新型コロナウイルス拡大で初めて聞いた「クラスター」ってどういう意味?

新型コロナウイルス拡大で初めて聞いた「クラスター」ってどういう意味?

新型コロナウイルスのニュースでよく見かける「クラスター」。厚生労働省は「新型コロナウイルスを終息させるには、クラスターが次のクラスターを生み出すことを防止することが極めて重要である」と見解を述べていますが、クラスターとは何を指している言葉なのか。クラスターの意味と対策方法について、東京慈恵会医科大学附属病院で感染症科医長を務める堀野哲也先生に伺いました。

※この記事は、2020年3月12日時点の取材データをもとに作成しております。

堀野 哲也

監修医師
堀野 哲也(東京慈恵会医科大学附属病院感染症科 診療医長、
感染症専門医)

編集部編集部

クラスターとはどういう意味なのでしょう?

堀野先生堀野先生

クラスター(cluster)は、和訳すると「集団」という意味ですが、今回の新型コロナウイルス感染症では「感染者の集団」を指します。1人から何人に感染させるかを示す基本再生産数が、新型コロナウイルス感染症では状況によって大きく異なる可能性が示唆されています。ある状況下では1人の感染者から、複数の方に感染が広がっていることが報告されており、この感染が広がった集団をクラスターと呼んでいます。

編集部編集部

「アウトブレイク」や「パンデミック」とは違うのですか?

堀野先生堀野先生

米国疾病予防管理センター(CDC)の記載では、ある地域において、ある疾患の患者が恒常的に発生している状況を「エンデミック」、エンデミックの範囲を超えて、その地域で、その疾患の患者数が、その地域の人口から予想される患者数以上に増加した状況を「エピデミック」、さらに国境や大陸を越えて複数の国に広がった状況を「パンデミック」とされています。また、アウトブレイクは、エピデミックと同様の意味を持ちますが、より限定的な地域での状況に用いられるとしています。

編集部編集部

クラスターが起こる条件・起きやすい場所について教えてください。

堀野先生堀野先生

換気の悪い密閉空間に、手の届く距離に多くの人が集まり、接近して人が会話や発声するような状況が、クラスターの発生しやすい条件と考えられています。現在、クラスターの発生が報告された場所として、ライブハウス屋形船スポーツジムなどがあげられていますが、ほかにも懇親会会合スポーツ観戦でのクラスターの発生が懸念され、多くのイベントが中止や延期となっています。

編集部編集部

北海道が一番多く感染者を多く出していますが、どのようにクラスターが起きたのですか?

堀野先生堀野先生

北海道の感染者数は人口の多い札幌市が最も多いのですが、さまざまな地域にクラスターが点在しています。スキーシーズンで海外からも、多くの方が来られたことで北海道にウイルスが入り、仕事や観光で都市部に来られて感染した方が地元に戻り、自身が感染したことに気づかないうちに地元の周囲の人に感染させていたと考えられています。ライブバーや展示会でクラスターが発生しており、活発に活動されている若い方が感染を広げている可能性があります。

編集部編集部

「クラスターの8割が家庭内で起きる」とニュースで見ましたが、防ぐことはできないのですか?

堀野先生堀野先生

家庭は密閉空間に人が集まり、接近して会話するため、クラスターが発生しやすい条件を満たしますし、浴室やトイレなど共有する場所が多いため、感染が広がりやすい環境と言えます。普段からできることとして、日中はできるだけ換気し、咳エチケットと小まめに石けんで手を洗って手指衛生を徹底することが勧められます。

編集部編集部

クラスターを防ぐのに重要なことは何ですか?

堀野先生堀野先生

換気の悪い密閉空間に、多くの人が集まり、接近して人が会話や発声する環境には、できるだけ行かないことですが、このような環境で開催される会議などに、どうしても出席しなければならないときは、できるだけ換気し、人と人の間隔をあけ、会議終了後にアルコール消毒、あるいは手洗いでの手指衛生を遵守することが重要です。発熱や呼吸器症状のある方は欠席していただくことはもちろんですが、出席者全員のマスク着用やお互いが近い距離で対面しないように、一方向を向いて議論するなどの工夫も挙げられます。

編集部編集部

家族が感染した場合どうしたらいいですか?

堀野先生堀野先生

感染対策の基本かつ重要な考え方としてゾーニング動線があります。まずは、家の中で感染者が生活するゾーンと感染していない方が生活するゾーンをできるだけ分け、感染者と感染していない方の移動が交わらないような動線を考えます。具体的には、感染者からの飛沫感染、接触感染を予防するために、できるだけ感染者の部屋は別々とし、部屋からあまり出ないようにして、ほかの方、特に高齢者や免疫能が低下するような疾患をもつ人と接触しないようにします。お子さんや高齢者など介助が必要な方が感染者となった場合は、お世話をする人を固定して、接触する人数をできるだけ減らします。

編集部編集部

家庭内で共有する生活用品についても注意が必要ですね。

堀野先生堀野先生

そうですね。ウイルスによって汚染された環境からの接触感染を予防するために、感染者が使用したタオルは共用しないようにし、共用するトイレや洗面所、ドアノブなどは使用した後にアルコールや次亜塩素酸ナトリウムで拭くことも重要です。咳エチケットと手指衛生の遵守、こまめな換気は感染者の有無にかかわらず必要ですが、すでに症状のない方も感染している可能性がありますので、できれば家族全員がマスクを着用することが推奨されます。詳しい対応方法は厚生労働省のホームページに記載されておりますので、ご参照ください。

※厚生労働省「新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(日本環境感染学会とりまとめ)」より
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00009.html