子どもの「アレルギー検査」は何歳から受けられる? どんなメリットがあるの?【医師解説】

子どものせきや湿疹、食べ物を口にした後の体調不良などで、「もしかしてアレルギーかも?」と心配になるケースもあるのではないでしょうか? アレルギーは生活に大きな影響を及ぼすため、早めの診断が大切です。そこで、駒沢自由通り皮膚科の白石英馨先生に、子どものアレルギー検査について話を聞きました。
※2025年10月取材。

監修医師:
白石 英馨(駒沢自由通り皮膚科)
アレルギーの基礎知識

編集部
アレルギーとは、どのように起こるのでしょうか?
白石先生
アレルギーは、本来は体を守るはずの免疫が、特定の食べ物や花粉、ダニなどに過剰に反応してしまうことで起こります。アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)に曝露(ばくろ)を続けると、やがてアレルゲンを異物とみなすようになり、体から排除しようとする感作(かんさ)という免疫反応が働きます。いったん感作が成立すると再度アレルゲンが侵入してきた際に、アレルゲンに対するIgE抗体が作られ、IgE抗体がマスト細胞(皮膚、粘膜、気管支など外界と接する組織に存在する免疫細胞)に結合します。これによりヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されます。その化学伝達物質に目や鼻の粘膜が反応することで、アレルギー症状が引き起こされます。
編集部
どのような場合アレルギーが疑われますか?
白石先生
例えば、特定の食べ物を摂取したあとにじんましんやかゆみ、息苦しさ、吐き気、嘔吐が出る、特定の季節にせきや鼻水が強くなる、湿疹が長引いてなかなか治らないといったケースです。繰り返し症状が出る場合は、アレルギーの可能性を疑って検査を検討したほうがよいでしょう。
編集部
アレルギーを放置するとどうなるのですか?
白石先生
子どもの腸管は未発達なため、食物アレルギーの症状を伴いやすい状態です。しかし、成長につれてバリア機能が発達してアレルゲンへの耐性を獲得すると、症状が出なくなる場合もあります。一方で、大人になってからの食物アレルギーは自然寛解が期待しにくいため、アレルゲンの除去が必要です。また、食物アレルギーによる強い反応でアナフィラキシーを起こす危険もあるため、適切な対処が求められます。近年は、皮膚におけるバリア機能の破綻が続く影響で、経皮的に異物が侵入して感作を起こす「経皮感作」も問題になっています。アレルギー予防の観点から、皮膚を健康に保つ重要性が高まっています(例:小麦成分入りの石けん使用による小麦アレルギー発症、ハウスダストの経皮感作によるぜんそく悪化など)。
アレルギー検査の種類と受けるタイミング・メリット

編集部
アレルギーの検査にはどのような種類があるのですか?
白石先生
代表的な検査として、血液検査と皮膚テストがあります。血液検査では、血液中の「特異的IgE抗体」の有無を調べます。食べ物や花粉など、アレルギーの原因となる物質をある程度特定でき、年齢に関係なく受けられるのが特徴ですが、あくまでスクリーニングテストであり、結果と症状が一致しないこともあります。実際の症状を見るテストとしては、以下のようなものがあります。
・プリックテスト
食物アレルギーなどの即時型アレルギーを特定する検査です。血液検査の項目にない食物でも実施できるのがメリット。しかし、より強いアレルギー反応が出る可能性があるので、急変時の対応態勢が整っている施設で行う必要があります
・食物経口負荷試験
実際に被疑食品を食べてみて症状の有無をみるテストです。ただし、これも強いアレルギーを起こす可能性があるので、緊急時の対処ができる施設で行う必要があります
・パッチテスト
金属アレルギー、化粧品アレルギーなどの遅発型アレルギーを調べる検査。被疑物質がついたパッチを背中に貼り、48時間後に剥がし、72時間、96時間後に腫れの有無を判定します
編集部
子どもは何歳からアレルギー検査を受けられるのでしょうか?
白石先生
血液検査であれば、0歳児からでも受けることができますが、実際には、症状が繰り返し出るようになった時点で検査を検討するケースが多くなっています。皮膚テストについては、ある程度じっとしていられる年齢になってから行うことが望ましいため、一般的には2~3歳から就学前の子どもに実施される場合が多くなっています。
編集部
アレルギー検査を受けると、どんなメリットがありますか?
白石先生
「原因が分かる」ことがとても大きなメリットになります。なぜなら、仮にその後症状が出たとしても、保護者や本人の「なぜか分からない」という不安をなくすことができるためです。また、学校や幼稚園・保育園に情報を共有できることで、周囲からの理解やサポートを受けやすくなるのもメリットになります。さらに、アレルゲンが特定されることで、抗アレルギー薬や舌下免疫療法などの治療を開始することもできます。
アレルギーへの対応と家族の役割

編集部
アレルギーらしい症状があるのに、検査で「アレルギーなし」の結果が出る、またはその逆となることはありますか?
白石先生
あります。例えば以下のような状態です。
・「陽性」だが症状がない
・「陰性」だが症状がある
大事なのはあくまで「症状があるか・ないか」なので、たとえ検査結果が陽性でも症状がなければ制限する必要はありません。そのため、検査結果だけで判断せず、症状や経過を丁寧に見ていく必要があります。
編集部
アレルギーと診断されたら、どのように対応すればよいですか?
白石先生
診断がついたら、「日常生活をどう整えるか」が大切になります。例えば、食物アレルギーがあるならば、給食や外食で注意すべき点を確認しましょう。また代替の食品を検索し、食物アレルギーがあることで必要な栄養素が得られないという不利益がないよう配慮してください(例えば小麦の代わりに米粉、肉の代わりに大豆を使った大豆ミートにするなど)。また、環境アレルギーであれば掃除や換気などの生活習慣を工夫できます。必要に応じて薬を使いながら症状をコントロールし、生活の質を下げないことが目標になります。
編集部
家庭ではどんなサポートができますか?
白石先生
本人やご家族の負担にならない範囲で、症状を観察して、日記のように記録しておくとよいでしょう。「どの食べ物を食べたあとに症状が出たか」「季節によって症状が変わるか」などの情報は、診察時に大変役立ちます。また、無理な自己判断で食事を制限すると栄養不足につながることもあるため、必ず医師と相談しながら進めることが重要です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
白石先生
子どものアレルギーは、現代社会において決して他人事ではありません。気になる症状がある場合は、まず医療機関でアレルギー検査を受けることをおすすめします。原因がはっきりしない場合でも、“何が関係しているのか”を一緒に見極めていく手伝いができます。アレルギーは生活の質に大きく関わるため、気になる症状がある人は、早めに相談してみてください。
編集部まとめ
子どものアレルギーは、症状が出るタイミングや生活習慣と深く関わっています。原因を正しく知ることで、不要な制限を避けながら生活の質を守ることができます。血液検査は乳児期から可能であり、繰り返す症状がある場合は早めの検査が安心です。気になる症状がある際は、まずは医師に相談してみてください。
参考文献
厚生労働科学研究班による 食物アレルギーの診療の手引き2023
医院情報

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| 診療科目 | 皮膚科、小児皮膚科、美容皮膚科 |
| 診療時間 | 月火木金:9:30~13:00/15:00~18:30 土:9:00~13:00 |
| 休診日 | 水・日・祝 |

