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「原因不明の急性肝炎」で子ども1人死亡 国内初の死者報告 国立感染症研究所

 公開日:2023/04/18
国立感染症研究所 「原因不明の急性肝炎」で子ども1人死亡と発表

アメリカやヨーロッパを中心に2022年4月からこれまでに1000例以上が報告されている原因不明の「急性肝炎」について、国立感染症研究所は国内でも子ども1人が死亡していたことを発表しました。このニュースについて中路医師に伺いました。

中路 幸之助 医師

監修医師
中路 幸之助(医師)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

国立感染症研究所が発表した内容とは?

今回、国立感染症研究所が発表した内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

国立感染症研究所が2023年3月29日に発表した文書によると、2023年2月16日までに原因不明の急性肝炎が国内で156例報告されました。原因となる病原体や発症の時期については明らかな傾向は認められていないほか、地域的な偏りはみられていません。156例のうち54%にあたる84例が男性、46%にあたる72例が女性でした。また、患者の年齢は1歳4カ月から9歳2カ月で、年齢中央値は4歳6カ月でした。最もよくみられた症状は発熱、消化器症状だったそうです。ICU/HCU入室例は17%で、急性肝不全の診断基準を満たす者は、PT-INRに関する情報の得られた99例のうち17例でした。急性肝不全の診断基準を満たす者17例のうち、肝移植が必要になったケースは3例あったとのことです。

そして、国内初となる死亡例も1例報告されました。全血、血清、便、呼吸器由来検体を主な対象とした病原体検査の結果、150例のうち11例で新型コロナウイルスが検出されました。また、アデノウイルスの検査の結果、151例のうち16例からアデノウイルスが検出されました。アメリカやヨーロッパで重症急性肝炎との関連について注目されているアデノウイルス41型は2例から検出されたとのことです。ただし現時点では、症例から検出された病原体について特徴的な傾向を認めないとしています。

原因についての研究は?

原因不明の急性肝炎について、どのような調査・研究結果が出ているのか教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

原因不明の急性肝炎について、2023年3月30日に科学雑誌「ネイチャー」では3つの研究グループが論文を発表しています。3つの論文ともに、患者の多くからアデノウイルスと関連のあるアデノ随伴ウイルスが検出されたと報告しています。いずれの研究グループも、健康な子どもや肝炎とは関係のない病気の子どもも同時に調べていますが、これらの子どもからはアデノ随伴ウイルスはほとんど検出されなかったとのことです。

論文を発表した3つのグループのうち、アメリカのカリフォルニア大学などのグループは「複数のウイルスに同時に感染することが、原因不明の肝炎に影響している可能性がある」と指摘しています。また、今回紹介した国立感染症研究所の報告で患者から新型コロナウイルスが検出されたとのことでしたが、イギリス・グラスゴー大学などのグループは「調査した地域で新型コロナウイルスに感染していた急性肝炎の子どもの割合は、地域全体での子どもの感染割合よりも低く、新型コロナと急性肝炎の間に直接的な関連はないとみられる」と指摘しています。

国立感染症研究所の発表への受け止めは?

国立感染症研究所が発表した内容への受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

報告にあるように、日本においても肝炎が重症化し死亡された子どもがいたことは非常に残念であり、ご冥福をお祈り申し上げます。この子どもの肝炎に関しては、コロナ禍での行動制限によりウイルスの初感染年齢が高くなったための非典型的な反応などによるとの学説がありますが、はっきりとした原因は不明です。いずれにしても原因がわからないことには治療には結びつかず、このような不幸な転機を避けるためにも早急な原因解明が望まれます。

まとめ

アメリカやヨーロッパを中心に2022年4月からこれまでに1000例以上が報告されている原因不明の急性肝炎について、国立感染症研究所が国内でも子ども1人が死亡していたことを発表したことが今回のニュースでわかりました。アデノウイルスの関与の可能性が指摘されていますが、特定には至っておらず今後の調査に注目が集まります。

この記事の監修医師