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「CT検査」は部位によって「費用」が異なる?発見できる病気なども医師が徹底解説!

 公開日:2025/07/31
「CT検査」は部位によって「費用」が異なる?発見できる病気なども医師が徹底解説!

CT検査の費用はいくらかかるの?Medical DOC監修医がCT検査部位別の費用・PET検査費用・CT検査当日の流れ・発見できる病気などを解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

CT検査とは?

CT検査は、Computer Tomography、コンピューター断層撮影検査のことです。X線を体の周囲から当てることで、体の輪切りの断面の画像を作成することができます。今回の記事では、CT検査ではどれくらいの費用がかかるのかについて解説します。

CT検査の費用はいくらかかるの?

ここでは、CT検査の費用はいくらかかるのかについて解説しましょう。

保険適用となった場合のCT検査の費用

CT検査は、医師が必要と判断した場合には保険適用となります。現在日本では、公的医療保険の自己負担割合は年齢や収入によって分けられています。そして、CT検査の保険点数は560点から1020点となっています。この点数に、造影剤を用いる場合には500点が加算されます。また、心臓の血管を調べる冠動脈CT検査を行った場合には、600点が加算されます。そのため、撮影する部位によっても多少は異なりますが、概算では以下のようになると考えらえます。
年齢 小学校入学まで(自治体により負担が異なる) 小学校入学後から69歳まで(小学校入学後でも自治体によって医療費助成あり) 70歳から74歳まで 75歳以上
自己負担割合 2割負担 3割負担 2割負担(現役並みの所得がある人は3割負担) 1割負担(現役並みの所得がある人は3割負担)
単純CT検査の費用 4,000円程度 6,000円程度 4,000円程度 2,000円程度
造影剤を用いたCT検査の費用 6,000円程度 9,000円程度 6,000円程度 3,000円程度

自費診療となった場合のCT検査の費用

健康診断や人間ドックなどでは、CT検査の費用は自己負担となります。撮影する部位、施設ごとの価格差や、オプションの有無(造影剤使用など)などによっても異なりますが、20,000〜40,000円程度になります。あらかじめ、費用については医療機関に問い合わせておくと安心です。

PETCT検査の費用はいくらかかるの?

PET-CTは、PET(Positron Emission Tomography、陽電子放出断層撮影)検査とCT検査の画像を重ね合わせる検査です。PETは、放射線を含む薬剤を用いる核医学検査です。PET-CTの中でも代表的なものである、FDG-PET/CT検査は、がんの広がりを調べるためにとても有用な検査です。以下に、保険適用となっている病気の検査についてお示しします。
  • てんかん
  • 虚血性心疾患における心不全
  • 心サルコイドーシス
  • 早期胃がんを除く、すべての悪性腫瘍、悪性リンパ腫
  • 大型血管炎
FDG以外の放射性物質を使うPET検査もありますが、現時点では研究段階です。通常の診療ではFDGを使ったPET検査がほとんどです。

保険適用となった場合のPETCT検査の費用

CT検査と同様に、PET-CTの検査の費用は、保険適用になる際にはそれぞれの公的医療保険の自己負担割合によって変わります。 ここでは、FDG-PET/CTの費用の概算をお示しします。
年齢 小学校入学まで(自治体により負担が異なる) 小学校入学後から69歳まで(小学校入学後でも自治体によって医療費助成あり) 70歳から74歳まで 75歳以上
自己負担割合 2割負担 3割負担 2割負担(現役並みの所得がある人は3割負担) 1割負担(現役並みの所得がある人は3割負担)
FDG-PET/CT検査の費用 20,000円程度 30,000円程度 20,000円程度 10,000円程度

自費診療となった場合のPETCT検査の費用

人間ドックや健康診断でFDG-PET /CT検査を行う場合、自費診療となります。費用は医療機関によって異なりますが、およそ10万円程度になるものと考えられます。

CT検査は部位によって費用は異なるの?

CT検査は、撮影する部位によって診療報酬点数が加算される場合があります。

【脳】CT検査の費用

一般的な脳のCT検査の場合、先ほどお示ししたような金額となります。一方、脳槽(のうそう)CTという検査の場合には、約2倍の診療報酬点数(2,300点)となります。そのため、費用も10,000円から20,000円程度になるかと考えられます。なお、脳槽CTとは、脳の周囲を満たしている脳脊髄液が溜まる部分である脳槽の様子を調べることができます。正常圧水頭症などの脳脊髄液の循環障害などの診断に用いられます。

【胸部】CT検査の費用

胸部CTでは、肺がんや肺炎などの呼吸器の疾患を詳しく調べることができます。費用は、3割負担の場合には単純CTで6,000円程度、造影剤を使ったCTで9,000円程度です。

【心臓】CT検査の費用

心臓の病気を調べるための冠動脈CT検査は、600点が所定点数に加算されます。そのため、何らかの心臓の疾患が疑われた場合に保険適用となり、その方が3割負担の場合には、12,000円程度となるでしょう。

CT検査前日や当日の流れ・注意点

ここでは、CT検査前日や当日の流れ・注意点について解説します。

CT検査前日の注意点

CT検査の中でも、大腸CT検査の場合には前日には検査食を食べ、下剤を飲み、腸をきれいにする必要があります。また、造影剤を使用するCT検査では、検査の4時間前から絶食するよう指示されることが一般的です。水やお茶は飲んでも問題ありませんが、アルコールやカフェインの摂取は控えたほうがよいでしょう。さらに、糖尿病の薬や腎臓に影響を与える薬を服用している場合は、事前に医師の指示を確認しておくことが大切です。 検査当日に向けては、激しい運動を避け、体調を整えるようにしましょう。特に造影剤を使用する場合は、腎臓の負担を軽減するために前日から十分な水分補給を意識することが推奨されます。

CT検査当日の流れ

CT検査当日は、まず病院に到着したら受付を済ませ、必要に応じて問診票の記入や血圧測定を行います。その後、検査の準備として、金属類(アクセサリーや眼鏡、ヘアピンなど)を外し、造影剤を使用する場合は点滴を受けることになります。 準備が整ったらCT撮影に移り、検査台に横になって指示に従いながら撮影を行います。撮影時間は5~10分程度で、必要に応じて息を止めるよう指示されることもあります。撮影が終わると検査終了ですが、造影剤を使用した場合はしばらく安静にして副作用がないか確認されます。 検査結果の説明は、当日医師から受けられる場合もあれば、後日診察時に説明されることもあります。全体の所要時間は30分から1時間程度で、造影剤を使用する場合はやや長くなることがあります。

CT検査当日の注意点

大腸CTをとる場合には、当日は絶食となります。また、腹部CTや造影剤を使って検査を受ける場合、検査の4時間前から、食事を取らないように指示される場合があります。水やお茶は飲んでも大丈夫です。 検査後には、造影剤を使った場合には尿中に造影剤が排泄されるように、水分を多めにとるようにしましょう。

「CT検査」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「CT検査」に関する病気を紹介します。 どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

くも膜下出血

くも膜下出血は、脳の表面にあるくも膜下腔に突然出血が起こる病気です。多くの場合、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)の破裂が原因となります。強い頭痛や意識障害を引き起こし、生命に関わることもあります。 急性期の診断にはCT検査が有効で、出血があれば高吸収域(白く映る部分)が確認されます。治療には、脳血管内治療(コイル塞栓術)や開頭手術(クリッピング術)が行われます。突然、経験したことのない激しい頭痛が出た場合はすぐに受診が必要です。意識障害や嘔吐を伴う場合は、救急車を呼びましょう。脳神経内科が治療にあたります。

慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)

慢性硬膜下血腫は、頭部外傷などが原因で脳を包む硬膜の下にゆっくりと血液がたまる病気です。軽い頭の打撲後、数週間から数ヶ月かけて徐々に症状が現れることが特徴です。高齢者や血をサラサラにする薬(抗凝固薬)を服用している人に多く見られます。症状としては、頭痛、認知症のような物忘れ、手足のしびれや麻痺、ふらつきなどが現れます。 CT検査では、硬膜下にたまった血液が低吸収域(黒っぽく映る部分)として確認されます。治療は、血腫の大きさや症状によりますが、進行している場合は、頭蓋骨に小さな穴を開けて血液を排出する手術(穿頭血腫除去術)が行われます。軽症の場合は経過観察となることもあります。頭をぶつけた後、数週間〜数ヶ月経ってから頭痛や物忘れ、手足のしびれが出た場合は早めに脳神経内科を受診しましょう。

肺がん

肺がんは、肺の細胞が異常増殖してできる悪性腫瘍です。喫煙、受動喫煙、大気汚染などが主な原因とされます。初期には無症状のことが多いですが、進行すると咳や血痰、息切れが現れます。CT検査では、肺の腫瘍の有無や大きさ、転移の有無を詳しく調べることができます。治療法は手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤)など、がんの進行度に応じて選択されます。 長引く咳や血痰、息苦しさがある場合は早めの受診が必要です。特に喫煙歴のある人は定期的な肺の検査を受けましょう。呼吸器内科を受診しましょう。

急性虫垂炎

虫垂炎は、盲腸の先にある「虫垂」に炎症が起こる病気です。腸内の細菌感染や虫垂の閉塞が原因となり、急激な腹痛、発熱、吐き気などの症状が現れます。CT検査では、虫垂の腫れや炎症の有無を確認できます。治療法としては、軽症であれば抗生剤で炎症を抑えることがありますが、重症の場合や穿孔(破裂)のリスクがある場合は手術で虫垂を切除するのが一般的です。右下腹部の痛みが続く場合や、発熱・吐き気を伴う場合は早めに受診しましょう。 消化器外科または外科が適切です。

「CT検査の費用」についてよくある質問

ここまでCT検査の費用について紹介しました。ここでは「CT検査の費用」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

CT検査とMRI検査ではどちらの方が費用が高いですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

一般的に、MRI検査の方がCT検査より費用が高い傾向にあります。これは、MRI検査が強い磁場と電波を利用して画像を撮影するため、機器のコストが高く、撮影時間も長いためです。 CT検査の費用は、保険適用時で5,000円〜15,000円程度(検査部位や造影剤使用の有無による)、MRI検査の費用は保険適用時で7,000円〜25,000円程度とされます。ただし、病院や地域によっても料金は異なります。

CT検査は 高額療養費制度の対象ですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

高額療養費制度は、1か月の医療費が一定額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。CT検査単体では自己負担額がそれほど高額にならないことが多いですが、入院や他の治療と組み合わせることで自己負担額が高額になる場合は、この制度を利用できます。適用される金額の上限は、年齢や所得によって異なるため、詳しくは健康保険組合や自治体に確認することをおすすめします。 ただし、人間ドックなど自由診療で受けたCT検査の場合には、高額療養費制度の対象外となります。

まとめ CT検査の費用は保険適用によって変わる!

CT検査は脳卒中や肺がん、虫垂炎など、さまざまな病気の診断に役立つ重要な検査です。そして、CT検査の費用は、造影剤を使うかどうか、あるいは撮影する部位によって異なります。何らかの病気が疑われる場合には、保険が適用されます。 費用がどれくらいかかるかについては、できれば事前に医療機関に確認しておくようにしましょう。

「CT検査」の異常で考えられる病気

「CT検査」から医師が考えられる病気は27個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科系の病気

  • 脳膿瘍
  • 水頭症
  • 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)

整形外科系の病気

消化器内科系の病気

循環器系の病気

腎臓内科・泌尿器科系の病気

  • 腎結石
  • 腎臓腫瘍
  • 腎出血

呼吸器内科の病気

CT検査では、これらの病気が検出可能です。体調に不安がある方や何らかの症状がある方は、早めに医療機関を受診してください。

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