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「赤血球を増やす食べ物」は何があるのか?減った場合に考えられる病気も医師が解説!

 公開日:2025/09/01
「赤血球を増やす食べ物」は何があるのか?減った場合に考えられる病気も医師が解説!

赤血球を増やす食べ物とは?Medical DOC監修医が赤血球を増やす食べ物・控えた方がいい食べ物・減ってしまう原因・赤血球が減っている場合に考えられる病気などを解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

赤血球とは?

赤血球とは血液の主成分で、体内で酸素を組織に運びます。赤血球の成分の大部分はヘモグロビンです。ヘモグロビンは鉄とたんぱく質が結合したものです。鉄は酸素と結合しやすい性質があり、ヘモグロビンは酸素と結合して全身に酸素を運びます。赤血球は骨髄で作られ、腎臓で作られるエリスロポエチンという造血ホルモンで調整されています。赤血球の寿命は約120日です。赤血球数とヘモグロビンなどの値で、貧血や多血の分類や評価ができます。

赤血球が減ってしまう原因

赤血球が減ってしまう主な原因は、赤血球の生産不足・需要の増大・出血などです。鉄などの栄養素の不足・過剰飲酒・腎臓病などの慢性疾患・消化管出血など慢性的な出血・成長期・激しい運動などが赤血球を減少させる原因です。

鉄やタンパク質の摂取不足

欠食や偏食があると栄養素の不足や偏りが起こります。赤血球の材料になる鉄やたんぱく質の摂取が不足すると、十分な量の赤血球が作られなくなります。体内での赤血球の産生より消費が大きくなることが、赤血球が減ってしまう原因です。健康診断などで、貧血を指摘され、疲労感や息切れなど貧血の症状があれば、早めに内科を受診しましょう。

ビタミンB12・葉酸の欠乏

ビタミンB12と葉酸は赤血球の成長に必要な栄養素であり、不足することで赤血球の成長が不十分となり赤血球が減少します。胃全摘出後ではビタミンB12の吸収障害が起こりやすく、葉酸の欠乏は摂取不足やアルコール依存などが原因です。健康診断で貧血を指摘され、疲労感や息切れなど貧血の症状やビタミンB12欠乏に特徴的なしびれなどがあれば、早めに内科を受診しましょう。

血液疾患

骨髄にある赤血球・白血球・血小板の元になる、造血幹細胞に障害が起こり、血液細胞が十分に作られなくなると赤血球が減少します。赤血球だけでなく、白血球や血小板も作られなくなり減少します。このような状態を再生不良性貧血といいます。また、このほかにも骨髄異形成症候群や白血病、多発性骨髄腫などの血液疾患で貧血が起こることがあります。
健康診断で貧血や白血球や血小板の減少を指摘され、疲労感や息切れなど貧血の症状やあざ・鼻出血などがあれば早めに血液内科を受診しましょう。重度の場合は命に関わることもあるため、すぐに受診してください。

腎臓病

腎臓の機能が低下することが原因で、造血ホルモンが分泌されづらくなり、赤血球が産生されにくくなります。体内での赤血球の消費に産生が追いつかず、赤血球が減ってしまいます。健康診断で腎機能の低下を指摘され、疲労感や息切れなど貧血の症状があれば、早めに腎臓内科を受診しましょう。

慢性的な出血

胃潰瘍や痔核など、慢性的な出血が原因で赤血球が減少します。女性では重い月経が原因になることもあります。健康診断などで貧血を指摘されたり、疲労感や息切れなど貧血の症状があれば、早めに内科を受診しましょう。また、便に血が混ざるなどの症状がある場合には消化器科を、重い月経がある場合は婦人科の受診をおすすめします。代表的な疾患について解説いたしましたが、このほかにも貧血の原因はあります。貧血を指摘された場合には、まず内科を受診して原因について調べることが大切です。

赤血球を増やす食べ物

欠食や偏食は栄養素の不足を招きます。1日3食、主食・主菜・副菜をそろえて色々な栄養素を摂取しましょう。肉や魚に含まれるヘム鉄(吸収率10~30%)は野菜類・大豆製品などに含まれる非ヘム鉄(吸収率1~8%)に比べて鉄を効率よく吸収できるため、主菜を肉や魚にすることがおすすめです。鉄製の調理器具からは鉄の摂取が期待できます。ステンレスや電気ポットからは鉄が抽出できず、鉄瓶など鉄製の調理器具で沸かしたお湯には鉄が溶けだすためです。

肉類

肉類は動物性たんぱく質が豊富です。動物性たんぱく質に含まれるアミノ酸は、鉄の吸収を高める働きがあります。たんぱく質は赤血球の材料になります。肉類には造血作用のあるビタミンB12・葉酸なども豊富です。肉類に含まれる鉄はヘム鉄なので吸収されやすく効率よく利用できます。
鶏や豚や牛のレバーには鉄・ビタミンB12・葉酸が多く含まれています。

魚介類

魚介類は動物性たんぱく質が豊富です。動物性たんぱく質に含まれるアミノ酸は、鉄の吸収を高める働きがあります。たんぱく質は赤血球の材料になります。魚介類は造血作用があるビタミンB12も豊富です。魚に含まれる鉄はヘム鉄なので吸収されやすく効率よく利用できます。かつお・まぐろ・ぶりやあさり・かきなどには鉄が多く含まれます。

卵・大豆製品

卵は動物性たんぱく質で、鉄の吸収を高める働きがあります。たんぱく質は赤血球の材料になります。造血作用のあるビタミンB12・葉酸も豊富です。非ヘム鉄を含むため、ビタミンCを多く含む食品と一緒に摂取すると鉄の吸収率が上がります。大豆製品はたんぱく質を多く含み、鉄の吸収を高める働きがあります。非ヘム鉄や造血作用のあるビタミンB12も豊富です。納豆・豆腐などは非ヘム鉄を多く含むため、ビタミンCを多く含む食品と一緒に摂取すると鉄の吸収率が上がります。

乳製品

乳製品は動物性たんぱく質を含み、鉄の吸収を高める働きがあります。たんぱく質は赤血球の材料になります。牛乳・ヨーグルト・チーズは造血作用があるビタミンB12・葉酸も豊富です。乳製品は非ヘム鉄を含むため、ビタミンCを多く含む食品と一緒に摂取すると鉄の吸収率が上がります。

野菜類・果物類・いも類

ビタミンCは、非ヘム鉄の吸収を助けます。鉄を多く含む食品と野菜類・果物類・いも類などビタミンCを多く含む食品を一緒に摂ることで鉄の吸収が高まります。胃酸が分泌すると鉄の吸収を高めるため、柑橘類など酸味の強い食品もおすすめです。

赤血球が減る、貧血の方が控えた方がいい食べ物

タンニンやフィチン酸などは、鉄の吸収を妨げる栄養素です。摂取した鉄を効率よく吸収するために、鉄の吸収を妨げる食品の摂取に注意しましょう。

濃い緑茶やコーヒーなど

緑茶・烏龍茶・紅茶・コーヒーに多く含まれるタンニンは鉄の吸収を阻害する働きがあります。食事中や食直後は控えるようにしましょう。

ほうれん草や緑茶

ほうれん草やブロッコリーなどの野菜や緑茶などに含まれるシュウ酸は鉄の吸収を阻害する働きがあります。シュウ酸は水に溶けやすく、茹でることで減らせます。シュウ酸を多く含む食べ物は茹でる調理法がおすすめです。

玄米など未精製の穀物

穀類の殻や豆類に多く含まれるフィチン酸は鉄の吸収を阻害する働きがあります。主食を玄米や全粒粉だけにせず、時々は白米など精製された主食を摂るようにしましょう。

不溶性食物繊維

玄米やオートミールなどの穀類・おからなどの大豆製品・ごぼうなどの野菜類に多く含まれる不溶性食物繊維は鉄を排出する作用があります。不溶性食物繊維は過剰摂取になることはあまりないですが、摂りすぎには注意しましょう。

加工品・ジュース・スナック菓子

加工品などに含まれる添加物のリン酸塩は、鉄の吸収を阻害します。ハムやソーセージ・清涼飲料水・インスタント食品・スナック菓子などの摂りすぎに注意しましょう。

健康診断・血液検査で「赤血球が少ない」と診断された場合に気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「赤血球が少ない」に関する病気を紹介します。どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血とは体内の鉄が欠乏して起こる貧血です。鉄や栄養素の摂取不足や鉄の吸収の低下が主な原因です。月経や消化管からの出血など、慢性の出血が原因で生じることもあります。症状は疲れやすい・息切れ・蒼白などですが、症状がゆっくり進行する慢性的な貧血では、ヘモグロビンが8〜9g/dL位に低下するまで自覚症状がない場合もあります。1日3食、主食・主菜・副菜をそろえた食事をし、鉄・たんぱく質・ビタミンなど造血作用や鉄の吸収を助ける栄養素を摂り、食生活を改善しましょう。健康診断などで赤血球やヘモグロビン値が低いと指摘されたら、早めに一般内科を受診しましょう。

腎性貧血

腎性貧血とは腎機能の低下が原因で起こる貧血です。エリスロポエチンという造血ホルモンは腎臓で分泌されます。腎機能が低下すると、エリスロポエチンの分泌が減り、赤血球が十分に産生されなくなるため貧血を招きます。
腎機能が低下する主な原因は高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病です。腎臓の状態に応じて、食塩・たんぱく質・カリウムの制限などの食事療法をします。また必要に応じて、エリスロポエチンの注射や内服薬での治療を行います。健康診断で腎機能の低下を指摘されたり、疲れやすい・動悸がするなど貧血の症状も現れたら速やかに腎臓内科を受診しましょう。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は胃酸やペプシンなどの消化酵素と胃粘液のバランスが崩れることで胃や十二指腸の壁に傷が生じた病態です。痛み止めや解熱剤の内服・ストレス・飲酒・喫煙やヘリコバクター・ピロリ菌の感染が主な原因です。治療は胃酸を抑える内服薬を使用します。ヘリコバクター・ピロリ菌の感染がある場合はその治療を行います。健康診断で貧血を指摘されたり、腹痛や胸焼けなどの症状がある場合は早めに消化器内科を受診しましょう。進行すると吐血や真っ黒な便、激しい痛みなどの症状が現れる場合があります。早期に治療開始が必要です。すぐに受診しましょう。

「赤血球を増やす食べ物」についてよくある質問

ここまで赤血球を増やす食べ物について紹介しました。ここでは「赤血球を増やす食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

赤血球を増やすフルーツについて教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

赤血球を増やすには、鉄・ビタミンC・葉酸などの栄養素を摂ることがおすすめです。
鉄が多いフルーツは、プルーンやレーズンなどドライフルーツ。ビタミンCが多いフルーツは、柿やキウイフルーツやいちごやオレンジなど。葉酸が多いフルーツは、いちごやマンゴーなど。赤血球を増やすには、良質なたんぱく質も必要です。フルーツだけで赤血球を増やすことは難しいでしょう。赤血球を増やすためには1日3食、色々な食材を摂取することがおすすめです。

まとめ 赤血球を増やすにはたんぱく質を摂りましょう

赤血球を増やすには、赤血球の材料となる、鉄やたんぱく質の摂取が欠かせませんが、鉄の吸収を助けるビタミンCや造血作用がある葉酸やビタミンB12など、様々な栄養素が必要です。欠食したり、好きなものや手軽なものばかり食べるなど偏った食事では栄養素が不足する可能性があります。赤血球を減らさない・増やすためにも1日3食、主食・主菜・副菜をそろえた食事がおすすめです。

「赤血球」の異常で考えられる病気

「赤血球」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

血液内科の病気

腎臓内科の病気

消化器系の病気

婦人科系の病気

赤血球の異常は貧血や体内での出血や慢性疾患などの病気を発症している可能性があります。自覚症状がないことが多く、放っておくと重症化する可能性があるため、健康診断などで赤血球の異常を指摘されたら、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師