「アレルギー検査」はどこで受診?費用や検査の種類について医師が解説!

アレルギー検査はどこで受診できる?Medical DOC監修医がアレルギー検査の費用・種類・生命保険や保険適応の有無・自費診療の費用・検査の流れなどを解説します。

監修医師:
小島 敬史(国立病院機構 栃木医療センター)
目次 -INDEX-
アレルギー検査とは?
アレルギー性疾患には、気管支喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギーなどがあります。
アレルギー検査は、このようなアレルギー性疾患の症状の原因を特定するために行われます。
アレルギー反応を引き起こす物質(アレルゲン)を特定することで、適切な治療や予防策を講じることが可能になります。
この記事では、アレルギー検査をどこで受けることができるのか、またその費用や検査内容について詳しく解説します。
アレルギー検査はどこで受診できるの?
アレルギー検査を受ける場合、基本的には以下の診療科がそれぞれの症状に対応しています。
- 小児科:特に小児の方における全般的なアレルギー症状
- 耳鼻咽喉科:花粉症や鼻炎などの症状
- 皮膚科:アトピー性皮膚炎や金属アレルギー、接触性皮膚炎などの症状
- アレルギー専門外来:食物アレルギーが疑われる場合や、重症の花粉症などの症状
まずはかかりつけ医に相談するとよいでしょう。しかし、鼻炎症状が強いのであれば耳鼻咽喉科を受診しましょう。また、食物アレルギーが疑われる場合には、アレルギー専門医の診察を受けると良いでしょう。
【大人】アレルギー検査の費用はいくらかかるの?
大人の場合、アレルギー検査の費用がいくらかかるのかについて説明します。
保険適用となった場合のアレルギー検査の費用
アレルギー症状があり、医師が検査の必要性を認めた場合、健康保険が適用されます。最も一般的なアレルギー検査は特異的IgE抗体を確認する検査になります。この場合、3割負担で約5,000円程度の費用がかかります。
自費診療となった場合のアレルギー検査の費用
症状が明確でない場合や、特定のアレルゲンを詳細に調べるために追加の検査を希望する場合は、自費診療となることがあります。この場合、検査項目数や内容によって費用が異なり、数千円から数万円程度かかることがあります。なお、自費診療で行う検査として代表的な検査が特異的IgG抗体検査です。この検査は陽性になっても病的意義がないと考えられております。アレルギー学会からは「アレルギーを疑った場合に行うべきではない」と提言がなされており、施行は推奨されておりませんのでご注意ください。
【子供】アレルギー検査の費用はいくらかかるの?
お子様の場合、アレルギー検査の費用がいくらかかるのかについて説明します。
保険適用となった場合のアレルギー検査の費用
お子様の場合も、大人と同様にアレルギー症状があり、医師が検査の必要性を認めた場合は、健康保険が適用されます。費用は3割負担で約5,000円程度です
自費診療となった場合のアレルギー検査の費用
自費診療の場合、検査項目数や内容によって費用が異なります。特に、子供の場合は年齢や体調に応じて検査方法が制限されることがあり、費用も変動します。一般的に、数千円から数万円程度の費用がかかることがあります。
アレルギー検査の種類
それでは、アレルギー検査の種類について解説しましょう。
特異的IgE抗体検査
アレルギーは、アレルゲンへの暴露により、そのアレルゲンに対する特異的IgE抗体が産生されることで発症します。そのため、採血によって特異的IgE抗体の有無およびその量を検査するのが最も一般的な方法となります。検査対象の数や検出方法によって様々な種類があります。
症状によって10種類程度の検査項目を選択し、採血によって特異的IgE抗体を検査する方法としてRAST検査があります。このRAST検査は、特異的IgE抗体検査の代表的な方法となります。
鼻炎・呼吸器症状を起こすような物質や食物アレルギーの原因物質には様々なものがあります。近年ではスクリーニング検査として、一度にたくさんの項目を調べられるタイプの検査が数多く行われています。代表的な例としてMAST36、MAST48mix、View39といった検査があります。例えばMAST36は、36種類の物質を一度に検査可能となります。また、近年ではドロップスクリーンといって、指先から血液1滴を採取し、30分で41項目の検査が行える方法があります。
スクリーニング検査は多数の項目を検査可能である利点がある一方、注意点もあります。不必要に検査されるような項目が出てきてしまったり、検査の正確性が必ずしも高くなかったりする欠点がある点です。代表的なのが食物アレルギーについての項目です。
例えばスクリーニング検査によって卵白のアレルギーがあると指摘されたが、今までその様な自覚が全くない場合、どうしたら良いのでしょうか?この場合、検査の結果よりも自覚症状が優先されます。食物アレルギーについては自覚症状がなければその食物は普通に摂取していただいたほうがよい、と考えられています。
また、明らかに春先に鼻炎や目のかゆみ症状があるにも関わらず、スギ・ヒノキのアレルギーが陰性である、という場合もあります。この場合も自覚症状を優先し、その他の検査(鼻汁塗抹検査)を行ったり、結果にかかわらず花粉症として治療を行ったりすることになります。
こういった専門的な知識のもとで、検査結果をしっかり理解することが大切です。そのため、検査はアレルギー科を標榜しているクリニックで受けられることを推奨します。
以下に、代表的なスクリーニング検査であるMAST36で検査可能な項目について提示します。実際は、目的となる物質が含まれているか主治医に確認したうえで検査を行ってください。
- 食物アレルゲン(20種類)
トマト、モモ、キウイ、バナナ、ゴマ、ソバ、コムギ、ピーナッツ、ダイズ、コメ、マグロ、サケ、エビ、カニ、ミルク、豚肉、牛肉、鶏肉、オボムコイド、卵白 - 花粉アレルゲン(8種類)
オオアワガエリ、カモガヤ、ブタクサ混合物Ⅰ、ヨモギ、スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ - 環境アレルゲン(4項目)
コナヒョウヒダニ、ハウスダストⅠ、ネコ皮屑(ひせつ:フケのこと)、イヌ皮屑 - その他アレルゲン(4項目)
カンジダ、アルテルナリア、アスペルギルス、ラテックス
検査費用は、保険診療で3割負担の場合、5,000円程度になります。この金額に、診察料などが加わります。
鼻汁塗抹検査
鼻汁塗抹検査は鼻汁好酸球検査とも呼ばれます。鼻汁中の好酸球の有無や程度を顕微鏡で観察することで、アレルギー性鼻炎の有無を調べる検査です。好酸球は白血球の一種で、アレルギー症状に関わっています。アレルギー性鼻炎があると、鼻汁中にこの好酸球が多く誘導される性質を利用し、好酸球の数をカウントすることで診断ができます。
鼻の粘膜を綿棒でこすって鼻汁を採取します。鼻汁量が多い場合は鼻をかませ、鼻汁の数か所から採取します。鼻汁量が少ない場合は鼻腔より綿棒で直接採取します。この鼻汁をスライドグラスに引き伸ばすように塗抹し、顕微鏡で観察します。
検査結果は1週間程度で分かります
検査費用は、保険診療で3割負担の場合、420円程度になります。この金額に、診察料などが加わります。
パッチテスト・パッチパネルテスト
パッチテストは、アレルギーの原因物質を確定するために有用な検査です。
アレルギー性接触皮膚炎、金属アレルギー、遅延型アレルギーによる薬疹、難治性湿疹皮膚炎群(担当医が必要と判断した症例)が適応疾患となります。
患者さんの使用している製品や薬品と、パッチテスト用の試薬(パッチテストパネル®(S)など)を用います。
原因と考えられる製品や化学物質を、皮膚に貼るか塗り、その部分の皮膚の変化によって判断します。通常は、原因物質を乗せたパッチテスト用の試薬を48時間貼ったままにし、皮膚の反応をみます。アレルギー反応に光が関与している場合には、光パッチテストを行います。また刺激物質の場合には塗布のみを行なう場合もあります。
原則として、妊娠中や授乳中の女性には行いません。
費用は、21箇所以内の場合には一箇所につき3割負担で約50円、22箇所以上では一箇所あたり約40円となります。
リンパ球刺激試験
リンパ球刺激試験(lymphocyte stimulation test;LST)は、薬物によるアレルギーが疑われる場合に行われます。その薬物を使用してリンパ球を刺激し、リンパ球が増えるかどうかの反応を調べる検査です。
費用は、薬剤によるアレルギーを疑う場合には保険診療となります。3割負担の場合、薬剤に対して約1,000円、薬剤で約1,300円、薬剤以上で約1,500円となります。
アレルギー検査の目的と当日の流れ
ここでは、アレルギー検査の目的と当日の流れについて解説します。
アレルギー検査の目的
鼻水やかゆみ、じんましん、喘息などの症状が何によって起こっているのかを確認するために行われます。アレルギーの原因を確定することで、治療方針も立てることができます。
アレルギー検査の前日の注意点
検査の数日前から抗ヒスタミン薬やステロイド薬の使用を控えるよう指示をうける場合があります。これらの薬はアレルギー反応を抑えるため、正確な検査結果が得られなくなる可能性があります。医師の指示に従ってください。
また、皮膚テストを予定している場合、皮膚が荒れていたり湿疹があったりすると正確な結果が得られないため、肌を清潔に保つようにしましょう。
アレルギー検査の当日の流れ
当日は以下の手順で検査が進められます。
- 受付と問診
アレルギーの症状や家族歴、過去の病歴について医師に詳しく伝えます。 - 検査の実施
血液検査の場合は採血が行われ、皮膚テストではアレルゲンを用いた刺激後の反応を観察します。検査自体は数分から数十分で終了します - 結果の確認と説明
血液検査の場合、結果は数日後〜1週間後に判明することが多いですが、皮膚テストは当日ないし2日後に反応を見ることが必要となる場合があります。医師から結果の説明と今後の対応についてアドバイスを受けます。
アレルギー検査の当日の注意点
当日には、前日と同様に抗アレルギー薬は医師の指示の元で内服しましょう。
皮膚テストを行う場合には、肌を露出しやすい服を着用することをおすすめします。
「アレルギー検査・どこで」についてよくある質問
ここまでアレルギー検査はどこで受診できるかなどを紹介しました。ここでは「アレルギー検査・どこで」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
アレルギー検査39項目は何科で受診できますか?
小島 敬史(医師)
内科、小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、アレルギー科で受診可能です。症状に応じて診療科を選ぶと良いでしょう。迷う場合は、かかりつけ医や内科で相談してください。
アレルギー検査はいつ受診した方がいいですか?
小島 敬史(医師)
皮膚症状や食物アレルギーを疑う症状など、何らかのアレルギー反応が強く出ている場合には、早めに受診した方がいいでしょう。
花粉症などの季節性アレルギーであっても、原因物質を知っておくことで予防ができたり、早めに治療したりすることもできます。また、検査結果によっては舌下免疫療法という治療により根治が期待できる場合もあります。
まとめ アレルギー検査は早めの受診を!
今回の記事では、アレルギー検査がどこで受けられるのか、またどのような検査があるのかについて解説しました。
アレルギーにはさまざまな症状があります。鼻炎症状が強く出ている際には耳鼻咽喉科、食物アレルギーが疑われる場合にはアレルギー科を標榜する医師を受診しましょう。
「アレルギー検査」の異常で考えられる病気
「アレルギー検査」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
皮膚の病気
- アトピー性皮膚炎
- じんましん
消化器系の病気
- 食物アレルギー
- 好酸球性胃腸炎
循環器系の病気
アレルギー検査は症状の原因を特定する重要な手がかりです。正確な診断と適切な治療のために専門医の診察を受けましょう。