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「スキルス胃がん」になると現れる症状・原因・胃がんとの違いはご存知ですか?

 公開日:2023/04/17
「スキルス胃がん」になると現れる症状・原因・胃がんとの違いはご存知ですか?

スキルス胃がんは通常の胃がんとは違い、内視鏡検査などの肉眼で見る検査では発見しにくいです。胃の壁を硬くしながら拡がっていくのがスキルス胃がんの特徴です。

スキルス胃がんは進行が早く、みつかった時にはすでに転移していることもあり、様々ながんの中でも難治性のがんになります。

しかしスキルス胃がんの症状は一般的な胃がんの症状とあまり変わりはありません。初期段階で症状がでることも少なく、定期健診などで発見されることも多いです。

今回はスキルス胃がんの前兆や治療方法・再発の可能性などを詳しく解説していきます。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

スキルス胃がんの症状と特徴

タンクトップ

スキルス胃がんの主な症状について知りたいです。

スキルス胃がんの初期症状の一つに腹痛や胃の痛みなどお腹の不快感があります。しかし初期の段階ではほとんど症状が出ません。進行してくると吐き気・嘔吐・食欲不振などの消化器症状が現れることがあります。
他にも少食になったり、体重が減少したりしてきたらスキルス胃がんが進行している可能性があるかもしれません。スキルス胃がんが進行すると貧血を起こしたり・疲れやすくなったり・息切れ・頭痛・めまいなどの症状を引き起こすこともあります。これらの症状が出た場合はすぐに医師に相談することが重要です。早期に胃がんの可能性を疑い発見することが大切になります。

スキルス胃がんと通常の胃がんの違いを教えてください。

スキルス胃がんと通常の胃がんの違いは、がんができるメカニズムにあります。通常の胃がんは胃の粘膜細胞ががん化することが原因ですが、スキルス胃がんは胃の免疫細胞であるリンパ球ががん化して発生します。またスキルス胃がんは通常の胃がんに比べて、初期の段階で転移を起こすことが多く、がんの進行が早いのが特徴です。
胃壁をはうように拡がっていき、低分化型がんで悪性度が高く、ピロリ菌陽性の鳥肌胃炎でなることがあります。さらにスキルス胃がんは腹膜播種を起こしやすいがんです。腹膜播種とはお腹の中にがん細胞が散らばることです。そのためスキルス胃がんは、通常の胃がんに比べてより早く治療を行う必要があります。

スキルス胃がんは進行が早いがんなのでしょうか。

スキルス胃がんは一般的に進行が早いがんとされています。初期段階からリンパ節転移を起こすことが多く、がんの進行が早いです。スキルス胃がんのがん細胞は、悪性度が高く治療に対する抵抗力が強いため、がん細胞を除去するには適切な治療が必要です。
早期に発見し、早期に治療することが、スキルス胃がんの治療においてとても重要となります。

スキルス胃がんの前兆と検査方法

相談

スキルス胃がんの前兆はありますか。

スキルス胃がんには明確な前兆や症状が存在しません。初期の段階では患者さん自身が症状に気付くことは難しく、健康診断や胃カメラ検査によって発見されることが多いです。
ただし一般的な胃がんの症状と同じく、がんが進行してくると食欲不振・吐き気・腹痛・消化不良・体重減少・貧血などの症状がでます。胃炎や胃潰瘍のときにもこれらの症状が出ることがありますが、胃炎や胃潰瘍の治療中に胃がんが見つかることも少なくありません。また胃がんが進行すると吐血や黒色便などの症状が現れることがあるので、こうした症状が見られた場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

スキルス胃がんを発症しやすい人の特徴を教えてください。

一般的に胃がんを発症しやすい人は50代〜80代の男性が多く、喫煙者やヘリコバクターピロリ菌を持っている高齢者が多いとされていますが、スキルス胃がんはわりとぽっちゃりした若い女性に多い印象があります。
塩分の多い食事や、焼き物・揚げ物などの食品・食物繊維不足、アルコールやタバコはスキルス胃がんのリスクを高める可能性があるので、こうした食生活をしている人は注意が必要です。またスキルス胃がんは遺伝的な要因も関係するとされていますが、はっきりとした因果関係があるとは言い切れないのが現状です。他にも胃潰瘍や胃炎・胃ポリープなどの胃の疾患がある場合はスキルス胃がんのリスクが高くなるとされています。

スキルス胃がんのセルフチェック方法はありますか?

スキルス胃がんのセルフチェック方法はありません。スキルス胃がんは初期段階では症状がほとんど出ないため、胃カメラ検査や内視鏡検査などの医師による診断が必要です。
胃がんの早期発見と治療のためには、定期的な健康診断を受けることが重要です。

スキルス胃がんの検査方法を教えてください。

スキルス胃がんを含む胃がんの検査方法には、以下のようなものがあります。

  • 上部消化管内視鏡検査:医師が特殊なカメラを用いて食道、胃、十二指腸を観察する検査です。内視鏡検査は、検査時に組織を採取できるため診断にも役立ちます
  • 超音波検査:超音波検査は体内の臓器や組織を音波で観察する検査でスキルス胃がんの診断にも用いられます
  • CTスキャン:CTスキャンはX線を用いて断層画像を作成し内部の状態を観察する検査で、スキルス胃がんの診断にも有効な検査法の一つです
  • PET-CT:PET-CTは放射性物質を体内に注入し、放射線を放出する代謝活性の高い部位を検出する検査です。がんの部位や広がりを調べるのに役立ちます。

スキルス胃がんは早期発見が重要です。普段から健康診断を受けることや症状が出た場合はすぐに医師の診察を受けることが、スキルス胃がんの早期発見につながります。

スキルス胃がんの治療方法と再発の可能性

はさみ

スキルス胃がんの治療方法について詳しく教えてください。

スキルス胃がんの治療方法は、がんの進行度合いや患者の状態に応じて異なりますが一般的な治療方法は手術・化学療法・放射線治療の組み合わせが多いです。スキルス胃がんの場合、手術は最も一般的な治療法の一つです。がん細胞がある部位を摘出し、周囲の健康な組織を取り除くことで、がんの拡大を防げます。
スキルス胃がんは進行が早いがんの一つであるため、早期に発見された場合は手術が第一選択です。他にもがん細胞を攻撃する抗がん剤を使った化学療法や高エネルギーの放射線を照射して、がん細胞を破壊する放射線治療も選択肢の一つです。スキルス胃がんの場合、化学療法や放射線治療は手術前の予防的な治療・手術後の補完的な治療・がんが進行している場合の治療で行われることがあります。
また近年免疫療法がスキルス胃がんの治療にも活用されるようになってきています。免疫療法は、がん細胞を攻撃する免疫細胞を活性化する治療法です。がんの治療には副作用などの症状が出る場合もあります。治療の前に担当の医師に確認しておくと良いでしょう。

スキルス胃がんの治療期間はどのくらいですか?

スキルス胃がんの治療期間は、がんの進行具合や治療法によって異なります。一般的に手術による治療の場合、入院期間は約1週間〜10日程度、全治期間は3ヶ月〜6ヶ月程度かかる場合が多いです。
化学療法や放射線療法による治療を行う場合は、病気の進行度合いによっては治療期間が長くなることがあります。治療期間中は医師の指示に従い適切な治療を受けることが重要です。

スキルス胃がんの再発の可能性を教えてください。

スキルス胃がんの再発の可能性は治療の方法や進行度合いによって異なりますが、一般的には再発のリスクが高いがんです。
再発が起こる原因として手術の際にがん細胞が残ってしまったり、化学療法や放射線療法で残ってしまったがん細胞が再び増殖したりすることが挙げられます。再発を予防するためには、治療後の定期的な検査をして健康的な生活習慣を維持することが大切です。

編集部まとめ

健康診断
スキルス胃がんは症状が出にくく、症状が出てきた時にはがんが進行している可能性が高いのが特徴です。そのため定期的な健康診断や、胃カメラ検査などを受けることが重要になります。

スキルス胃がんのリスクを減らすためには、健康的な食生活を心がけると良いでしょう。特に塩分の取り過ぎには注意が必要です。また野菜や果物などのバランスの良い食事を心がけることが重要になります。

また適度な運動や禁煙などの生活習慣の改善もスキルス胃がんの予防に役立ちます。胃がんは発症率の高いがんです。

胃がんやスキルス胃がんを予防するためにも、生活習慣を意識して健康診断などをしっかり受けることが大切になってきます。

参考文献

この記事の監修医師