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「腎臓がんの検査」を受けるべき症状はご存知ですか?検査費用も解説!【医師監修】

 更新日:2024/02/08
「腎臓がんの検査」を受けるべき症状はご存知ですか?検査費用も解説!【医師監修】

腎臓がん(腎細胞がん)という名称は聞いたことはあっても、詳しい症状や検査方法はご存知でない方が多いです。

この記事では腎臓がんの基本情報をはじめ、検査方法や生存率についても解説しています。どのがんにもいえることですが、早期発見が何よりも大切です。

このがんは初期段階では自覚症状がほとんどないため自分では気が付きにくいがんですが、早期発見するために必要なことについても言及しています。

ぜひ最後までお読みいただき、早期発見に繋げていただけたら幸いです。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

腎臓がん(腎細胞がん)の初期検査

がんの検査にはいくつもの方法がありますが、腎臓がんは多くの場合、腹部超音波(エコー)検査・CT検査で見つかります。
確定診断のためにはCT検査が必要です。なんらかの事情によりCT検査ができない場合にはMRI検査を行うケースもあります。
また、これらの画像検査で診断ができないときには生検を行うこともあります。生検とは、がんかどうかや、がんの悪性度を調べるための検査です。細い針を使って組織の一部をとり、顕微鏡で調べます。

腎臓がんを疑う症状とサイン

腎臓がんは、初期段階ではほぼ自覚症状がありません。そのため、他の病気の検査などを行った際に偶然発見されるケースがほとんどです。
自覚症状が出始めるのは、がんが大きくなってからです。症状として、血尿・背中や腰の痛み・腹部のしこり・足のむくみ・食欲不振・吐き気・便秘・腹痛などが挙げられます。気になる症状がある場合は、泌尿器科を受診しましょう。

血液検査と尿検査の役割

血液検査や尿検査は、全身の状態や腎臓の機能を調べるために行われます。
しかし注意していただきたいのは、これらの検査で確定診断が行われるわけではないということです。確定診断をするためには、上記に記載したような検査が必要となります。
血液検査や尿検査はあくまで、全身や腎臓に異常がないかを調べるために行うのです。

腎臓がんの確定診断

ここまで、初期検査についてご説明してきました。また、確定診断のためにはCT検査や生検が必要であることもお伝えしました。ここでは、確定診断がどのようにして行われるのか、詳しくご説明していきます。

診断までのプロセス

多くは腹部超音波(エコー)検査・CT検査で見つかります。
超音波検査は超音波を体の表面にあて、臓器から返ってくる反射を画像にして確認する方法です。
CT検査の場合は、造影剤を静脈から注入して短時間に多くの画像を撮影し、がんがあると考えられる部位の血液の流れを観察します。これらの画像検査での確定診断が難しい場合、生検を行うこともあります。

生検とその手順

生検は、がんと考えられる部位が本当にがんかどうかや、がんの悪性度などを調べるために行う検査のことです。
生検の手順は、まず細い針を患部に刺して組織の一部を採取します。その後、採取した組織の状態を顕微鏡を使い詳しく調べます。生検は、画像検査を行ってもはっきりとした診断が難しいときに用いられる方法です。

確定診断後のステップ

確定診断がされたあとは治療に移ります。治療方法は、がんの進行度合いを表すステージ・がんの性質・体の状態などを考慮して検討されます。

腎臓がんのステージング

腎臓がんと診断されたあとは、がんのステージングが行われます。ステージとは、がんがどの程度進行しているのかを表す指標であり、それを決定することがステージングです。
どのステージになるかにより、治療方法が異なってきます。ここでは、ステージングについて詳しくご説明していきます。

腎臓がんのステージング基準

ステージは、ローマ字を使用した表記が一般的に用いられています。
このがんの場合はI期〜IV期に分類され、進行するにつれて数字が大きくなっていきます。がんの大きさや転移しているかどうかなどの要素によりステージングが行われるのです。

TNM分類の見方

ステージは、TNMという3種のカテゴリーの組み合わせで決定されます。
Tは原発巣の大きさや広がり・Nは領域リンパ節への転移の有無・Mはがんから離れた臓器やリンパ節への転移の有無です。これらの要素を腎臓がんの病期分類の表に当てはめることで、I期〜IV期のどのステージであるかを確かめることが可能です。

生存率比較

生存率には、大きく分けて2つの示し方があります。
1つは「実測生存率」で、死因に関係なく全ての死亡を含めた生存率です。
もう1つは「相対生存率」で、がんのみの死亡を計算した生存率です。ここでは実測生存率を用い、ステージ別の5年後の生存率を記載します。

  • I期:87.4%
  • II期:82.0%
  • III期:69.6%
  • IIV期:17.2%

III期とIV期で大きな差があることがわかります。早期発見がいかに大切かがよくわかる数値です。

治療計画に向けた検査

ステージングが行われたあとは、担当医と話し合い治療計画を立てます。ステージに応じた標準治療を基本として、本人の希望・生活環境・年齢・体の状態などを総合的に検討して治療方法を選択することが必要です。
ここでは、治療計画を立てるにあたってどのような検査が必要なのかについてご説明します。

腎臓がん治療選択に必要な検査

治療選択をする上で大切なことは、がんの状態を詳しく知ることです。
がんの大きさや性質を把握するための様々な検査が行われます。血液検査・CT検査・MRI検査・生検・骨シンチグラフィ・PET検査などが用いられます。

治療前の体内評価

腎臓がんの治療を行う前に、評価が行われます。具体的には、腎臓がんの組織型(がんの種類)の分類が行われます。
組織型は顕微鏡下でのがん組織の見え方により分類されますが、同じがんの中に複数の組織型が混在しているケースもあるのです。

治療効果のフィードアップとフォローアップ

治療が終わったあと、片方の腎臓を摘出して腎臓が1つになったとしても、もう片方の腎臓が正常であれば生活に支障はありません。残った腎臓の機能を維持するためにも、高血圧や糖尿病などに注意した生活を心がけましょう。
また、このがんは治療後10年以上経過しても再発する可能性があるのです。治療が終わったあとも、健康診断や人間ドックなどを定期的に受けるようにしましょう。

腎臓がん検査についてよくある質問

ここまで初期検査・確定診断・生存率・症状・ステージングなどを紹介しました。ここでは「腎臓がんの検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

どのような症状があれば腎臓がんの検査を受けるべきですか?

村上 知彦医師村上 知彦(医師)

腎臓がんは初期段階では自覚症状がほとんどなく、症状が出始めるのはがんが大きくなってからです。症状としては、血尿・背中や腰の痛み・腹部のしこり・足のむくみ・食欲不振・吐き気・便秘・腹痛などです。これらの症状が出たら早急に医療機関を受診するようにしましょう。

腎臓がん検査にかかる費用はどれくらいですか?

村上 知彦医師村上 知彦(医師)

受診する医療機関により異なるため、一概にはいえません。参考までに、国立がん研究センターでがん総合検診を受けた場合だと、男性:124,800円(税込)・女性:157,800円(税込)となっています。病気の治療をするわけではないため、検査にかかる費用は保険適応外です。また、市町村が実施しているがん検診を受ける場合には、検診費用の補助があります。補助額については市町村ごとに異なるため、詳しく知りたい方は問い合わせをしてみましょう。

編集部まとめ

ここまで腎臓がんについて詳しくご説明してきました。腎臓がんは初期段階では自覚症状がほとんどないため、自分では気が付きにくいがんです。

そのため、他の病気の検査を行った際に偶然発見されるケースが多いのです。健康診断やがん検診などを利用し、早期発見に努めましょう。

がんが進行したときの症状として、血尿・背中や腰の痛み・腹部のしこり・足のむくみ・食欲不振・吐き気・便秘・腹痛などがあります。

もしこれらの症状があれば、早急に医療機関を受診するようにしましょう。

腎臓がんと関連する病気

「腎臓がん」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

がんには腎臓がん以外にも、上記のようながんもあります。早期発見するためにも定期的な検診などを行うようにしましょう。

腎臓がんと関連する症状

「腎臓がん」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

これらの症状が思いあたれば、腎臓がんが進行してしまっている可能性も考えられます。少しでも心当たりのある方は一人で悩まずに、医療機関を受診するようにしましょう。

この記事の監修医師