1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. コラム(医科)
  4. 漢方薬って普通の薬とは何が違うの?

漢方薬って普通の薬とは何が違うの?

公開日:2022/03/15

漢方薬は奈良時代に中国から伝わり、日本で独自に発展してきました。普通の薬と作用の仕方や副作用などに、どの様な違いがあるのでしょうか。今回は漢方薬と普通の薬の違いについて「薬剤師」の鈴木さんに詳しく伺いました。

鈴木真理

監修
鈴木 真理(薬剤師)

プロフィールをもっと見る

城西大学薬学部薬学科卒、法政大学大学院公共政策学修士。
国内製薬会社にて9年間、医薬品の品質管理に従事。その後、病院での薬局勤務を経て、米国製薬会社の日本法人にて17年間、様々な新薬の臨床試験(治験)にかかわる。現在はフリーとなり、医療系のライターとして「一般の人にわかりやすいライティング」をモットーに活動中。

漢方薬は自然由来の成分を含み、体質を改善する

漢方薬は自然由来の成分を含み、体質を改善する

編集部編集部

漢方薬と普通の薬はどんなところが違いますか?

鈴木真理鈴木さん

漢方薬には複数の生薬が含まれています。生薬とは、薬効成分を持つ植物の葉や根など、自然由来のものですね。例えば、風邪の引き始めに使われる「葛根湯」には、7つの生薬が含まれ、その1つは体を温める作用のある生姜で、漢方薬名は「ショウキョウ」といいます。普通の薬は、西洋医学の基で化学的に合成されたものが大半です。一般用医薬品には漢方薬と同様に、複数の有効成分が含まれているものが多いですが、処方箋の薬の有効成分は、基本的に1種類のみです。

編集部編集部

漢方薬はどんな症状の時に処方されることが多いのでしょう?

鈴木真理鈴木さん

漢方薬は、病気を直接的に治す、というより、病気になりにくい健康的な体を作るための体質改善を目的として使用されます。漢方医学では、皮膚の色、舌の状態、脈診、お腹を押したときの感触や、詳しい問診などから得られる情報を元に、その人の体質に合った漢方薬が選ばれます。

編集部編集部

症状がある場合は漢方薬の適応外なのでしょうか?

鈴木真理鈴木さん

いいえ、自覚症状があるのに、西洋医学的な検査をしてもどこも悪くないと診断された時に、漢方薬が有効な場合もあります。例えば、耳鳴りは約10%〜20%の成人に自覚があるとされています。しかし、検査をしても機能的には異常がないと診断される人もたくさんいます。その際には漢方薬が使われることがあり、七物降下湯(シチモツコウカトウ)は、血の巡りを良くして耳鳴りを改善する薬の1つですね。

編集部編集部

一般用医薬品の漢方薬と、処方箋で買う漢方薬に違いはありますか?

鈴木真理鈴木さん

一般用医薬品でも処方箋の漢方薬でも、同じ生薬が含まれています。しかし、一般用医薬品の方が、生薬の配合量が少なく設定されています。一般用医薬品は、より高い安全性を考慮されているためです。

漢方薬の特徴

漢方薬の特徴

編集部編集部

漢方薬の方が副作用は少ないと聞いたのですが、本当でしょうか?

鈴木真理鈴木さん

 「副作用」とは、その薬を服用した人にとって好ましくない作用のことです。普通の薬は速やかに薬効を示しますが、副作用が生じることがあります。一方で、漢方薬は自然由来の成分のため、穏やかに作用し、副作用が少ない傾向があります。しかし、副作用が全く出ないわけではありません。体質に合わない漢方薬を使ったり、2種類以上の漢方薬を使ったりした際には、副作用が出る可能性もあります。

編集部編集部

作用が穏やかということは、漢方薬は長く飲まないと効果がないのですか?

鈴木真理鈴木さん

普通の薬よりも長い服用期間を必要とすることが多いですね。しかし、葛根湯など即効性が認められている漢方薬もあります。葛根湯は「何か喉の調子がおかしい、寒気がする、風邪っぽい」と感じた風邪のひき始めの段階で、すぐに服用すると効果的です。

編集部編集部

ダイエットに効くという噂も聞いたことがあります。

鈴木真理鈴木さん

ダイエットというよりも、肥満症に有効な漢方薬はあります。不健康なやり方のダイエットに対するものではなく、健康的な体へ導くのが漢方です。肥満症への効能効果がある漢方薬は、主に3つあります。大柴胡湯(ダイサイコトウ)防風通聖散(ボウフウツウショウサン)防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)などは、便秘やむくみ、冷えの改善により、肥満を改善します。ただし、誰が使用しても痩せるということではありません。肥満症の改善は、医師や薬剤師に相談の上、体質に合った漢方薬を選択することをおすすめします。

編集部編集部

漢方薬の飲み方についても教えてください。

鈴木真理鈴木さん

漢方薬の飲み方は、食前・食間が基本です。食前は、食事をする30分前、食間は食事2時間後が目安です。この時間帯は、胃腸に食べ物が少ないため、薬の吸収率が高いからです。しかし、必ずしも食前・食間ということではなく、体質や生活背景を考慮して、食後に服用しても良いでしょう。空腹時に服用すると、胃の不快感が出る人や、仕事中などに服用することが難しい人は、食後でも大丈夫です。また普通の薬も服用しているのであれば、飲み忘れを防ぐために、医師からの指示で、漢方薬も食後の用法となることがあります。

漢方薬の費用

漢方薬の費用

編集部編集部

漢方薬に健康保険はききますか?

鈴木真理鈴木さん

日本で承認されている約300種類の漢方薬のうち、約150種類は健康保険が使えます。しかし、保険を適用させるには、病院から発行された処方箋が必要です。他方、一般用医薬品の漢方薬は処方箋なしで買えますが、健康保険は使えません。

編集部編集部

漢方薬と普通の薬では値段に違いはありますか?

鈴木真理鈴木さん

普通の薬と、作用の仕方や服用期間の傾向が異なるため、一概にどちらが高いとは言い難いですね。一般的に普通の薬は、有効成分が1つだけ含まれているため、1つの病気を治すために、数種類の薬を使うことがあります。他方、漢方薬はすでに数種類の生薬が含まれているため、1つの病気に対して多くの漢方薬を使う必要はありません。このため、漢方薬の方が安く済むこともあるでしょう。

編集部編集部

普通の薬の多くは1成分しか入っていないとは知らなかったです。

鈴木真理鈴木さん

西洋医学(普通の薬)と漢方医学(漢方薬)の考え方の違いですね。西洋医学は症状に対して、ピンポイントで速やかに作用する一方、漢方医学は体質を穏やかに改善して、病気を治すことを目指しています。最近は、普通の薬の処方薬でも複数の有効成分が入っているものが出てきていますが、まだまだ数は少ない印象です。配合剤は服用する薬の数が減らせる上、薬代を抑えられるメリットがありますが、副作用が出た際に、どの成分が原因なのか分かりにくい、といったデメリットもあります。

編集部編集部

最後に読者へメッセージをお願いします。

鈴木真理鈴木さん

 漢方薬は、2000年以上の長い歴史を持つ中国の医学を基に、日本の気候や考え方などにあわせて、日本独自の発展を遂げてきました。近年では、西洋医学の医師も積極的に漢方薬を使うようになってきており、普通の薬との併用も増えています。それぞれの薬の良さを生かして、体の改善を目指しましょう。

編集部まとめ

漢方薬は病気を治すだけに使われるのではなく、体質改善に有効であることがわかりました。また漢方薬でも副作用はあるため、服用指示を守り、不安な点があれば医師や薬剤師に相談することをおすすめします。