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「膝内障」に含まれる病気や症状・原因を解説!膝の痛みはありませんか?

 公開日:2023/08/16
「膝内障」に含まれる病気や症状・原因を解説!膝の痛みはありませんか?

膝内障(しつないしょう)とは、膝関節内で起こるさまざまな損傷や滑膜性疾患を総称した状態を指します。

昔は、膝の曲げ伸ばしの動きが制限される状態を指す言葉として使われていました。しかし現代医学では、特に半月板損傷や靭帯損傷など特定の疾患を引き起こす状態をいいます。

この記事では、膝内障の原因について詳しく説明し、特徴的な症状や含まれる可能性のある病気についても解説します。

また、診断の方法や治療の選択肢についても詳細に紹介するのでご一読ください。さらに、日常生活での注意点や自己管理の方法についてもお伝えします。

膝内障は重要なテーマですので、できるだけ分かりやすく解説します。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

膝内障(しつないしょう)の原因や症状

説明をするドクター

膝内障とはどのような状態ですか?

膝内障とは、膝の中で起こるいろいろな問題をまとめた病態です。具体的には、膝の中にある「半月板」や「靭帯」という部分が傷ついたり、その他の膝の中に関わる問題が起きた状態の総称をさします。
別の言い方をすれば、膝内障は膝の痛みや不調の原因が特定されていない、あるいは複数の問題が絡んでいる状態を指すことが多いです。
たとえば、膝の痛みが半月板という膝の中にあるクッションのようなものが損傷したことが原因だった場合には半月板損傷という病名に変化する場合があります。

膝内障に含まれる病気は?

膝内障という言葉は、膝が痛いときに医者が使う一般的な言葉で、その中には色々な具体的な病気が含まれます。たとえば、下記の病気はどれも膝内障の疾患の1つです。

  • 半月板損傷
  • 靭帯損傷
  • 関節内遊離体
  • 離断性骨軟骨炎
  • 膝蓋軟骨軟化症
  • 膝特発性骨壊死

「半月板損傷」は膝のクッションのような部分が傷ついた状態で、「靭帯損傷」は膝を支える線維が傷ついた状態を指します。また、「関節内遊離体」は膝の中に異物がある状態のことです。
「離断性骨軟骨炎」は骨と軟骨の間に問題がある状態のことを指し、「膝蓋軟骨軟化症」は膝の蓋の部分の軟骨が弱っている状態を指しています。また、「膝特発性骨壊死」は膝の骨が壊死している状態のことです。
このように膝内障と一言でいっても、さまざまな病気が含まれています。また、これらの病気はそれぞれ違う原因で起こり、症状も異なるため、それぞれ適切な診断と治療が必要です。

原因について教えてください。

膝内障の原因は、膝に対するさまざまなダメージです。スポーツをしているときや運動中に膝を強くぶつけたり、転んで膝を打ったりするような事故が含まれます。
また、長い時間にわたって膝に大きな負担をかけ続けること、つまり膝を過度に使い続けることも膝内障の原因です。さらに、年齢とともに膝の部分が自然にすり減ったり、劣化したりすることも膝内障を引き起こす原因です。
たとえば、膝内障の1つである半月板損傷という病気は膝を急に強くねじったり、何かにぶつけて膝に直接的な打撃を受けたりすることで起こることがあります。年齢とともに半月板が自然にすり減り、弱くなることもあります。
膝内障という言葉は、これらのさまざまな病気や状態を一まとめにしたものです。それぞれの病気や状態には、それぞれ特有の原因があります。そのため、膝に痛みや不調がある場合は、専門の医師に診てもらうことが大切です。

どのような症状がありますか?

膝内障の症状は、いくつかありますが、主なものには以下のようなものがあります。

  • 膝の痛み
  • 膝がひっかかる感じ
  • 膝が固定されて動かなくなる状態(これを嵌頓といいます)
  • 膝が腫れてくる(これを関節水腫といいます)

特に、半月板が傷ついた場合には、日常生活に支障をきたす場合があるため注意が必要です。たとえば、膝を曲げたり伸ばしたりするのが難しくなったり、場合によっては歩いたりするのも大変になることもあるでしょう。
さらに、半月板損傷ではロッキング現象と呼ばれる膝が一定の位置で固まってしまい、それ以上曲げたり伸ばしたりできなくなる状態にもなりかねません。
これらの症状が出た場合は、膝内障の可能性があるので、医療機関での診察が必要です。

膝内障(しつないしょう)の診断や治療

診察する男性医師(整形外科・足)

どのような検査が行われますか?

膝内障を調べるためには、主にMRIという検査が行われます。MRIとは、強力な磁気と無線波を使って体の中の詳細な画像を作り出す機械のことです。
このMRI検査を使うと、膝の中の半月板や靭帯といった部分がどれくらい傷ついているのか、詳しく確認できます。
これによってどの部分がどの程度損傷しているのかを正確に把握し、適切な治療法を選ぶための重要な情報を得られます。

膝内障の診断方法を教えてください。

半月板損傷を調べるためには、医師が直接診察を行い、さらにMRIという特殊な機械を使って膝の中を詳しく確認することが必要です。医師の診察では、膝に触れて痛みがあるかを確認したり、特定の動きをさせてみて反応を見たりします。
これらのテストには、マクマレーテスト・アプレ―テスト・過伸展テストという名前がついています。診察の後に行うのが、MRI検査です。半月板はレントゲンやCTでは見えないため、MRIが必要になるからです。
半月板の傷は縦に裂けたり、横に裂けたり、水平に裂けたりとさまざまな形をとります。また、傷ついた場所によって、治る速さも変わります。そのため、MRI検査は、どのように治療を進めるべきかを決めるためにも大切です。
ただし傷が小さい場合や、特定の場所に傷がある場合は、MRI検査だけでは見つけるのが難しいこともあります。そのような場合は、特別な撮影方法の使用・患者さんの詳しい病歴の確認・医師による診察などによって、診断を行います。

治療方法を教えてください。

膝内障の治療方法は、基本的には「保存療法」と「手術」の2つがあります。保存療法は、薬の使用・安静・リハビリなどの手術をしないで治療を進める方法です。
一方、手術が必要な場合もあります。その中でもよく行われるのが、「膝関節鏡」という特殊なカメラを使った手術です。
この手術では、半月板という膝の中の部分を取り除いたり(これを半月板部分切除術といいます)、傷ついた部分を縫い合わせたり(これを半月板縫合術といいます)します。

膝内障(しつないしょう)の注意点やセルフケア

足が治った男性(笑顔)

普段の生活での注意点は?

膝内障を防ぐためには、日常生活の中でいくつか気をつけることがあります。まず、適度な運動やストレッチングをすることが大切です。これにより、膝を支える筋肉を強くし、膝への負担を軽減できます。
また、体重を適切に管理することも重要です。体重が重いと、膝への負担が大きくなり、膝内障のリスクが高まる可能性があります。
さらに、スポーツをするときは、膝を守るための適切な装備を使うことが大切です。たとえば、膝パッドやサポーターなどを使うと、膝を保護して怪我を防げます。
これらのことを心がけることで、膝に過度な負荷をかけることを避け、膝内障のリスクを低く保てます。

膝内障のセルフケアについて教えてください。

膝内障の自分でできるケアとしては、膝が痛いと感じたら、無理をせずにゆっくりと休むことが大切です。無理に動かしてしまうと、さらに膝を傷つける可能性があります。
また、膝が痛いときや腫れているときは、冷たいパックを使って膝を冷やすと良いでしょう。これによって痛みを和らげたり、腫れを少なくできます。
さらに、膝を支える筋肉を強く保つために、適度な運動をすることもおすすめです。ただし、運動は膝に負担をかけないように、ゆっくりとやさしく行うことが大切です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

膝内障の早期発見、早期治療は非常に重要です。もし膝に違和感や痛みを感じたら、すぐに専門医に相談しましょう。自分で判断して放置したり、無理をすると、症状が悪化する可能性があります。
健康な膝関節を保つためには、適切なケアと専門家のアドバイスが必要です。専門医が適切な診断と治療を行ってくれますので、心配な場合は迷わず相談してください。

編集部まとめ

メディカルスクラブを着た男女の医療従事者
この記事では膝内障について詳しく解説をしてきました。膝内障は、膝関節内の損傷や滑膜性疾患を含むさまざまな障害のことを指します。主な疾患としては半月板損傷や靭帯損傷があります。

これらの損傷の程度を詳しく確認するためには、MRI検査が役立つでしょう。MRIを使うことで、半月板や靭帯の損傷の程度を詳細に確認できます。

膝内障の治療方法は、保存療法や手術が主な選択肢です。保存療法では、薬やリハビリなどを使って治療を進めます。一方、手術が必要な場合には、膝の損傷部分を修復する手術が行われます。

膝内障は早期に発見し、早めの治療が非常に重要です。もし、膝に違和感や痛みを感じた場合は、専門の医師に早めに相談しましょう。

この記事の監修医師