「群発頭痛になりやすい人」の特徴はご存知ですか?症状・予防法も医師が解説!
群発頭痛になりやすい人とは?Medical DOC監修医が群発頭痛になりやすい人・症状・原因・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。
目次 -INDEX-
「群発頭痛」とは?
- 「いつも効くはずの鎮痛薬が効かない」
- 「目の奥や目の周りがすごく痛くて眠れない」
という症状があれば、群発頭痛の可能性があります。
群発頭痛は、目の周囲や前頭部の激しい痛みが数週間から数ヶ月間続くという頭痛です。夜間に頭痛発作が起こりやすく、あまりの痛さで眠ることができずに落ち着きのない興奮した状態が続くことが特徴です。比較的珍しい病気であるため、身近な人にそのような頭痛をお持ちの方がいない場合にはイメージしづらいかもしれません。今回はこの群発頭痛について解説していきます。
群発頭痛の代表的な症状
群発頭痛の発作には、ロキソプロフェンなどの一般的な鎮痛薬は効きません。医療機関から処方される内服薬や注射薬、点鼻薬が手元にある場合には、それを使って対応しましょう。それでも効果が不十分な場合には、脳神経内科や脳神経外科、頭痛外来を受診してください。
激しい目の痛み、じっとしていられない
群発頭痛は毎日のように起こる(群発する)強烈な痛みが特徴的です。側頭部や前頭部など頭の痛みもありますが、目の周りや目の奥をえぐられるような鋭い痛みを伴います。顎や歯に痛みが広がることもあります。
このような頭痛の痛みに耐えかねてじっとしていられなくなってしまい、睡眠中には痛くて目が覚めてしまうことも多く、落ち着かずに興奮した状態となります。
自律神経症状
目が真っ赤に充血したり、目の周りが腫れたり、涙や鼻水が止まらなかったり、鼻が詰まったりすることがあります。また、眼瞼下垂(まぶたが上がらない状態)や縮瞳(瞳孔が小さくなる状態)、顔面やおでこの発汗など、非常に多彩な自律神経症状が見られます。
頭痛の発作期間が数ヶ月か数年ごとにやってくる
群発頭痛は、数ヶ月から数年ごとに頭痛の発作期間がやってきます。
なんらかのきっかけで頭痛発作が現れると、毎日数十分から数時間程度の激しい頭痛が起こります。この頭痛発作の期間は、群発期と呼ばれ、1-2ヶ月の間続くことが多いと言われます。発作期間が終わると、数ヶ月から数年間は痛みが出ない時期(寛解期)が続きます。この群発期と寛解期を繰り返すという特徴があります。
群発頭痛の主な原因
群発頭痛の明確な発症メカニズムは分かっていないのが現状です。
以下のような、いくつかの仮説が考えられています。
群発頭痛は夜間や睡眠中などに起こりやすいため、体内時計の乱れが関与している可能性があります。
また、片側の激しい頭痛や自律神経症状が見られることから、脳神経の1つである三叉神経と自律神経が発症のメカニズムに関係している可能性も考えられています。
あるいは、ウイルス感染、目の周囲にある静脈系付近に炎症などが起こっている可能性なども挙げられています。
群発頭痛になりやすい人の特徴
20−40歳代の男性
群発頭痛にかかっている患者の比率は、人口10万人あたり56-401人程度といわれ、非常に少ない頭痛です。年齢は男女ともに20歳〜40歳台の働き盛りの世代に多く見られます。
男女比では男性に多く、女性の3〜7倍も多いといわれています。
飲酒量や喫煙量の多い人
アルコールや喫煙は、群発頭痛の悪化要因であることが知られています。
大量飲酒や喫煙量が多いと群発頭痛を新規に発症しやすい、とまでは言い切れませんが、群発頭痛の患者さんでは、アルコールや喫煙によって群発期(頭痛の発作期間)が始まってしまう要因になりやすいということが言われています。
群発頭痛の予防法
残念ながら発症を予防する明確な方法はありません。
群発期(頭痛の発作期間)には症状の悪化を食い止める予防方法を必ず実践しましょう。
処方薬を使う
群発頭痛の症状がある場合には、脳神経内科や脳神経外科を受診して治療に関する相談をよく行なってください。現状では、処方される薬の多くが群発頭痛としては保険適応外でありまた副作用も考えられるので、疑問点は解決しておくようにしましょう。カルシウム拮抗薬であるベラパミルという薬がよく使われています。そのほか、副腎皮質ステロイドや炭酸リチウム、バルプロ酸などが有効との報告があります。
なお、治療にはトリプタン製剤という薬や、酸素吸入が効果的です。ロキソプロフェンやイブプロフェンなどが有効成分である市販の鎮痛薬はほとんど効かないので、早めに受診するようにしましょう。
飲酒や激しい運動を控える
先ほど群発頭痛になりやすい要因のところでアルコールについて触れましたが、群発頭痛の悪化因子にアルコールがあります。また、過度な運動や高温の環境も悪化する要因と言われています。
睡眠時無呼吸の症状があれば治療する
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中の低酸素状態が続くことによって起床時の頭痛などが起こります。これは睡眠時無呼吸性頭痛といいますが、睡眠時無呼吸症候群は群発頭痛に関連があることが知られています。実際、群発頭痛の治療には酸素吸入は効果的です。
睡眠時無呼吸症候群は頭痛の他にも心血管系のさまざまな病気のリスク因子であるため、早めに治療を行う必要があります。
頭部MRI検査、眼科検査を受けておく
トリプタン製剤は群発頭痛に効果的ですが、トリプタンは血管を狭める作用があるため、もともと脳動脈に狭窄部位がある場合には脳梗塞になるリスクがあります。そのため、トリプタン製剤を使う場合には頭部MRI検査を受けて確認しておくことが重要です。また、脳腫瘍などの頭痛を発症する他の原因を検索するためにも頭部MRI検査は有用です。
また、激しく目が痛くなる症状が出現しますが、急性緑内障発作である場合には失明するリスクがあるため、可能であれば眼科を受診して眼圧測定検査をしておくと良いと思います。
「群発頭痛になりやすい人」についてよくある質問
ここまで群発頭痛になりやすい人などを紹介しました。ここでは「群発頭痛になりやすい人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
群発頭痛を発症している際に食べてはいけないものは何がありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
頭痛の発作期間には、アルコールを避けることが重要です。飲酒によって激しい痛みを強める可能性があります。また、辛い食べ物など刺激の強いものも避ける方が良いでしょう。もし、アルコールや辛い食べ物などを摂取しても痛みが起きない場合には、頭痛の発作期間を脱したと考えて良いと思います。
編集部まとめ
群発頭痛は周囲の方にあまりいないかもしれませんが、とにかく強烈な頭痛で一定期間大変な思いをする患者さんが多く、みなさんが群発期には苦労されています。
明確な原因がなく確立された予防法もありませんが、特に群発期には頭痛の悪化要因となることは避けるようにすることが必要です。
群発頭痛であると診断されれば、頭痛の予防や適切な治療を進められる状態になるため、疑わしい症状がある場合には早めに脳神経内科や脳神経外科、頭痛外来を受診するようにしてください。
「群発頭痛になりやすい人」と関連する病気
「群発頭痛になりやすい人」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
眼科の病気
- 急性緑内障発作
内科の病気
症状から頭や目の病気の関連がありますが、睡眠時無呼吸症候群などの全身疾患でも頭痛は引き起こされる可能性があります。
「群発頭痛になりやすい人」と関連する症状
「群発頭痛になりやすい人」と関連している、似ている症状は13個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
頭痛や目周囲の痛みがメインですが、目の充血や鼻汁、発汗など多彩な自律神経症状が見られることも特徴です。疑わしい症状がある場合には、早めの医療機関への受診を考慮しましょう。
参考文献