「大腸がん転移後の余命」はご存じですか?”大腸がん特有の症状”も医師が解説!

大腸がんは、男女ともに死亡原因の第2位の疾患です。初期の段階では自覚症状がなく、がんが進行すると症状が現れます。
自覚症状が出たときには、大腸がんが進行している場合が少なくありません。進行すると他臓器へ転移しやすいため、早期に発見し治療を受けることが生存率を高めるために大切です。
この記事では、大腸がんの転移後の余命・ステージごとの生存率について解説します。また、大腸がんの転移しやすい部位や症状も解説しますので、大腸がんが気になる方は参考にしてください。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
大腸がんとは?
大腸がんとは、大腸に発生するがんです。
大腸の長さは1.5m〜2mあり、結腸(盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸)と直腸(上部直腸・下部直腸)に区分されています。大腸に発生するがんは、結腸がんと直腸がんに大きく分類されます。
食生活の欧米化が進み肉類や高脂肪の食事を摂取する機会が多くなったことで、大腸がんに罹患する人は増加しています。
大腸がんは腸管の内側からがんが発生し、そこから徐々に粘膜下層・筋層・漿膜の順に進んでいくのが特徴です。
がんが粘膜内に留まっている場合には、リンパ節に転移することは少ないのですが、粘膜下層まで浸潤している場合は約10%の割合でリンパ節へ転移することがわかっています。
大腸がん転移後の余命とステージごとの生存率
大腸がんは、ステージ0〜ステージ4に分類され、がんの浸潤状態・リンパ節転移・遠隔転移の有無をもとにステージを決定します。
がんが進行し病期が進むにつれ、生存率が低くなるのが一般的です。ここでは、ステージごとの5年生存率と転移後の余命について解説します。
ステージ1
ステージ1とは、がんが大腸の内側の層(粘膜)に留まった状態です。
この段階では、他臓器への転移がありません。手術によりがんを取り切ることが可能で、5年生存率(5年後に患者さんが生存している割合)は85〜90%と高くなります。
ステージ2
ステージ2とは、がんが大腸の筋層に浸潤しているが、リンパ節や多臓器へ転移がない状態です。ステージ1と同様に、治療法は外科的切除が主となります。
5年生存率は70〜80%です。
ステージ3
ステージ3は、がんの浸潤度合にかかわらず、がんが大腸の近くのリンパ節に転移している状態です。他臓器への転移(遠隔転移)はみられません。
この段階では、手術による治療に加えて、化学療法が行われます。5年生存率は50〜70%とされ、転移したリンパ節の数や場所により生存率は左右されます。
ステージ4
ステージ4は、がんの浸潤の程度やリンパ節転移の有無にかかわらず、他臓器への転移が見られる状態です。主に肺や肝臓などへの転移がみられます。
手術だけでは治癒が望めないため、化学療法や放射線療法などを併用して治療が行われます。5年生存率は10〜20%です。
転移後の余命
大腸がんが他臓器へ転移した場合の余命は、転移部位・がんの広がり具合・患者さんの年齢・全身状態などの条件により異なります。
転移部位が肝臓や肺など1つの臓器に限局し、原発巣を外科的切除できる場合は、手術後に化学療法を併用して治療後の生存率が高くなります。5年生存率は20〜40%です。
一方、肝臓・肺・腹膜など複数の臓器にがんが広がった状態では、外科的切除が難しく治療法の効果が出にくくなるため予後はあまりよくありません。5年生存率は10%未満です。
若年層で全身状態が良好な方の場合は、治療に対する反応がよく、治療の効果が発揮され生存期間が長くなることも考えられます。
高齢の方や合併症を持っている患者さんは、治療方法の選択肢が限定される場合があるため、治療が難しく予後が悪くなる可能性が高まるでしょう。
大腸がんの主な転移部位
大腸がんは全身に転移しやすいがんです。血行性転移しやすい臓器として、肝臓・肺・腹膜・骨・脳です。
肝臓に転移した場合は、初期の段階では症状がないのが特徴で、進行すると黄疸が出ます。
肺へ転移した場合も、初期症状はありません。がんが進行すると、咳・痰・息苦しさなど呼吸症状が出現します。
腹膜転移は、がん細胞が腹腔内に散らばった状態で、腹痛・腹水が溜まる・腹部膨満感・嘔吐などの症状が出るでしょう。
脳への転移は、転移した場所により症状が異なり、物が二重にみえる・うまくしゃべれない・麻痺が出る・痙攣・頭痛・吐き気などの症状が現れます。
骨への転移は稀ですが、転移すると痛み・しびれ・麻痺などの症状が出るでしょう。
大腸がんの症状
大腸がんは、早期の段階では症状がほとんどないといわれています。がんが進行するにつれて、大腸がん特有の症状が現れます。
ここでは、それぞれの症状について詳しく解説します。
血便
血便とは、がんを含める下部消化管出血により便のなかに血液が混じった状態または血液そのもののことをいいます。
大腸がんが腸内に発生すると、がん細胞が成長し周囲の組織に侵入したり、腸壁に潰瘍や炎症を引き起こしたりします。そのことが原因で腸内で出血が生じ、その血液が便に付着して排泄されるのです。
血便は、暗赤色~鮮血で目視で確認できます。出血している場所が直腸や肛門に近い場合、鮮やかな赤色の血便がみられます。
血便が見られた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
便習慣の変化
大腸がんができると、がんにより腸管内が狭くなり便の通過が困難になります。そのため、便秘や下痢を交互に繰り返すようになるのです。
また、便の形状や排便の頻度が変化する場合もあります。
排便の状態が以前と違うと感じる場合は、腸内で異常が生じている可能性があります。気になる場合には医師に相談しましょう。
便の細小化・残便感
大腸がんになると、便が細くなり形状が変わります。腸管内にがんができることで、正常に便が通過できなくなり、細い便として排泄されている可能性があるのです。
また、排便後に便を出し切れていない感じが続くことがあります。これを残便感といいます。
腸内に何らかの問題が生じている可能性があります。
腹痛
大腸にがんができると、がんが腸管の内部を狭めたり閉塞させたりするため、腹痛や不快感が生じる場合があります。
痛みは持続することは少なく、腸管の蠕動運動に伴って間欠的に痛みが生じることが少なくありません。
がんにより、腸管が完全に詰まってしまうと腸閉塞を引き起こし、腹痛や嘔吐などを生じる場合もあります。
嘔吐
大腸がんによって腸閉塞を起こすと、嘔吐が生じる場合があります。
大腸がんが進行し腸管内でがんが大きくなると、腸管を狭くしたり完全に通り道を塞いでしまったりします。食べ物や消化された物が腸内を正常に通過できなくなり、腸内に詰まりが生じる現象が腸閉塞です。
腸閉塞が進行すると、内容物が逆流するため嘔吐を引き起こします。
また、腸閉塞に伴う激しい腹痛や腹部膨満感も嘔吐を誘発する原因となる場合があります。
腸閉塞のほかに、腹水が溜まって腹部が圧迫され嘔気嘔吐を引き起こす場合もあるでしょう。
嘔吐症状は、消化管の異常を示す重要なサインであるため、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
貧血
大腸がんによる貧血は、慢性的な出血が原因です。
腸壁にできた腫瘍から出血し、それが長期間続く場合があります。出血量が少量であっても、出血が持続すると体内の鉄分が徐々に失われていくため、鉄欠乏性貧血を引き起こすのです。
また、大腸がんの出血は必ずしも目に見える血便として現れるとは限りません。便潜血検査で判明することもあります。
貧血の症状である疲労感・めまい・息切れなどが現れた場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
大腸がん転移・余命についてよくある質問
ここまで大腸がんの転移や余命について紹介しました。ここでは「大腸がん転移後の余命」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
大腸がんの進行は早いですか?
大腸がんの進行速度は、がんの種類や性質・個人の健康状態・遺伝的要因などにより異なりますが、一般的には数ヵ月~数年かけてステージが進行します。大腸がんは通常、良性のポリープから発生し、がんになるまで10年程かかるといわれています。進行がゆっくりではありますが、症状が現れる前にがんが進行している場合もあるため注意が必要です。
大腸がんの転移にはどのような治療を行いますか?
大腸がんが転移した場合は、がんが発生した場所に対して可能であれば外科的切除を行います。また、がんの進行具合や患者さんの体の様子に合わせ、化学療法や放射線療法を取り入れます。骨に転移した場合には、放射線療法と併用し痛みを軽減する治療が行われるでしょう。
編集部まとめ
大腸がんはどこにでも転移する可能性があるがんで、なかでも多いのが肝臓・肺・腹膜・骨・脳への転移です。
他臓器に転移している状態は、ステージ4に分類されます。外科的切除だけでは治療が困難な場合が多く、化学療法や放射線療法を併用し治療が行われるのが一般的です。
転移した場合の5年生存率は10〜20%で、大腸にがんが限局している場合の5年生存率85〜90%と比較すると、余命が断然短くなることがわかります。
大腸がんは早期に発見し、外科的切除ができ適切な治療を受けられると、余命を伸ばせる可能性があります。
気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。また、定期的に検診を受け異常にいち早く気付けるよう、日頃から体のメンテナンスが大切です。
大腸がんと関連する病気
「大腸がん」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
大腸がんは、他臓器へ転移する可能性が高いがんです。肝臓への転移が特に多い傾向にあります。
進行は緩徐ながんであるため、早期に発見できると他臓器へ転移する前に治療が受けられる可能性が高まります。
大腸がんを早期発見するには、定期的な検診が大切です。
大腸がんと関連する症状
「大腸がん」と関連している、似ている症状は7個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
大腸がんの症状には、大腸の異変を知らせてくれるものがあります。下痢や便秘を繰り返したり、便が細くなったり、残便感が出たりする場合には、大腸が正常に働いていない可能性が高いです。
その他に、腹部症状・嘔吐・貧血など気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。


