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鼻づまりに潜む意外な病気をご存じですか? 放置してはいけない理由とは?【医師解説】

 公開日:2025/05/10

「風邪でもないのに鼻詰まりが続いている」「いつも片方の鼻が詰まる」といった症状に悩んでいませんか? 鼻詰まりは単なる不快な症状ではなく、放置すると健康に悪影響を及ぼすことがあります。そこで、鼻詰まりの原因や、放置するリスク、適切な対処法について「渋谷駅前耳鼻咽喉科」の森安仁先生に解説してもらいました。

森 安仁

監修医師
森 安仁(渋谷駅前耳鼻咽喉科)

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筑波大学医学群医学類卒業。その後、東京大学医学部附属病院や虎の門病院、近畿大学病院などで耳鼻咽喉科の経験を積む。2024年、渋谷駅にある「渋谷駅前耳鼻咽喉科」の院長に就任。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定・専門医、補聴器相談医。

鼻詰まりが続くのはどうして?

鼻詰まりが続くのはどうして?

編集部編集部

鼻詰まりが続く原因にはどんなものがありますか?

森 安仁先生森先生

鼻詰まりの原因は様々ですが、代表的なものに「アレルギー性鼻炎」「慢性副鼻腔炎」「鼻中隔弯曲症」「鼻茸(ポリープ)」などがあります。また、まれに鼻腔内の腫瘍が原因になっていることもあるため、長引く場合は注意が必要です。

編集部編集部

鼻詰まりを放置するとどんなリスクがありますか?

森 安仁先生森先生

慢性的な鼻詰まりを放置すると、口呼吸が増え、喉が乾燥しやすくなります。その結果、細菌やウイルスが体内に入りやすくなり、風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなることがあります。また、酸素の取り込みが悪くなり、睡眠の質が低下することもあります。

編集部編集部

アレルギー性鼻炎が原因の鼻詰まりとはどのようなものですか?

森 安仁先生森先生

花粉やハウスダスト、ダニなどに対するアレルギー反応が原因で、鼻の粘膜が腫れ、鼻詰まりが生じます。鼻水やくしゃみ、目のかゆみを伴うことが多く、鼻水は透明でサラサラしているのが特徴です。抗アレルギー薬やステロイド点鼻薬などで症状を抑えることができます。

編集部編集部

では、慢性副鼻腔炎による鼻詰まりの特徴とは?

森 安仁先生森先生

慢性副鼻腔炎では、鼻詰まりとともに黄色や緑色の粘り気のある鼻水や、鼻水が喉に流れる後鼻漏の症状が出ることがあります。放置すると嗅覚障害や頭痛を引き起こすことがあるため、早めの治療が大切です。

鼻詰まりに潜む病気とは? 医師が解説!

鼻詰まりに潜む病気とは? 医師が解説!

編集部編集部

鼻炎や副鼻腔炎以外にも、鼻詰まりの原因になる病気があるのですね。

森 安仁先生森先生

そうですね。たとえば先ほどの鼻中隔弯曲症は、鼻の中央にある仕切り(鼻中隔)が曲がっている状態です。先天的なものや、鼻を強くぶつけたことが原因で起こることがあります。片側の鼻が常に詰まりやすくなるのが特徴で、症状によっては手術が必要になることもあります。

編集部編集部

鼻茸(ポリープ)についても教えてください。

森 安仁先生森先生

鼻の粘膜にできる良性の腫瘤(鼻茸)が原因で鼻詰まりが起こることがあります。鼻茸が大きくなると、鼻の通りを塞いでしまい、薬では改善しにくいため、手術が必要になることもあります。

編集部編集部

市販薬で鼻詰まりを改善できますか?

森 安仁先生森先生

市販の点鼻薬には血管収縮剤が含まれているものが多く、それらでも一時的に鼻詰まりを解消できます。しかし、2週間以上使用すると効果の持続時間が短くなり、効き目そのものも弱くなってしまう「リバウンド現象」が起こり、かえって症状が悪化することがあるため、一時的な使用をおすすめします。

編集部編集部

鼻詰まりが続く場合、どのくらいで受診したらよいでしょうか?

森 安仁先生森先生

1カ月以上鼻詰まりが続く場合や、鼻水が黄色や緑色になったり、嗅覚が低下したりする場合は、耳鼻科を受診することをおすすめします。また、片側の鼻詰まりが続く場合は、腫瘍の可能性も考えられるため、早めの診察が必要です。

鼻詰まりで受診、どんな検査・治療法がある?

鼻詰まりで受診、どんな検査・治療法がある?

編集部編集部

鼻詰まりで受診した場合、どんな検査をするのでしょうか?

森 安仁先生森先生

まず問診をして、症状の経過やアレルギー歴、生活習慣などを確認します。その後、鼻鏡や内視鏡を使って鼻腔内の状態を観察し、炎症の有無や鼻茸(ポリープ)、鼻中隔の曲がり具合などを確認します。さらに、必要に応じてアレルギー検査や細菌培養検査、CT検査をおこない、慢性副鼻腔炎や腫瘍の有無を詳しく調べることもあります。

編集部編集部

鼻詰まりの治療法にはどんなものがありますか?

森 安仁先生森先生

鼻詰まりの原因に応じて、抗アレルギー薬や点鼻ステロイド、抗生物質などの薬物療法をおこないます。繰り返しになりますが、重症の場合や薬物療法でも改善がみられない場合、鼻中隔弯曲症や鼻茸がある場合などは、手術が必要になることもあります。例えばアレルギー性鼻炎に対しては、鼻腔を押し広げる「下鼻甲介手術」という手術法があります。基本的には全身麻酔でおこなわれますが、当院のように局所麻酔でおこなえる医療機関もありますので、全身麻酔に抵抗がある方などにはおすすめです。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

森 安仁先生森先生

鼻詰まりの原因には、アレルギーや風邪のほかに、副鼻腔炎や腫瘍といった重大な病気がかくれている可能性があります。専門医がいる病院で精密検査をすることで、正確な診断と適切な治療につながり、症状を速やかに改善させることが期待できます。市販薬は一時的な症状改善には有効ですが、根本治療のためには専門的な治療を受けることをおすすめします。

編集部まとめ

鼻詰まりは「放っておけば治る」と思われがちですが、様々な病気が原因になっていることがあり、放置すると睡眠の質の低下や感染症のリスクが高まり、生活の質にも影響を及ぼします。長引く鼻詰まりがある場合は、早めに耳鼻科を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。

医院情報

渋谷駅前耳鼻咽喉科

渋谷駅前耳鼻咽喉科
所在地 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3丁目28−15 渋谷S.野口Bldg.
アクセス JR「渋谷」駅 新南口より徒歩1分
診療科目 耳鼻咽喉科

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