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なぜ「スキルス胃がん」は”胃カメラで見落とし”されやすい?早期発見のコツも医師が解説!

 公開日:2026/04/17
なぜ「スキルス胃がん」は”胃カメラで見落とし”されやすい?早期発見のコツも医師が解説!

胃カメラでもわからないスキルス胃がんとは?発見が難しい理由や特徴・見落とし防止につながる初期症状等をメディカルドック監修医が解説します。

杉本 大

監修医師
杉本 大(医師)

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杏林大学医学部卒業後、河北総合病院で初期研修。その後は市中病院で、消化器内科及び一般内科、プライマリケアまで幅広く診療・内視鏡検査など行なっています。
日本内科学会認定医・専門医、消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医、プライマリーケア学会認定医

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スキルス胃がんとは?

胃がんにはいくつかのタイプがありますが、胃の壁をびまん性に硬く厚くしていきながら広がっていくタイプを「スキルス胃がん」といいます。
一般的な胃がんと異なり早期発見が難しく、診断時にはすでに進行していることも少なくありません。この記事ではスキルス胃がんの特徴、症状、診断のポイントなどを解説していきます。

一般的な胃がんとスキルス胃がんの違い

一般的な胃がんは胃壁の粘膜層から発生し、表面の方へ広がっていきます。そのため、ポリープのように盛り上がった形の腫瘍や中央だけくぼみ、その周囲は盛り上がっている形の腫瘍ができます。
スキルス胃がんは胃壁の粘膜層から発生しますが、胃壁の深い方へ広がっていきます。さらに壁全体にびまん性に広がっていくため、胃の粘膜表面には腫瘍がないことも少なくありません。そのため、内視鏡でみてもがんと判断できない場合があります。

スキルス胃がんの進行スピードと発症年齢の特徴

一般的な胃がんは1年以上かけて進行することが多いのに対して、スキルス胃がんは月単位で急速に広がり、診断時にはすでに進行がんや遠隔転移があることが多いとされています。
進行が速い理由はスキルス胃がんの場合、がん細胞自体の増殖能が高いことと、がん細胞が胃壁の内側から浸潤する特性で、リンパ管や血管の中に早期から浸潤しやすいためです。
一般的な胃がんは70歳以上の高齢男性が一番多いのですが、スキルス胃がんは女性ホルモンとの関連性が示唆されており、20歳代から40歳代の女性に比較的多いとされています。

なぜスキルス胃がんは胃カメラでも見落とされやすいのか?

胃カメラで胃の粘膜表面を観察する際に、通常であれば進行がんになるほどの大きな腫瘍があれば見落とすことはないと考えられます。
しかし、スキルス胃がんは進行がんでも見落とされることがあります。その理由を解説していきましょう。

通常の胃がんよりも表面がきれいに見える

スキルス胃がんは胃の粘膜表面には腫瘍が少なく、胃の壁全体に這うように腫瘍が広がっていく特徴があります。
そのため、胃カメラで粘膜表面を見ても、ひだが少し厚くなっているぐらいの変化しかないことがあります。実際にがんのない部分と比べても見分けがつかず、見落とされることもしばしばです。
通常の胃がんでは粘膜表面に腫瘍ができているので、がんのない部分との差は一目瞭然なので、見落とすことは稀です。

スキルス胃がんは初期病変がわかりにくい

胃カメラで見たスキルス胃がんの初期病変は、表面をみても周りの正常粘膜とほとんど差がありません。唯一の違いは周りの粘膜と比べて、「胃がん部分は少し白くなっている領域」として観察されます。
胃炎がある状態では、この白く見える小さな領域もわかりにくくなり、早期発見はより難しくなります。
通常の胃がんの初期病変は、表面が周りと比べて少し凹凸があり、赤みがかったオレンジ色の粘膜変化であることが多いです。スキルス胃がんの初期病変よりは表面に凹凸があることから、内視鏡の観察で発見しやすいといえます。

スキルス胃がんは慢性胃炎との区別が付きにくく紛らわしい

進行したスキルス胃がんでは、全体的に胃のひだが厚くなっている状態で観察されます。慢性胃炎もひだが厚くなる同様な変化が起こります。この場合胃カメラで表面を見ただけでは、見分けがつかないことも少なくありません。

スキルス胃がんを見逃さないためのポイント

ではどうすれば、スキルス胃がんを見逃さないようにできるのでしょうか。一つの検査だけで判断せず、検査を組み合わせることでより正確な判断ができます。詳しく解説していきます。

バリウム検査と胃カメラを組み合わせるメリット

バリウム検査はスキルス胃がんを見つける可能性がある検査の1つです。スキルス胃がんは胃の壁全体に広がるがんのため、胃全体が硬くなる=胃が膨らまなくなります。
がんのある部分だけ胃の膨らみが悪くなるので、X線撮影するといびつな形の胃が撮影されます。この部分を胃カメラで見ると、ひだの厚みが、がんの部分と正常なところで微妙に異なっているため確認しやすいです。

注意すべきスキルス胃がんの自覚症状例

若年女性で、数か月以内に出現した早期満腹感・体重減少・腹満感などの症状がある場合はスキルス胃がんの可能性も含めて検査を考えましょう。「食欲はあるのに食べられない」といった症状も、胃が膨らまなくなったことが原因かもしれません。

「スキルス胃がん」と間違いやすい・関連する病気

ここではメディカルドック監修医が、「スキルス胃がん」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

慢性胃炎

慢性胃炎の一番の原因はピロリ菌感染です。胃もたれ、胃部不快感などの症状がありますが、自覚症状がないこともあります。ピロリ菌がいるかどうかの検査は、胃カメラ以外に血液検査、便検査、尿素呼気試験などです。治療は決められた投薬を1週間行います。消化器内科で主に検査・治療が行われることが多いです。

機能性ディスペプシア

ストレスなどが要因で、胃や腸の運動機能異常と内臓知覚過敏がおこるものです。胃カメラなどの検査をしても、器質的異常がないのにもかかわらず、慢性的な症状が続きます。特効薬はないため、個人の状態に合わせて投薬や心理療法などが併用されます。慢性的な不快感が続くようなら、消化器内科を受診しましょう。

悪性リンパ腫

リンパ組織にあるリンパ球が異常増殖して腫瘍を作る病気です。胃のリンパ組織から発生することもあり、MALTリンパ腫と呼ばれるタイプが多いです。ピロリ菌感染の関与が示唆されています。初期は無症状が多く、進行すると上腹部痛、食欲低下、体重減少、貧血などが出てきます。症状が続くなら、消化器内科を受診しましょう。

巨大皺襞症

胃粘膜のひだ(皺襞)が腫大・蛇行して肥厚する状態をいいます。ひだの太さが10mm以上太くなり、脳の表面にあるしわのように見えます。皺襞肥大型胃炎、メネトリエ病、悪性リンパ腫、スキルス胃がんなどが原因となります。上腹部痛、嘔吐、下痢、浮腫などが出る場合があるため、症状があれば消化器内科を受診しましょう。

「スキルス胃がん」の予防・早期発見のコツは?

ピロリ菌の検査と除菌

ピロリ菌は多くの胃の病気の原因となっています。血液検査、便検査、尿素呼気試験などで調べられます。治療する前に胃カメラで現在の胃の状態を確認することが重要です。除菌治療は、1週間合計3種類の薬を朝夕の2回内服します。副作用として下痢がみられることがありますが、できるだけ1週間飲み切ることが推奨されます。

胃痛などの症状や胃の違和感を放置しない

胃の症状は日常的ですが、1週間以上続き、食欲不振、体重減少、嘔吐、倦怠感などの症状が伴うようなら、消化器内科の受診を検討しましょう。些細な違和感を放置しないことが早期発見への第一歩です。

胃カメラだけでなくバリウム検査やCT検査も受ける

スキルス胃がんのように粘膜表面に病変が出にくい場合は胃カメラで見落とされる可能性があるため、バリウム検査による胃の膨らみの確認が有効です。また、CT検査は胆石発作、膵炎、大動脈瘤など、胃の周りの臓器が原因で起こる同様の症状を確認する際にも非常に役立ちます。

「スキルス胃がん」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「スキルス胃がん」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

スキルス胃がんは、胃カメラ検査でどれくらいの確率で見落とされますか?

杉本 大医師杉本 大(医師)

正確な数値は報告されていませんが、胃カメラで病気を発見する感度(病気を見落とさない確率)は67%〜98%の幅で報告されています。裏を返すと、見逃しも2%〜33%ほどあるものと推察できます。スキルス胃がんは粘膜表面の病変がわかりにくいことも多く、胃カメラで見落としやすいがんの一つなので、見落とす確率は胃カメラの中では高いです。

スキルス胃がんが胃カメラで見つからない場合、他にどんな検査なら早期発見できるのでしょうか?

杉本 大医師杉本 大(医師)

早期発見をするのが難しいがんなので、胃カメラとバリウム検査、CT検査などを組み合わせて定期的に検査をしていくしかないと思います。ただしバリウムとCT検査でわかるときは、ある程度進行した状態でないと発見は難しいです。本当の早期発見は、やはり胃カメラで小さな粘膜変化を拾い上げるようにしていく以外にはないと思います。

スキルス胃がんは胃粘膜よりも深いところにあるから内視鏡で見つかりにくいのでしょうか?

杉本 大医師杉本 大(医師)

発生自体は胃粘膜ですが、ご質問の通り粘膜の深いところから発生し、増殖する方向も壁の奥側へ広がっていきます。そのため胃カメラで粘膜の表面を観察しても、変化がない、もしくはわずかな変化のみなので、拾い上げられるか難しい場合があります。

20代や30代でもスキルス胃がんになることはありますか?

杉本 大医師杉本 大(医師)

一般的な胃がんと異なる性質もあり、女性ホルモンとの関連も考えられていることから、20代でも発症する可能性はあります。

まとめ「スキルス胃がんの胃カメラ見落とし」はある程度避けられない!

スキルス胃がんについて特徴、症状、検査について解説しました。病気の特性上、進行が早く、見つけにくい特性を持っているため、1回の検査・1つの検査で発見できるかは難しいのが現状です。
それでも、早期発見するためには、やはり胃カメラが最善の検査になります。投薬しても症状がなかなか改善しない場合は、別の検査をしてみる、時間をおいてもう一度再検査するなどをして追及してみましょう。いつもと胃の調子が違うなど引っかかることがあれば、一度消化器内科の受診を考えてみてはいかがでしょうか。

「スキルス胃がん」に関連する病気

「スキルス胃がん」から医師が考えられる病気は3個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

消化器系の病気

胃の関連疾患

一言:投薬で治せるものから、手術が必要な病気まであるので、しっかりと確定診断をつけるようにしましょう。

「胃カメラ」が望ましい症状

「胃カメラ」に関連する、似ている症状は5個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

胃の異常サイン

一言:胃の症状だけではなく、体重減少や倦怠感、原因不明の貧血があるときも胃カメラを考えるようにしましょう。

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