新型コロナウイルスによる死亡者数が1日あたり500人超え 過去最多を更新
増加傾向が続いている新型コロナウイルスによる死者数が、1月14日に503人と過去最多の数値が確認されました。このニュースについて郷医師に伺いました。
監修医師:
郷 正憲(医師)
新型コロナウイルスによる死者数の傾向は?
新型コロナウイルスによる死者数の傾向について教えてください。
郷先生
新型コロナウイルスの死者数は2022年11月28日以降、3桁台で推移しており、増加傾向にあります。そして、2023年1月14日に確認された死者数は503人となり、これまでの最も多い死者数を記録していた1月5日の498人を抜いて、過去最多となりました。14日に死者数が最も多く確認されたのは福岡県の40人で、大阪府の36人、東京都の33人と続いています。
こうした増加傾向について、厚生労働省の公表資料をもとに比較してみると、2022年と2021年の10月1日から12月29日の死者数を比べると2021年が744人、2022年は1万1853人となり、15.9倍に増えていることがわかります。2022年8月31日から2022年12月27日の年代別の死者数の割合は、70代が17.0%、80代が40.8%、90歳以上が34.7%、特に高齢者の割合が高くなっています。
新型コロナウイルスによる死者数についての受け止めは?
死者数が増加傾向にあることについての受け止めを教えてください。
郷先生
新型コロナウイルスの第8波について、感染者数は最多を更新しないのに、死亡者数が最多を更新し続けるという統計が出ているのが特徴となっています。これは別に死亡率が上昇したからではないと考えられます。感染者数、死亡者数が最多となった第7波と大きく違うのは、全数把握が中止されたことにあります。ニュースなどで感染者数が毎日公開されていますが、第8波では一部の人数しかカウントしていません。また、発熱があるのに検査をしない人もいるため、実際の感染者数は圧倒的に増えていると考えられます。つまり、感染者が増えれば死亡率は変わらなくても死亡者数は増えるというわけです。さらに、この死亡者数についても細かい変化が起こっています。これまでは死者が新型コロナウイルス陽性であれば、かなりの数が新型コロナウイルスによる死亡とカウントされていました。しかし、現在は本当に新型コロナウイルスによって死亡した例のみがカウントされているようになったため、以前のカウント方法で考えると現在報告されている以上に死亡者数も増えていると考えられるのです。
たしかに、経済を回すために感染者数が増加することは、ある程度仕方がないところではあります。しかし、このように死亡者数が増加しているという現実を捉えて、自分や大切な人が新型コロナウイルスで死亡する可能性があるということを、今一度考え直す時期であると言えるのではないでしょうか。
新型コロナウイルスによる死者数を減らすために必要なことは?
1日の死者数が今回初めて500人を超えてしまいましたが、新型コロナウイルスによる死者数を減らすために必要なことはなんでしょうか?
郷先生
死亡者数は「感染者数×死亡率」によって求められます。このうち、死亡率はウイルスの性質と医療の質によって決まってきますから、ある程度どうしようもないところではあります。そうなると、死亡者数を減らすためには感染者数を減らすしかありません。
今まで言われてきたような感染対策を引き続きおこなうことが重要です。その一方で、経済を回すために経済活動をおこなうことも大切で、様々な制限を撤廃する流れは否定するものではありません。ただし、感染者数が増えてしまうと様々な経済活動もできなくなってしまいます。
「マスクの着用」「可能な限りのソーシャルディスタンスを取る」「手洗いや手指消毒をしっかりする」などの基本的な感染対策をおこなうことは、感染対策であるだけではなく経済対策にもなります。ぜひとも一つひとつの感染対策の行動を意識して生活して、感染率を下げて経済を回すことができるようにしていきましょう。そうすれば、死亡者数も低下していくと思われます。
まとめ
増加傾向が続いている新型コロナウイルスによる死者数が、1月14日に503人と過去最多となったことが今回のニュースでわかりました。2022年末に専門家組織「アドバイザリーボード」の脇田隆字座長が「死者数がかなり増えており注視している。地域差があるので分析が必要だ」と話しており、今後も死者数については注視が必要になりそうです。