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オミクロン株対応ワクチン接種率37.5%と伸び悩み「接種率増えないと医療ひっ迫が起こる」

 更新日:2023/03/27
オミクロン対応ワクチン接種率伸び悩み

新型コロナウイルスのオミクロン株に対応したワクチンを接種した人数は、1月12日現在で約4700万人、接種率は37.5%と伸び悩んでいることがわかりました。このニュースについて郷医師に伺いました。

郷 正憲医師

監修医師
郷 正憲(医師)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT。

オミクロン株対応ワクチンの接種率の現状は?

オミクロン株対応ワクチンの接種率の現状について教えてください。

郷 正憲医師郷先生

首相官邸の発表によると、2023年1月12日時点でオミクロン株対応ワクチンの接種は4724万8013回おこなわれています。これは日本の全人口に対して37.5%となります。このうち、65歳以上の高齢者は2280万6214人で、接種率は63.5%でした。2022年9月、ファイザー製とモデルナ製のオミクロン株対応ワクチンがそれぞれ特別承認され、2022年のうちに全ての希望者への接種完了を目指していました。当時の目標から考えると、接種が伸び悩んでいると言えます。従来のワクチンやオミクロン株対応ワクチンをこれまでに接種した人は、1回目で1億457万4544人(接種率81.4%)、2回目で1億317万4537人(接種率80.4%)、3回目で8537万1547人で(接種率67.8%)、4回目で5566万9847人、5回目で2487万5494人となっています。

接種率が伸び悩んでいる理由は?

オミクロン株対応ワクチンの接種率が全人口の37.5%にとどまっていることについて、接種率が低いことへの懸念点も含めた受け止めを教えてください。

郷 正憲医師郷先生

今回発表されたオミクロン株対応ワクチンの接種率低下は、ある程度予想されたものでした。理由としては、ワクチン自体への懐疑的な風潮も相まって、予想したとおりに接種率が下がってしまったと考えられます。また、報道にもあるように、オミクロン株対応ワクチンといえど、オミクロン株全ての感染を抑えるわけではなく、ワクチンを接種しても感染してしまうケースがかなり多いのは事実です。

しかし、やはりワクチン接種によって感染率は確実に低下させることができますし、重症化の低下効果も非常に強いとされています。また、入院が必要なケースもワクチンによって抑えられると考えられますので、医療のひっ迫を押さえることができることも期待されます。ただし、ワクチン接種率が低い現状ではそれらの効果が弱く、医療がひっ迫して通常医療すらおこなえない状況も出てきてしまっています。この状況を打破するには、やはりオミクロン株対応ワクチンの接種率向上が望まれます。

ワクチン接種率が伸び悩んでいる理由として考えられることは?

政府は2022年内に全ての希望者への接種を完了することを目標にしていましたが、オミクロン株対応ワクチンの接種率が伸び悩んでいる理由として考えられることを教えてください。

郷 正憲医師郷先生

新型コロナウイルスの流行初期は、「感染すると死に至るウイルスで、ワクチンを打たなければ死んでしまうかもしれない」という恐怖感が非常に強くありました。そのため、我先にワクチンを打ちたいと望んで、接種券が来たらすぐに予約して接種する人が大勢いたことを覚えているかと思います。

ところが、ワクチンが簡単に接種できるようになったことに加えて、だんだんと接種間隔が短くなり、いまや3カ月毎に接種することができるようになりました。こうなると「いつでも大丈夫」という安心感から、接種しようというモチベーションがある人ですら接種に足が向かなくなってしまいました。また、ウイルスの変異によって接種をしても結局感染するケースが増加して、ワクチンの効果に疑問を抱くようになってしまったという面もあります。「全く接種しないのと比べたら、一度接種した方がずっとマシ」という話もあったり、「ワクチンの副反応が嫌だ」という人も増えたりと、追加で接種しようという風潮が非常に薄れてしまいました。

しかし前述のように、ワクチン接種率を向上させないと新型コロナウイルスによる死亡者だけではなく、医療ひっ迫によって通常医療ができなくなり死亡者が増加することも考えられます。救える命を救えるようにするために、なるべく早期にオミクロン株対応ワクチンを接種するようにご検討ください。

まとめ

新型コロナウイルスのオミクロン株に対応したワクチンを接種した人数は、1月12日時点で4700万人余り(接種率37.5%)と、伸び悩んでいることが今回のニュースでわかりました。第8波で1日あたりの死者数も500人を超えており、ワクチン接種に対する取り組みも注目を集めそうです。

この記事の監修医師