目次 -INDEX-

  1. Medical DOC TOP
  2. 医科TOP
  3. 健康診断
  4. 「胃カメラ画像でピロリ菌感染」は分かる?感染サインや発見できる病気を医師が解説!

「胃カメラ画像でピロリ菌感染」は分かる?感染サインや発見できる病気を医師が解説!

 公開日:2026/05/08
「胃カメラ画像でピロリ菌感染」は分かる?感染サインや発見できる病気を医師が解説!

胃カメラ画像でピロリ菌はわかる?メディカルドック監修医が、胃カメラ画像に現れるピロリ菌感染のサインや、正常な胃との違いなど解説します。

関口 雅則

監修医師
関口 雅則(医師)

プロフィールをもっと見る
浜松医科大学医学部を卒業後、初期臨床研修を終了。その後、大学病院や市中病院で消化器内科医としてのキャリアを積み、現在に至る。内視鏡治療、炎症性腸疾患診療、消化管がんの化学療法を専門としている。消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、総合内科専門医。

目次 -INDEX-

胃カメラ検査とピロリ菌の基本知識

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は、胃や食道の内部をリアルタイムで観察できる精度の高い検査です。ここでは、検査の基本的な仕組みと、ピロリ菌の特徴・感染経路・感染後のリスクについて、消化器内科医の視点から解説します。

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)とは

胃カメラとは、先端にレンズと光源を備えた細い管状の機器(内視鏡)です。口または鼻から挿入し、食道・胃・十二指腸の内側を直接観察します。粘膜の色調や形態の変化を詳細に確認したり、疑わしい部位から組織を採取したりすることができます。検査時間は多くの場合5〜10分程度です。また、希望により鎮静剤を使用した苦痛の少ない方法でも受けられます。

胃カメラで検査しておきたいピロリ菌とはどんな菌?

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に生息するらせん形の細菌です。ウレアーゼという酵素でアンモニアを産生し、強酸性の胃内でも生き続けることができます。感染経路は主に経口感染(口から口へ)とされており、衛生環境が整っていなかった時代に幼少期で感染した人が多いと考えられています。感染が持続すると慢性胃炎を引き起こし、やがて胃潰瘍や胃がんのリスクを高めることが知られています。

胃カメラの画像でピロリ菌の存在はわかる?

胃カメラの画像でピロリ菌を直接「見る」ことはできません。ピロリ菌は顕微鏡サイズの細菌であり、内視鏡で観察できるのはあくまで粘膜の変化です。ただし、熟練した内視鏡医であれば、粘膜の萎縮・発赤・ひだの変化といった特徴的な所見から、ピロリ菌感染の有無を推測することは可能です。確定診断には、内視鏡検査中の組織採取による迅速ウレアーゼ試験や、外来で行える尿素呼気試験・便中抗原検査などの検査が必要となります。

胃カメラの画像に現れる胃粘膜のピロリ菌感染のサイン

胃カメラ画像には、ピロリ菌感染によってもたらされた粘膜の炎症・萎縮・血管の透見など、さまざまな変化が現れることがあります。ここでは、正常な胃の画像との違いを含め、内視鏡で観察される代表的な感染サインについて解説します。

正常な胃とピロリ菌に感染した胃の違い

正常な胃の粘膜は、均一な淡いピンク色で光沢があり、胃体部(胃の中央の部分)大弯に見られるひだ(皺襞)はなめらかです。一方、ピロリ菌に感染した胃では、粘膜が赤みを帯びたり、萎縮して薄くなったりするため、光沢が失われ血管が透けて見えることがあります。正常な胃と感染した胃の画像は一見似ていても、熟練した内視鏡医であれば色調・光沢・ひだの太さなどから区別できます。また、胃粘膜が黒っぽく見える場合もありますが、これは出血後の変化や色素沈着、薬剤の影響などによることがあり、ピロリ菌感染に特異的な所見ではありません。

胃壁が白っぽくざらつく萎縮性胃炎

萎縮性胃炎は、ピロリ菌の長期感染によって胃粘膜が徐々に薄くなる状態です。内視鏡では粘膜が白っぽく変化し、表面がざらついた印象になることがあります。さらに進行すると、胃にはない腸の組織が混在する「腸上皮化生」が生じます。これは胃がんのリスク因子であることから、注意が必要な所見とされています。萎縮の範囲と程度を評価することが、今後の定期検査の間隔を決める判断材料にもなります。

胃壁に赤い斑点や鳥肌のような凹凸がある

ピロリ菌感染による粘膜の炎症が起きると、内視鏡で点状の発赤や赤い斑点が観察されることがあります。とくに若年層のピロリ菌感染者では、胃の前庭部(出口に近い部分)に鳥肌状の細かい凹凸が見られることがあり、「鳥肌胃炎」と呼ばれています。この所見はピロリ菌感染の典型的な画像として知られており、見逃せない変化の一つです。

胃カメラの「ピロリ菌」で気をつけたい病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「ピロリ菌」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

慢性胃炎

ピロリ菌感染者のほぼ全例で、胃粘膜に慢性的な炎症が生じます。自覚症状がないことも多いですが、みぞおちの不快感・膨満感・食欲低下などが現れることがあります。治療の基本はピロリ菌の除菌療法です。除菌によって炎症の改善が期待できます。症状が2週間以上続く場合や、胃カメラで異常を指摘された場合は、消化器内科を受診してください。ピロリ菌の感染が確認されていない場合でも、除菌前の検査として胃カメラが推奨されることがあります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、胃酸によって粘膜が深くえぐれた状態で、上腹部の痛みや嘔気が主な症状です。ピロリ菌感染が主要な原因の一つであり、治療は制酸薬(プロトンポンプ阻害薬)とピロリ菌除菌の組み合わせが基本です。除菌によって潰瘍の再発率が大幅に低下することが知られており、保険適用で除菌療法を受けることができます。激しい腹痛・吐血・黒色便が見られる場合は、速やかに消化器内科または救急を受診してください。

胃がん

日本人の胃がんの大部分はピロリ菌感染が背景にあるとされており、除菌によるリスク低減が期待できます。初期には自覚症状がないことが多く、胃カメラによる定期検診が早期発見に不可欠です。治療は病期に応じて内視鏡的切除・手術・化学療法などが選択されます。体重減少・食欲不振・上腹部の不快感・黒色便が続く場合は、早めに消化器内科を受診することをお勧めします。

胃ポリープ

胃ポリープとは、胃粘膜の一部がイボ状に隆起した病変の総称です。ピロリ菌感染と関連する「過形成性ポリープ」は、除菌後に縮小・消失することがあります。大部分は良性ですが、一部は悪性化する可能性があるため、内視鏡による定期観察が大切です。ポリープを指摘された場合は、種類と大きさに応じた対応が必要となるため、消化器内科でフォローアップを受けてください。

胃の「ピロリ菌」が気になる場合はどうすれば良い?

ピロリ菌感染が気になる場合や、健診でピロリ菌陽性と指摘された場合は、まず専門医に相談することが大切です。ここでは、感染を確かめるための検査方法から除菌治療の内容、日常生活でできる予防対策まで、消化器内科医の視点から解説します。

定期的な胃カメラ検査とピロリ菌の検査を行う

ピロリ菌感染の有無は、胃カメラ中の組織採取(迅速ウレアーゼ試験・病理組織検査)で調べることができます。その他の検査としては、非侵襲的な尿素呼気試験・便中抗原検査・血液検査などがあります。感染の有無をいち早く把握するためにも、症状がなくても40歳を過ぎたら一度は胃カメラ検査を受けることをお勧めします。早期に感染を確認することで、除菌後の定期検診計画を立てやすくなります。

ピロリ菌に感染したら除菌治療を行う

ピロリ菌感染が確認された場合、保険適用のある除菌治療を受けることができます。1次除菌では、プロトンポンプ阻害薬(PPI)と2種類の抗菌薬を1週間服用するのが基本です。1次除菌の成功率は約80〜90%とされており、失敗した場合は抗菌薬の組み合わせを変えた2次除菌を実施します。2次除菌まで含めれば、ほとんどの方で除菌に成功すると言われています。

日常生活でできるピロリ菌対策はある?

ピロリ菌感染の多くは幼少期に成立するとされており、現代の衛生環境では新規感染は減少傾向にあります。感染後は食事制限だけで菌を消失させることは困難ですが、塩分の多い食事や喫煙は胃粘膜への刺激を高めるため、節制が望まれます。生野菜や緑茶に含まれる抗酸化成分は、胃粘膜を保護する可能性が示唆されています。しかしながら感染が確認された場合は、除菌治療を受けることが最も確実な対処法です。

「胃カメラとピロリ菌」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「胃カメラとピロリ菌」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

胃カメラの画像だけで、ピロリ菌に感染しているか確定診断できるのでしょうか?

関口 雅則関口 雅則 医師

胃カメラの画像だけでピロリ菌感染を確定診断することはできません。内視鏡では粘膜の萎縮や炎症から感染の可能性が推測できます。確定診断には迅速ウレアーゼ試験・病理組織検査・尿素呼気試験などの追加検査が必要です。

胃カメラで胃壁が白っぽくなっていると分かった場合、ピロリ菌以外の原因も考えられますか?

関口 雅則関口 雅則 医師

胃壁の白っぽい変化(腸上皮化生・萎縮性胃炎)はピロリ菌以外にも、加齢や自己免疫性胃炎でも生じることがあります。正確な原因を特定するためには、組織採取と病理検査が有用です。いずれにせよ、白っぽい変化が確認された場合は消化器内科での精査をお勧めします。

胃カメラで赤い斑点や鳥肌胃炎が見られた場合、ピロリ菌に感染しているのでしょうか?

関口 雅則関口 雅則 医師

鳥肌胃炎はピロリ菌感染と非常に強く関連している内視鏡所見です。ただし、赤い点状出血そのものは他の炎症でも起こりえます。鳥肌胃炎や赤い斑点が見られた場合は、ピロリ菌検査を行い、感染の有無を確認することをお勧めします。

ピロリ菌は除菌後も内視鏡検査が必要なのでしょうか?

関口 雅則関口 雅則 医師

除菌後も定期的な内視鏡検査は必要です。除菌によって炎症は改善しますが、すでに生じた萎縮や腸上皮化生は完全には回復せず、胃がんのリスクがゼロになる訳ではありません。除菌後も1〜2年に1回程度の胃カメラ検査を継続することが推奨されています。

まとめ

胃カメラの画像でピロリ菌を直接確認することはできません。しかしながら、粘膜の萎縮・びまん性発赤・鳥肌胃炎などの所見から、感染の可能性を推測することは可能です。感染が疑われる場合は追加検査で確定診断を行い、陽性であれば積極的に除菌治療を検討してください。胃がんをはじめとする重大な病気の予防のためにも、定期的な胃カメラ検査を習慣にすることが大切です。

「胃カメラとピロリ菌」の異常で考えられる病気

「胃カメラとピロリ菌」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

消化器系の病気

血液系の病気

血液系

ピロリ菌は胃・十二指腸の病気だけではありません。鉄欠乏性貧血や特発性血小板減少性紫斑病など、一見消化器とは無関係に思える全身疾患にも関与していることが知られています。原因不明の貧血や血小板の低下が続く場合も、ピロリ菌検査を検討してみてください。

「胃カメラとピロリ菌」に関連する症状

「胃カメラとピロリ菌」に関連する症状は8個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

ピロリ菌感染によって引き起こされる症状は、胃の不快感や痛みなど比較的ありふれたものが多く見られます。そのため、「疲れや食べすぎのせい」と見過ごされがちです。症状が2週間以上続く場合や、黒色便など出血を疑う症状がある場合は、速やかに消化器内科を受診してください。

この記事の監修医師