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「卵巣がんの進行スピード」はどれくらい?症状や治療法も解説!医師が監修!

 公開日:2024/04/11
「卵巣がんの進行スピード」はどれくらい?症状や治療法も解説!医師が監修!

卵巣がんの症状はご存知でしょうか。実は、卵巣がんは初期症状がほとんどないといわれているため、発見されたときにはがんが進行していることが少なくありません。

そのような背景から「サイレントキラー」ともいわれており、女性にとっては恐ろしいがんの一つでしょう。お腹が張るなどの体型に変化があれば、注意が必要かもしれません。

この記事では、卵巣がんの進行スピードや症状について解説します。治療法についても併せて紹介するので、参考にしてください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

卵巣がんとは?

卵巣がんとは、卵巣に発生する悪性腫瘍です。
卵巣は子宮の左右に一つずつある親指の先くらいの大きさの臓器ですが、がんが進行すると直径10センチを超えることがあります。
特に初期では症状がわかりにくく、生活に支障が出ることはほとんどありません。しかし、がんが進行して大きくなると、下腹部に違和感が生じるようになります。
そのため、卵巣がんは進行した状態で見つかることがほとんどです。お腹だけに変化が生じる場合は、一度受診を検討してください。
なお、進行した卵巣がんは手術と薬物療法で治療します。再発率が高い傾向にある卵巣がんは、治療が終わっても経過観察が必要です。また、卵巣がんの種類はさまざまで、10〜60代まで幅広い年齢層で発症する可能性があります。
発症率は低いですが、女性であれば誰でも発症する可能性があるので、日頃から体調の変化には注意する必要があるでしょう。

卵巣がんの進行スピードは?

卵巣がんの進行スピードはがんの種類や体質などに左右されるため、人それぞれで進行スピードは異なります。
さまざまな種類がある卵巣がんですが、卵巣がんの約90%が上皮性腫瘍といわれています。そして、上皮性腫瘍の半分は漿液性がんという進行スピードが速い特徴をもつため、できる限り早い段階で治療を始める必要があるでしょう。
また、卵巣がんの進行度を「ステージ」といい、がんの大きさや数、転移の有無などで決まります。ステージは1〜4期の4つに分かれ、卵巣がんのステージは下記のとおりです。

  • 1期(がんが卵巣内にとどまっている状態)
  • 2期(がんが子宮・卵管・直腸や膀胱の腹膜に広がっている状態)
  • 3期(がんがリンパ節、もしくはお腹の腹膜や小腸に転移している状態)
  • 4期(がんが肝臓や肺に転移している状態)

2期以降は「進行がん」と分類されます。進行がんとは、がんが大きくなったり周辺に広がったりした状態のことで、予後はあまりよくありません。
また、卵巣がんは初期症状がわかりにくいので、進行スピードが速いと感じる方が多いかもしれません。

卵巣がんの症状

卵巣がんは症状がほとんどありません。しかし、がんが進行すると徐々に症状を感じるようになります。この小さな変化に気付くことで、早期の治療が可能です。
それゆえ、日頃から体調変化に注意しておくとよいでしょう。これから卵巣がんの症状を紹介します。

初期は自覚症状がほとんどない

卵巣がんの初期では、自覚症状はほとんどないといわれています。初期では、がんが卵巣内にとどまっており、サイズも小さいため自覚しにくい状態といえるでしょう。

服のウエストがきつくなる

卵巣がんが進行するとがんが大きくなり、服のウエストがきつく感じることもあります。
本来、卵巣は親指台の大きさですが、がんが大きくなると10センチを超えることがあります。大きくなったがんが腹部に影響を与えることで、服のサイズが合わなくなる原因となるのです。

腹部のしこり

腹部の左右どちらか、もしくは両方にしこりが生じることがあります。
卵巣は子宮の左右に一つずつある臓器で、卵巣がんは進行すると卵巣内で大きくなります。そのため、肥大化した卵巣が腹部のしこりとして触れることがあるでしょう。

腹痛・お腹の張り

がんが大きくなると、腹痛やお腹の張りが出てきます。肥大化した卵巣が骨盤内にあるほかの臓器を圧迫することが原因です。
また、卵巣以外に子宮や卵管、肝臓・胃などの臓器を覆う腹膜にがん細胞が広がり、腹膜に炎症がおこると腹水の症状が出るようになります。
腹水はお腹に水がたまる症状で、腹水の量が増えることもお腹の張りの原因として挙げられます。

食欲がなくなる

腹膜までがん細胞が広がると、腹水がたまるようになります。
腹水によってお腹の張りが強くなることで、食欲がなくなる症状が出ます。食欲がない状態が続くと低栄養状態になり、免疫力が低下する恐れがあるでしょう。
このように、お腹の張りと食欲低下を感じたら卵巣がんが進行した症状かもしれないので、医療機関で一度検査を受けましょう。

頻尿・便秘

卵巣がんが進行して、がんが大きくなると卵巣が肥大化します。肥大化した卵巣が膀胱や腸を圧迫してしまうと、頻尿・便秘などの症状をともなうことがあります。

足のむくみ

卵巣がんが進行し卵巣が肥大化すると、付近のリンパ管や血管が圧迫され流れが悪くなります。これにより、足のむくみといった症状が引き起こされるのです。

腹部が前に突き出る

卵巣がんが進行すると、お腹の中に水がたまる症状が現れます。これは腹水と呼ばれるもので、ほかの臓器や腹膜にがん細胞が広がることが発生原因の1つです。
がん細胞の影響で腹水がたまり続けると、腹部が前に突き出る症状が出ます。

卵巣がんの治療方法

卵巣がんのほとんどは手術でがんを取り除き、薬物療法で治療する流れです。
手術で取り除くことがむずかしい場合は、先に薬物療法でがんを小さくしてから、手術をする場合もあります。卵巣がんはステージ・がんの種類・悪性度の高さで治療方法が大きく異なるため、検査でがんの病態をきちんと理解することが大切です。

手術

手術は卵巣がんを取り除く治療で、ステージによって処置が異なります。卵巣がんの初期である1期では、卵巣内にがんがとどまっている状態です。
そのため、がんに侵された卵巣を取り除きます。続いて子宮・大綱・リンパ節など、再発のリスクがある臓器や器官を取り除く処置をします。
再発を防ぐだけでなく、取り除いた部位を検査し、がんの細かい情報をえることが目的です。
2〜4期ではがんが広がり、ほかの臓器や器官にがん細胞が転移していることがあります。その場合、手術だけではすべてのがんを取り除くことがむずかしいため、薬物療法を併せて行う必要があります。

薬物療法

ほとんどの卵巣がんは、漿液性がんと呼ばれる薬物療法が効きやすい種類のがんです。そのため、手術で取りきれないがんや手術の効果を高める目的で薬物療法を実施します。
薬物療法では、抗がん剤を使用した化学療法をメインに行います。
化学療法は、がん細胞を標的とした分子標的薬やがん細胞を攻撃する細胞障害性抗がん薬を利用する場合がほとんどです。また、術後の維持療法でも薬物療法は活躍し、手術よりも体の負担が少ないです。
ただし、副作用として吐き気・食欲不振・倦怠感・脱毛など、薬の種類によってさまざまな症状が出る可能性があります。

卵巣がんの進行スピードについてよくある質問

ここまで卵巣がんの症状・治療法などを紹介しました。ここでは「卵巣がんの進行スピード」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

卵巣がんは進行スピードが速いのですか?

馬場 敦志医師

卵巣がんはがんの種類がさまざまで、進行スピードはがんの種類により異なります。そのため、一概に速いとはいえません。しかし、卵巣がんの一つの種類である漿液性がんは、進行スピードが速いといわれています。また、卵巣がんは症状がわかりにくいため、進行してから見つかることがほとんどです。それゆえ、進行スピードが速いと感じる人は少なくないでしょう。

進行スピードは異型度によっても変わるのですか?

馬場 敦志医師

進行スピードは異型度で変わります。異型度とは正常な細胞との形の違いの程度を指し、異型度が高い程、がんの悪性度が高いです。なお、進行スピードが速いといわれる漿液性がんは高異型度と低異型度に分かれており、より進行スピードが速いのは高異型度のがんです。

編集部まとめ

今回は卵巣がんの進行スピードや症状などを解説しました。卵巣がんは自覚症状が出にくいがんであるため、早期発見はむずかしいかもしれません。

しかし、卵巣がんは手術でがんを取り除き、薬物療法を続けることで改善が期待できます。そのためには、できる限り早期に治療を行うことが大切です。

また、卵巣がんの進行スピードは速いことがほとんどですが、ある程度進行してからでないと自覚症状が出ません。そのため、できるだけ早く卵巣がんを見つけるためには、少しの体調変化にも早めに気付くことが重要です。

「下腹部が張る」「しこりがある」などの症状があれば、一度医療機関で相談してみてください。

卵巣がんと関連する病気

「卵巣がん」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

卵巣がんは年齢が上がるにつれてリスクが高まるといわれています。その理由は排卵の回数が多いためです。関連する疾患も、同様に女性ホルモンが関わっており、ホルモンバランスが影響しています。また、卵巣がんは自覚症状が出にくいため、がんが転移する可能性が考えられます。

卵巣がんと関連する症状

「卵巣がん」と関連している、似ている症状は6個程あります。
各症状・原因・治療法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

卵巣がんは症状が出にくいだけではなく、特徴的な症状もほとんどありません。ほかの疾患でも見られる症状が多いため、がんの症状だと感じる人は少ないでしょう。日頃から体調変化に気を遣い、今回紹介した症状と当てはまるものがあれば早めに医療機関を受診するようにしてください。

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