・急性硬膜下血腫のように他の病気が併発する場合は「手術」が必要になるケースもあります。手術療法は他の病気によって脳が腫れてしまい、頭の中の圧が上昇してしまうため、圧を取り除くために「減圧術」といった手術を行います。

外傷性くも膜下出血はどのように診断されますか?

主な診断方法は以下の通りです。

  • 問診
  • 神経学的検査
  • 画像診断(CT・MRI)

問診により受傷機転を確認することで、どのように頭部に外傷を負ったのかがわかります。原因が転倒もしくは交通外傷なのか、外力の強さなど受傷機転によってさまざまです。どの方向から頭に外力が加わったのかなども、問診で確認すると診断の一助になります。
また神経学的検査については運動麻痺・言語障害・感覚障害・高次脳障害などの神経症状がないか、確認するために実施されます。
画像診断
は確定診断をする上で必須の検査です。レントゲンでは出血が描写されないため、CT・MRIを用いて出血の有無の確認・部位の確認を行います。CT・MRIにて出血の量や他の病気の併発状況などを確認して、診断・治療方針が決まります。

外傷性くも膜下出血は手術が必要ですか?

先述したように、外傷性くも膜下出血だけ発症した場合は手術を行うことは少なく、「保存療法」で治療を進めることが多いです。一方で急性硬膜下血腫・脳挫傷など他の病気を併発したケースでは手術を検討することがあります。
手術の目的は、頭の中の圧を軽減することです。脳の損傷が大きい場合は脳が腫れ上がってしまい、生命にも影響が出てくる可能性があるため手術が必要になります。手術の必要性は脳の状態によって左右されるため、主治医と相談して治療方針については検討しましょう。

通常のくも膜下出血との違いは何ですか?

通常のくも膜下出血と外傷性くも膜下出血の大きな違いは「受傷機転」です。
通常のくも膜下出血の受傷原因で最も多いのは、動脈瘤(血管のこぶ)の破裂になります。そのため、頭の中の脳自体に出血が行き渡りやすく、生命の危機に陥るケースも多いです。また意識障害・運動麻痺・言語障害・感覚障害などの神経症状が出現したり、手術を必要としたりする可能性が、通常のくも膜下出血では高くなります。
一方で外傷性くも膜下出血は、名前の通り「外傷」などの外力が原因で発症します。脳自体に出血が行き渡るケースも少ないです。通常のくも膜下出血と比べると、症状が軽い場合も多く、手術を必要としない場合も多いです。

後遺症は残りやすいですか?

外傷性くも膜下出血だけの場合は、後遺症が現れるケースは少ないです。しかし急性硬膜下血腫や脳挫傷など、他の病気を併発した場合では後遺症が現れる場合もあります。
後遺症については、「脳自体に損傷を伴っているか」によって左右されるため注意が必要です。脳の損傷が大きく脳自体に障害を負っている場合は、意識障害・運動麻痺・言語障害・感覚障害・高次脳障害などの神経症状が、後遺症として現れるケースもあります。
後遺症が残った場合は、症状や程度などによって多少の違いはあるものの、リハビリが必要になることが多いです。

外傷性くも膜下出血の予防方法

シートベルト

外傷性くも膜下出血の予防方法を教えてください。

先述した通り、外傷性くも膜下出血は「外傷」が受傷機転になるため、頭を守ることが予防方法になります。仕事の作業中は国や会社のルールを守り、必要に応じてヘルメットや命綱を着用しましょう。
自転車は、ヘルメットを着用して転倒や事故から頭を守ると、万が一のときに外傷を受けにくいです。自動車では後部座席も含めてシートベルトの着用を行い、交通事故に備えましょう。自転車・自動車ともに自分がいくら注意していても、交通事故に巻き込まれる可能性もあることも念頭に置くことが大切です。
また高齢の方では、転倒予防のために足腰を鍛えて、転倒しない身体作りを行うことが発症予防に繋がります。若年の方でも、飲酒後に転倒して受傷するケースもあるため、お酒の飲み過ぎには注意しましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

外傷性くも膜下出血は、通常のくも膜下出血と「受傷機転」が大きく異なります。そのため出現する症状や、障害の程度も相違があるため注意が必要です。
受傷機転としては外力が原因になるため、普段から「頭を守る」を心がけることが予防に繋がります。また高齢の方は転倒により頭をぶつけることにより発症するケースも多いため、足腰を鍛えて転倒予防に努めましょう。
自転車や自動車に乗車するときも、ヘルメットやシートベルトなどの交通ルールを守ることが大切になります。

編集部まとめ

ウォーキング
外傷性くも膜下出血について、症状・治療方法・通常のくも膜下出血との違いを交えて、解説しました。通常のくも膜下出血とは受傷機転が違うため、出現する症状や障害の程度も異なります。

他の病気の併発状況や脳の障害の程度によって、「保存療法」か「手術療法」か選択されます。治療については、主治医としっかり相談して方針を決めましょう。

外傷により発症するため、「普段から頭を守ること」が、予防に繋がります。足腰を鍛えて転倒しない身体を作りましょう。

「自分は大丈夫」と思わずに、交通状況に気をつけて自転車・自動車を運転しましょう。

この記事の監修医師