「バリウム検査」前後に”コーヒー”を飲むとどうなるかご存じですか?医師が解説!

バリウムの前日・当日・直後にコーヒーはNG?メディカルドック監修医がカフェインの影響や飲んでしまった時の対処法、検査後いつから飲んで良いか等を解説します。

監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)
目次 -INDEX-
胃のバリウム検査は飲み物に要注意
バリウム検査は、造影剤であるバリウムと胃を膨らませる発泡剤を内服して、X線で胃の内部を撮影する検査です。胃の粘膜表面に付着した造影剤をさまざまな角度から撮影して観察することで、胃の病変を見つけることができます。しかし、胃の粘膜にバリウムを付着させることで検査をするため、検査の前後の食事や飲み物の種類によっては検査に影響が出てしまうこともあり、注意が必要です。
バリウム検査当日の水分摂取
一般的にバリウム検査を行う前日21時以降(検査施設により指示が異なる場合があります。検査を行う施設の指示にしたがってください)は食事ができません。食事を摂ると、食べ物が胃に残り、病変と区別がつきづらく、正確に検査ができなくなるためです。21時以降から検査までは水以外は飲まないようにしましょう。朝から検査の2〜3時間前までに少量(コップ1杯程度)の水の摂取は可能です。詳しくは検査機関の指示に従ってください。
バリウム検査当日にコーヒーやお茶を避ける理由
コーヒーやお茶などの飲料は、胃を刺激して胃酸が分泌されやすくなり、胃壁にバリウムがつきづらくなる可能性があります。このためバリウム検査当日には水以外の水分はとらないようにしましょう。また、コーヒーやお茶は利尿作用があるため、脱水をおこしやすいという点でも検査前に飲むのは避けましょう。
バリウム検査直前は水も飲んではいけない?
バリウム検査は、2時間前から絶飲食となります。直前は、例え水でも飲むことでバリウムが胃粘膜に付着しづらくなり、正確な検査が行えない可能性があるため飲んではいけません。万が一間違って水を飲んでしまった後には、まず検査機関に連絡をして指示を仰ぐようにしましょう。
バリウム検査前日にコーヒーはOK?当日飲んでしまったら?
バリウム検査の前日21時までは、コーヒーを飲むことは可能です。しかし、コーヒーは利尿作用があるため、多く飲み過ぎないように注意をしてください。前日の21時以降は、水のみ摂取可能です。万が一検査当日にコーヒーを飲んでしまった場合は、飲んだ時間などを検査機関に話し、指示を仰いでください。
バリウム検査前日のコーヒーはいつまで何杯なら飲んでいい?
バリウム検査前日のコーヒーの量には特に制限はありません。しかし、翌日に水分摂取を控えなければならないことを考えると、利尿作用により脱水とならないように多くは飲まないようにしましょう。
バリウム前にコーヒーをうっかり飲んでしまった時の対処法は?
バリウム検査前にコーヒーを飲んでしまった場合、まず検査機関に問い合わせてどうすれば良いか聞きましょう。その後の対応は、検査機関により異なることがあります。検査自体を中止して別の日に行うこともありますので、間違えて飲まないようにすることが大切です。
バリウム検査後、コーヒーはいつから飲める?
バリウム検査の後に、コーヒーはいつから飲んでも良いのでしょうか?バリウム検査後は、通常の飲食を行っても問題はありませんが、バリウムを早くに排出するために水分を多く摂り、食物繊維の多い食べ物を食べることが勧められています。このため、バリウムが完全に排出されるまでは、脱水にならないように気を付けましょう。コーヒーは飲んでも良いですが、多く飲み過ぎないようにし、コーヒー以外の水分も多く摂って脱水を防ぐようにすることをおすすめします。
バリウム検査後のカフェイン摂取のタイミング
バリウム検査後に白いバリウム便が排出され、通常の便となるまでは便秘とならないように水分を多く摂る必要があります。このため、コーヒーを含めたカフェインを多く摂りすぎないように注意が必要です。カフェインには利尿作用があります。少量であれば問題ありませんが、多く摂りすぎないように、またコーヒー以外の水分を多く摂るように気をつけましょう。
バリウム後に利尿作用のあるカフェインを摂るリスク
バリウムは脱水となったり、腸管内に長期に留まったりすることで固くなり、排出しづらくなります。便秘とならないためには、水分を多く摂り、バリウム便を柔らかくしてなるべく早くに排泄する必要があります。このために、脱水とならないようにすることが大切です。カフェインには利尿作用があり脱水となるリスクがあります。バリウム便が出きるまでは、脱水に気をつけましょう。
バリウムを早く体の外に出すためにおすすめの飲み物
バリウムを早く外に出すためには、水分の摂取が勧められます。コーヒーのようなカフェインを多く含む飲み物や、アルコールは利尿作用があり脱水を引き起こす危険性があるため勧められません。水や白湯、麦茶、ルイボスティーなどカフェインを含まないような飲料を飲むようにしましょう。
「バリウム検査」の見方と再検査が必要な所見・結果
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。
「バリウム検査」の判定区分と結果の見方
胃バリウム検査の読影判定区分は下記のようになっています。
| カテゴリー | カテゴリーの説明 | 管理区分 |
|---|---|---|
| 1 | 胃炎・萎縮の無い胃 | 精検不要 |
| 2 | 慢性胃炎を含む良性病変 | 精検不要 |
| 3a | 存在が確実でほぼ良性だが、生検が必要な所見 | 要精検 |
| 3b | 存在または質的診断が困難な所見 | 要精検 |
| 4 | 存在が確実で悪性を疑う所見 | 要精検 |
| 5 | ほぼ悪性と断定できる所見 | 要精検 |
「バリウム検査」の再検査基準と内容
バリウム検査の判定で3a〜5の判定の場合、内視鏡検査での精密検査が勧められます。バリウム検査では、病変の性状の詳細がわかりづらく、病変の生検(病理検査)が行えずがんの確定診断ができないためです。このため、所見があった場合には早めに内視鏡検査を行うことが勧められます。まず、バリウム検査の結果をもって消化器内科で相談をしましょう。
「バリウム検査」の異常で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「バリウム検査」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
胃がん
胃はみぞおちの辺りにある袋状の臓器です。この胃の粘膜にがん細胞が発生し、無秩序に増えたものが胃がんです。胃がんは、粘膜から外に向かって進行し、壁を突き破って周囲の臓器へと浸潤したり、血液やリンパ液の流れに乗り離れた臓器へと転移することもあります。また、スキルス胃がんという胃壁にがん細胞がしみ込むように広がっていくタイプのがんもあります。スキルス胃がんは通常の胃がんと異なり粘膜に変化が現れにくく、内視鏡などの検査で見つけることが困難なことも多いです。胃がんの多くは、ピロリ菌の感染や食事の影響、喫煙などにより胃粘膜が炎症を起こすことが原因と考えられています。胃がんは現在でも患者数が3番目に多いがんであり、比較的日本人に多いがんと言えます。早期であれば予後は良いため、早期に発見することが大変重要です。50歳代以降で多くなる傾向にあるため、胃がん検診を受けて早期に発見するようにしましょう。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃や十二指腸の粘膜が削れて穴があきそうな状態を胃潰瘍、十二指腸潰瘍と言います。主な原因は、ヘリコバクターピロリ菌の感染が多いです。しかし、最近は鎮痛剤などの薬剤が原因となる事も少なくありません。ピロリ菌に感染すると、粘膜に炎症が起こり、粘膜の表面を守っている粘液が減ることで傷つきやすくなり、潰瘍ができやすくなります。また、鎮痛剤も粘膜を傷つけ潰瘍が起こりやすくなります。症状は、みぞおちの辺りの痛みや食欲低下、出血することによる貧血や黒い便などです。また、大量に出血すると、吐血したり、急激に血圧が低下しショック状態となったり、命を落とす危険性もあります。症状がみられる場合には、早めに消化器内科を受診しましょう。多くは、消化の良いものを摂取し、生活習慣に気を付け、内服薬の治療を行うことで改善することが多いです。ピロリ菌の感染を伴う場合、何度も繰り返すこともあり、除菌治療がすすめられます。多量の出血や穿孔(潰瘍が深くなり、胃や十二指腸の壁に穴があいてしまうこと)が起こった場合には、内視鏡による止血や手術などの処置が必要となる場合もあります。
胃ポリープ
胃ポリープは胃の粘膜の表面から出っ張ったいぼ状の病変で、腫瘍ではない良性のものを言います。胃ポリープは主に、胃底腺ポリープ、過形成ポリープ、そして炎症性ポリープなどの特殊型の3タイプに分けられます。どのポリープであるかは、内視鏡検査での見た目や周囲の粘膜の特徴から診断することが多いです。胃底腺ポリープは、ピロリ菌の感染の影響のない粘膜に発生します。多くは良性であり、経過観察で問題がないことが多いです。過形成性ポリープは、ピロリ菌感染による炎症を起こした胃粘膜に発生するポリープです。ピロリ菌に感染している場合には、除菌することでポリープが消えたり、小さくなることが多いため、除菌が勧められます。除菌をしてもポリープが大きくなったり、がんの発生が疑われたり、貧血の原因となる場合には内視鏡などでの治療が検討されます。内視鏡検査などでポリープを指摘された場合には、消化器内科で主治医からの説明、今後の方針をよく聞くようにしましょう。
胃食道逆流症(GERD)・逆流性食道炎
胃食道逆流症(GERD)は、胃の中の胃酸が食道に逆流することで食道の粘膜がただれる病気です。症状として、胸やけやすっぱい液体が上がってくる感じなどの不快感、のどの違和感や咳などがみられます。胃酸の逆流は食後2〜3時間までに起こることが多いので、食後にこのような症状がおこった場合にはGERDの可能性があります。GERDは命に関わる病気ではありませんが、症状が続くことで日常生活に支障が出やすいため、適切な対処を行うことが大切です。食べ過ぎや高脂肪食を避ける、食べてすぐに横にならない、就寝前3時間は食事を食べないなどの生活習慣の見直しや内服治療を行うことで症状が改善します。胸やけなどの症状が持続する場合、消化器内科で相談をしてみましょう。
「バリウム検査」で胃の健康を保つには?
バリウム検査前の絶食を守る
バリウム検査を正確に行うためには、検査前の注意を正しく守らなければなりません。検査前に食事をすると食物残渣が胃に残ってしまい、正確な検査ができません。絶食をしっかりと守りましょう。
ピロリ菌の除菌
さまざまな検査でピロリ菌の感染が判明した場合、除菌が勧められます。ピロリ菌は胃がんや胃潰瘍の危険因子となるからです。ピロリ菌が陽性となった場合には、まず消化器内科で相談をしましょう。
定期的に健康診断・胃がん検診を受ける
胃がんは日本人で多いがんの1つです。症状は早期ではないことが多いです。このため、定期的に胃がん検診を行い早期に胃がんを発見するようにしましょう。
「バリウム検査とコーヒー」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「バリウム検査とコーヒー」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
バリウム検査当日にコーヒーを飲むと検査にどのような影響がありますか?
和田 蔵人 医師
バリウム検査当日にコーヒーを飲むことで胃が刺激され、胃酸の分泌が多くなりバリウムが胃粘膜につきづらくなると、検査が正確にできなくなります。
バリウム検査の直後にコーヒーを飲んでしまいましたが、大丈夫ですか?
和田 蔵人 医師
バリウム検査の直後にコーヒーを飲んでも問題はありませんが、コーヒー以外の水分も多く摂り、脱水に注意しましょう。
胃がん検診の前日はカフェラテやエスプレッソの制限はありますか?
和田 蔵人 医師
胃がん検診の前日にカフェラテやエスプレッソの制限は特にありませんが、多く飲み過ぎると翌日の検査の際に脱水となる危険性があるため注意しましょう。
胃のバリウム検査の後、何時間経ったらカフェイン飲料を飲んでも問題ないでしょうか?
和田 蔵人 医師
胃のバリウム検査のすぐあとにカフェイン飲料を飲んでも問題はありませんが、多く飲み過ぎると脱水を招く可能性があります。このため、少量にとどめなるべくカフェインの含まない水分を多く摂取しましょう。
コーヒー味のバリウムがあると聞きましたが選べるのでしょうか?
和田 蔵人 医師
バリウム検査でコーヒー味のフレーバーを使用することもあります。しかし、検査機関によってもフレーバーを使用するか、またフレーバーがどんな種類があるかは異なります。詳しくは検査機関に問い合わせましょう。
まとめ
バリウム検査は、検査前後に守らなければならない注意事項がいくつかあります。これらの注意事項を守らないと、適切に検査が行われず、胃の病変の有無が正確に判断できません。しっかりと注意事項を守り検査を行いましょう。
検査前日の21時以降は水のみしか摂取できません。また、検査の2時間前からは水をとることも禁止です。コーヒーは、前日には少量のみ、21時以降は摂取しないようにしましょう。また、検査後はコーヒーを飲んでも構いませんが、バリウム便を出し切るまでは脱水を防ぐために少量にとどめ、コーヒー以外の水分をしっかりととりましょう。
「バリウム検査」の異常で考えられる病気
「バリウム検査」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
消化器系の病気
バリウム検査により胃の病変の有無を調べることができます。しかし、早期の胃がんを含めた軽度の病変はバリウム検査で検出することが難しい場合もあり、検査の所見や症状によっては内視鏡検査が勧められる場合もあります。どちらの検査が良いか迷う場合には、消化器内科で相談をしてみましょう。
「バリウム検査」が望ましい症状
「バリウム検査」が望ましい症状は3個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- みぞおちの痛み
- 食欲不振
- 吐き気
胃がん検診としてバリウム検査を行うことが多いですが、この場合症状がなくとも定期的に検査をすることが勧められます。また、症状が強く出血や潰瘍などが疑われる場合にはバリウム検査ではなく、内視鏡検査が勧められることもあります。症状がある場合には、まず検査機関で相談をしてみましょう。
参考文献




