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「骨肉腫の原因」はご存知ですか?症状・治療法も解説!【医師監修】

 公開日:2023/11/21
「骨肉腫の原因」はご存知ですか?症状・治療法も解説!【医師監修】

骨肉腫は、若年層に多く発症するのが特徴の腫瘍です。日頃から運動をされる方の場合、スポーツ外傷と誤認されることが多いため、早期発見が遅れることも珍しくありません。

誤認される理由は、発症初期の症状が熱を持った患部の腫れ・痛みなど、打ち身に近い症状が多いためです。

今回は骨肉腫の原因・症状や、治療法について解説していきます。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

骨肉腫とは?

骨肉腫は骨軟部腫瘍と呼ばれる、骨・筋肉・血管・神経といった部位にできる腫瘍の1つです。
骨軟部腫瘍は大きく分けて4つに分類できますが、100種類近く存在するため専門の医師による診断が必要不可欠です。
骨肉腫は骨軟部腫瘍の内、悪性骨腫瘍に分類されます。発症は10代~20代の若年層が特に多いですが、60代以降の発症も少数ですが確認されています。骨肉腫は年間を通じて約200例程度と、がんの中でも発症するケースは非常にまれです。

骨肉腫の原因

骨肉腫の発症原因は現在も研究が続けられており、不明な点が多いのが現状です。しかし、全く原因が分かっていない訳ではありません。
研究により因果関係があると考えられている原因は、現在の所3つ判明しています。これ以外にも発症する原因はあると考えられていますが、因果関係について明確なことが分かっていません。
ここからは、因果関係があると考えられている3つの原因について解説していきます。

がんの治療

骨肉腫の原因として、がん治療で行われる放射線療法・抗がん剤をはじめとした化学療法による発症が挙げられています。
これらが原因で発症した場合、二次性骨肉腫と呼ばれるのが一般的です。二次性骨肉腫と放射線・化学療法の因果関係として、二次性骨肉腫の発生個所や放射線治療の回数が挙げられます。

遺伝子の変異

骨肉腫は遺伝症候群により、発症のリスクが高まると考えられています。骨肉腫の発症と関連性があるとされている遺伝性疾患として、リー・フラウメニ症候群が代表的です。
リー・フラウメニ症候群はがんを抑制する遺伝子が変異し、骨肉腫だけでなく脳・肺・消化器などさまざまながんの発症リスクが高まります。その他にも遺伝性びまん性胃がん・リンチ症候群などが存在し、それぞれ発症リスクの高まる腫瘍は異なります。

骨パジェット病

骨パジェット病は、骨を生成する細胞が代謝異常によって異常が発生し、発症する症状です。症状として骨が脆くなったり変形したりし、歩行困難や骨折の原因になります。
骨パジェット病はアメリカ・ヨーロッパで多く確認され、40代以上に多く発症が確認されています。日本での発症率は極めて低いため、見逃されてしまうことも珍しくありません。
若年層に発症が多く確認されている骨肉腫ですが、骨パジェット病が原因の場合は壮年層の発症が多いのが特徴です。

骨肉腫の症状

骨肉腫は発症しやすい箇所が決まっており、主に大腿骨・脛・上腕骨などに発生することが特に多いです。ただしこれらの部分は、スポーツ中の怪我・成長痛などでも痛みや違和感を覚えることがあります。
そのため普段の痛みとの違いが判らず放置してしまったケースも少なくありません。しかし骨肉腫は軟部腫瘍の中でも発症するケースが稀な症状です。
なかなか痛みが引かない・腫れが収まらない場合、大学病院をはじめとした設備の整った病院で診察を受けるようにしましょう。

痛みや腫れ

骨肉腫が発生した場合、発生箇所が赤く腫れ上がる・痛みを感じるなどの症状が代表的です。
また周囲の骨が脆くなり、骨折する場合もあります。下半身に骨肉腫が出来た場合歩行障害に繋がる恐れもありますが、日頃から激しい運動をしている場合、打ち身による内出血や接触による骨折と勘違いされることも少なくありません。
応急処置や治療が完了してからも痛む場合、別の原因があると考え血液・レントゲン検査などで原因を特定しましょう。

神経症状

骨肉腫は発生箇所によって、痺れのような痛みを伴う場合があります。これは骨の破壊が進むと、周囲の神経にも悪影響を及ぼすようになるためです。
肉腫は身体を動かす・触れるなどで痛みが発生しますが、進行すると安静時・就寝時にも痛みを感じるようになります。
注意点として、痛みの緩和は治療において重要ですが、悪性・良性の判断基準に痛みは含まれません。
理由として腫瘍の発生自体は痛みを伴わず、発生することで神経に刺激が入るため痛みが発生するメカニズムになっているためです。
そのため痛みを感じないから問題ない、と自己判断せず身に覚えのない腫れが継続している場合、一度検査を受けてみましょう。

骨肉腫の治療

骨肉腫は治療法が確立される以前は確定診断が行われた後、四肢を骨ごと切断が望ましいと考えられていました。
しかし抗がん剤の進化や新しい術式の開発により、腫瘍を健康的な組織と共に切除する治療法が現在は主流となっています。
また症例によっては腫瘍が発生した骨を取り除いた後、液体窒素を利用してがん細胞を凍死させ、その骨を戻す治療法の選択も可能です。ここからは骨肉腫の治療法について解説していきます。

外科手術

骨肉腫の発生した四肢の切除が以前の主流でしたが、現在は切除・再建治療を選択する方が多いです。
切除手術を選択した場合、切除箇所は人工骨での再建か、生体組織と親和性の高いチタン合金による義体で補う必要があります。
人工骨・義体どちらにもメリット・デメリットが存在します。人工骨は耐用年数に優れているものの、周囲の骨との相性によっては骨折が発生しやすくなるのがデメリットです。義体は装着時に細かい調整が行えるため機能面では人工骨に勝りますが、耐久面に問題があり複数回手術が必要になる場合が多いです。

抗がん剤治療

抗がん剤をはじめとした化学療法は、外科手術・放射線治療と併用して行われます。化学療法で症状を改善し、外科的切除や放射線治療後も化学療法で症状の改善を図ります。
現在は化学療法では4種類の医薬品を、症状に応じて使い分ける治療法が主流です。今後の研究次第で新薬が開発されれば、更に多くの症例に対応が可能になると期待されています。

放射線治療

放射線治療はX線を照射することで細胞を死滅させる治療法です。メリットとして外科手術のようにメスを入れる必要がなく、日常生活を送りながら治療が行える点です。
治療は専用の部屋で行われます。治療時間はX線を照射する位置を調整する時間によって大きく変動し、X線の照射時間はごく僅かです。

骨肉腫の症例

骨肉腫は骨軟部腫瘍の1つと上記で解説しましたが、骨軟部肉腫にはさまざまな症例が存在します。良性・悪性も異なるため、専門的知識を有する医師による診断が必要不可欠です。
ここからは骨軟部腫瘍の症例を3つ解説していきます。治療のアプローチや発症しやすい部位がそれぞれ異なるのが、骨軟部腫瘍の確定診断が難しい理由の1つです。

軟骨肉腫

骨肉腫について多く発症が確認される悪性骨腫瘍が、軟骨肉腫です。
発症は30~50代が多く、腫瘍が発生する箇所として骨盤・大腿骨・上腕骨が挙げられます。
骨肉腫の違いとして、2023年現在でも外科治療における治療が第1選択肢であることが挙げられます。これは抗がん剤・放射線治療では、外科治療に匹敵する成果が挙げられていないためです。

ユーイング肉腫

ユーイング肉腫の発症は若年層に多く、大腿骨・上腕骨・腸骨・肋骨といった多くの場所に発症するのが特徴です。
ユーイング肉腫は他の肉腫と比較すると、放射線治療が有効であることが判明しています。
そのため腫瘍の切除・化学療法と放射線治療を組み合わせた、複合的な治療が多く採用されている症例です。

骨巨細胞腫

骨巨細胞種は厳密には悪性腫瘍ではありません。再発率の高さや転移が確認されているため、例外的に中間悪性腫瘍と位置付けられています。
発生箇所は膝周辺に集中しており、骨折するまで発症していることに気づかないことも珍しくありません。外科手術による治療が主流ですが、膝周辺に発症しやすいという特性から切除を行うのが難しいとされてきました。
現在は骨密度を高め骨折を防ぐデノスマブと呼ばれる医薬品により、薬物療法に切り替えることが可能です。

「骨肉腫」についてよくある質問

ここまで骨肉腫の原因・予防法などを紹介しました。ここでは「骨肉腫」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

骨肉腫は手術が必要ですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

骨肉腫の基本的な治療方針は外科手術です。化学療法を併用するケースもありますが、それによる完治を目指す訳ではなく、あくまで手術の成功確率をあげるための補助的なものにすぎません。転移を防ぐためにも、手術による切除が望まれます。

骨肉腫は再発しますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

骨肉腫は他の臓器で発生したがんが骨に転移して発症するのではなく、骨そのものががんになる病です。そのため再発するリスクは否定できません。術後も長期に渡る経過観察を続ける必要があるでしょう。

編集部まとめ

今回は骨肉腫について解説してきました。骨肉腫は痛みを伴うのが特徴ですが、発生箇所・初期症状から早期発見が遅れることが多いです。

現在は切断を伴わない術式も多く、外科・化学・放射線療法の3つをバランスよく使用した治療を受けられます。

治療方針の決定において重要なことは、少しでも早く確定診断を行うことです。そのために症状を自覚した場合は、速やかに検査を受けることが重要です。

骨肉腫と関連する病気

「骨肉腫」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

骨肉腫は骨軟部腫瘍と呼ばれる分類の1つであり、確定診断が行われるまでどの腫瘍に該当するか分からないことは珍しくありません。発症する分布は10~20代に集中しているため、成長痛と間違えにくいのも特徴です。

骨肉腫と関連する症状

「骨肉腫」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

自覚症状として神経に起因する痛みや、発症箇所周辺に腫れが発生します。また進行すると骨折しやすくなるため、打撲・接触などの記憶がなく上記の症状が出た場合は、検査を検討しましょう。

この記事の監修医師