「MRI検査前にコーヒー」を飲んでもいい?検査を受ける前の注意点を解説!【医師監修】
更新日:2025/07/16

MRI検査前にコーヒーを飲んでもいいの?MRI検査で分かる病気や注意点・受けられない人の特徴などを医師が分かりやすく解説

監修医師:
木村 香菜(医師)
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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
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MRI検査とは?
MRI(Magnetic Resonance Imaging;磁気共鳴画像法)検査は、強力な磁石と電波によって身体の内部の情報を画像にする検査のことです。 人間の身体は水分を多く含んでおり、MRI検査ではその水分(水素原子)からの動きを可視化することができます。水分の量によって信号つまり白か黒かが決まり、白黒の画像が作成されるのです。 MRI検査は、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった脳卒中、がん、筋肉などの異常など、さまざまな病気を調べることができます。 今回の記事では、MRI検査について詳しく解説します。CT検査との違い
MRI検査とCT検査との大きな違いは、放射線被爆があるかどうかということにあります。 CT検査は、放射線を利用した検査なので、少なからず被曝をしてしまいます。一方、MRI検査は磁気の力を利用した検査なので、被曝はありません。 MRI検査の方がCT検査よりもより多くの時間がかかることも違いとして挙げられます。検査部位によっても異なりますが、CT検査は約5−10分ほどで終了することが多い一方、MRI検査は20-60分ほどかかります。 MRI検査は、CT検査ではわかりづらい脊髄や神経、靭帯、筋肉といった組織の異常を調べることも得意としています。MRI検査前の注意点
それでは、MRI検査前に注意したい点について説明します。金属類を持ち込まない
アクセサリーなどの貴金属や腕時計などの金属類は、MRI検査室に持ち込むことはできません。MRI装置の強い磁力にひきよせられ、装置の破損につながる恐れがあるからです。 事前に取り外すようにしましょう。化粧品によっては落とす必要がある
アイシャドウやマスカラなどには、金属の粉が含まれていることがあります。そのため、化粧をしたまま検査を行うと、やけどや変色などの原因になる場合があります。 ノーメイクか薄化粧で検査を受けることが望ましいでしょう。検査内容によっては絶食が必要
腹部や骨盤部のMRI検査を受ける方は、約4時間前から絶食が必要です。医療機関によっては胸部の検査の場合にも食事制限があります。食事を摂ると、腸の動きが活発になるため、ボケた画像になってしまう恐れがあります。内服している薬は普段通り飲む
普段内服している薬は普段通りに飲んでもらって構いません。しかし、絶食の場合の糖尿病治療薬については、主治医にあらかじめ飲んでもよいかどうか確認しておくと良いでしょう。体内に金属類がある場合は事前に医師に伝える
ペースメーカーや人工関節、インプラントなど、手術を受けて体内に金属がある場合には、機種によってはMRI検査が受けられないこともあります。事前に、手術を受けた病院に確認しておきましょう。また、ペースメーカーを埋め込まれている方は、ペースメーカーや確認カードを配布されていると思われます。これらに、MRI検査対応かどうかについて記載があれば、検査時に持参するようにしましょう。MRI検査前にコーヒーを飲んでもいいの?
・コーヒーを飲んでもいいのか 検査部位によっては、MRI検査の前には絶食が必要です。 特に、腹部や骨盤MRI検査を受ける場合、検査当日には、コーヒーや乳製品、卵などは取らないようにしましょう。心臓MRI検査前の場合には、約1日前からコーヒー、チョコレートなどのカフェインが入っているものを取らないようにしましょう。MRI検査前にコーヒーを飲むと検査にどんな影響がある?
・どんな影響があるのか 心臓の機能を評価するためのMRI検査では、検査前にコーヒーを飲むと、正確に検査が行えないことがあります。コーヒーに含まれているカフェインによる血管収縮作用によって、心臓の血流を正確に評価できなくなる可能性があります。特に、心臓にアデノシンという薬でストレスをかけて、その際の心臓の動きや機能を調べる検査があります。この検査では、カフェインがアデノシンの作用を阻害することで、心筋虚血や血流低下が見つけられなくなる場合があります。【部位別】MRI検査で分かる病気
ここからは、MRI検査でわかる病気について解説します。脳・頭部
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血といった脳卒中(脳血管障害)に対してMRI検査は有効です。また、MRA(Magnetic Resonance Angiography)検査で、脳動脈瘤という脳の血管にできた瘤(こぶ)や、血管奇形の形や性状を調べることもできます。脳の中にできた腫瘍(できもの)の評価も行うことが可能です。脊椎・脊髄
MRI検査は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの検査に用いられます。椎間板に含まれる水分量などを評価することが得意なので、椎間板の変性の評価にも有効です。 また、脊髄にできた腫瘍の形態や性状の評価も行うことができます。手足
MRI検査は、筋肉や腱、軟骨といった、いわゆる軟部組織の評価にも優れています。 例えば、筋肉の損傷や挫滅、靭帯損傷も詳細に調べることができます。肝臓・胆嚢・胆道・膵臓
肝臓や膵臓にできた腫瘍(がん、血管腫など)を調べることができます。また、MRCP(Magnetic Resonance Cholangiopancreatography;MR胆管膵管撮影)という検査もよく用いられています。これは、胆汁を映し出すことで胆汁や胆石や膵臓の病変、特に膵臓がんの早期発見に役立つ検査です。子宮・卵巣
産婦人科の領域でも、MRI検査は有効です。子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣嚢腫、卵巣出血、子宮頸がん、子宮体がんなどを調べることができます。前立腺
前立腺がんや前立腺肥大症などを調べることが可能です。MRI検査のメリット
MRI検査のメリットとして大きな点は、放射線被爆がないことです。 また、水分子の動きの情報を画像化することで、CT検査と比べてより組織の性状を詳しく可視化することができる点もメリットです。MRI検査のデメリット
MRI検査のデメリットは、検査時間がCT検査よりも長くかかることや、閉所恐怖症の場合には検査が難しいことなどがあります。また、金属類の持ち込みは不可能なので、刺青などをしている場合には検査が受けられないことがあります。MRI検査の料金の相場
MRI検査は、全額自己負担の場合には15,000円ほどかかります。心臓MRIで4,000円、乳房MRIで1,000円など部位によって追加料金がかかります。人間ドックや検診では、施設によって大体これくらいの額が目安と思われます。健康診断の精密検査の場合や、体調不良に対して行われた検査の場合には、医療保険が適用されます。加入している医療保険の負担割合に応じて金額は変わります。3割負担の場合には、5,000〜6,000円くらいが相場でしょう。MRI検査の注意事項
MRI検査の注意事項としては、以下のようにまとめられます。 ・ 貴金属類は取り外す ・ 検査部位によっては事前の絶食が必要 ・ 体内金属機器(ペースメーカーなど)は事前にMRI検査対応かどうかチェックして おく ・閉所恐怖症の方はあらかじめ検査を受ける病院に相談しておく これらの点を守るようにしましょう。MRI検査を受けられない人
体内金属がMRI検査非対応の場合には、安全性を考慮してMRI検査が受けられない場合もあります。妊娠初期のMRI検査を受けても、明らかな影響はなかったとする報告もあります 。しかし、全く問題がないと結論づけられたわけではありません。そのため、妊娠中のMRI検査については、検査不可としている医療機関も多くみられます。「MRI検査前のコーヒー」についてよくある質問
ここまでMRI検査前のコーヒーについて紹介しました。ここでは「MRI検査前のコーヒー」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
MRI検査前に飲み物は飲んでいいのでしょうか?
木村 香菜 医師
MRI検査前でも、脱水を防ぐためにミネラルウォーターや水道水は直前まで飲むことができます。しかし、MRCP前には1時間ほど前までにしておきましょう。 また、心臓MRI検査の前1日間はカフェインを含む飲み物は避ける必要がある場合があります。詳しくは、検査を受ける医療機関の注意をしっかりと読み、わからない点があれば事前に確認しておきましょう。
まとめ
MRI検査前にコーヒーを飲んでよいかどうかは、検査部位によって異なります。特に心臓MRI検査では、カフェインによる血流への影響を防ぐため、前日からコーヒーを控える必要があります。一方、脳や脊椎などのMRI検査の場合は、特別な制限がないこともありますが、検査内容に応じた医療機関からの指示を守ることが大切です。また、検査前には金属類を身につけない、必要に応じて絶食する、体内金属がある場合には事前に申告するなど、いくつかの注意点があります。これらを守ることで、より正確な検査結果が得られます。 不安な点や不明な点がある場合には、遠慮せず検査施設に確認しておきましょう。安心して検査を受けるためにも、事前準備をしっかりと行うことが大切です。「MRI検査」の異常で考えられる病気
「MRI検査」から医師が考えられる病気は21個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。泌尿器科系の病気
- 前立腺肥大
- 前立腺がん




