「3密」さえ避ければ大丈夫? 新型コロナと付き合って生活していくには
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、3密(密閉、密集、密接)を避けて外出するようにと国や自治体が中心となり注意喚起をしています。
この3つの条件が揃う場所が集団感染のリスクを高めますが、果たして3密さえ避けていれば安全なのでしょうか。また、収束の長期化が見込まれている中で、今後の生活とどうやって向き合っていけばいいのでしょうか。日本感染症学会専門医の加藤先生を取材しました。
監修医師:
加藤 哲朗(日比谷クリニック 副院長、日本感染症学会感染症専門医)
終息までは長期化が避けられないと言われていますが、どれくらい続くと考えていますか?
現状から判断すると、すぐに収束することはないと思われます。新型コロナウイルスの性質(症状発症2日前から感染性がある)、現在ワクチンが無い、確立された治療薬がない、抗体があっても罹患しないという保証もない、抗体が長続きするかもわからない、など様々な理由から、年単位の対応が必要となる可能性もあります。
ワクチンの完成または集団免疫の獲得まではずっと同じ状況なのでしょうか?
仮に治療方法が先に確立されたとしても、それはウイルス感染自体を減らすものではなく、COVID-19の重症化や関連する死亡者数を減らすための方法論でしかありません。我々ができることは感染拡大防止のために何ができるかを考えることです。現時点では国民一人ひとりが感染拡大防止のため経済活動を制限しながらウイルスの蔓延が通り過ぎるのを待つことしかできません。それと同時にウイルス感染の予防策であるワクチンの開発や行政を中心とした感染対策の継続が重要と考えます。
長期化するとなると、社会活動を続けながら感染者数も抑えていくということになるかと思いますが、我々はどのように生活していけばよいでしょうか?
従来おこなわれてきた社会活動と、現在おこなわれている、行動制限を根本とする感染対策は相反するものです。テレワークやオンライン会議など現在のテクノロジーを最大限に活用しながら経済活動を継続されている方もいますが、飲食店、娯楽、演劇、芸能、プロスポーツやジムなど代替策のないジャンルの職業の方々もたくさんいらっしゃいます。現在の危機を国難として捉える必要もあるのではないでしょうか。この困難をどのように乗り越えていくのかは、まだまだ課題が山積していると思います。状況の異なる諸外国がどのような対応を行い、どのような成果が得られたか、ということも参考にしつつ、日本という国ではどういったことが最適解かということを常に模索しながら国家としての方向性を決め、並行してワクチン開発を進め、実用可能となる日を待つ……ということになるのではないかと思っております。
「3密」さえ避ければ大丈夫なのでしょうか?
「3密」は新型コロナウイルスの感染拡大が最も起こりやすい条件がそろった状況を指す言葉とご理解ください。つまり、「2密」や「1密」だから大丈夫、ということではありません。「3密」である以前に、そもそも人と人が接しないことの方がはるかに重要で効果的ですので、「3密」でないから大丈夫という考え方は極めて危険とご理解ください。
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