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「サル痘」ヒトから犬への感染確認、感染したらペットとの隔離を

 更新日:2023/03/27
サル痘 ヒトから犬への感染確認

欧米を中心に感染が広がっている「サル痘」について、ヒトから犬への感染が初めて確認されたとイギリス医学誌「ランセット」で報告されました。今回のニュースについて武井先生にお話を伺います。

武井 智昭 医師

監修医師
武井 智昭(医師)

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平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

医学誌「ランセット」で報告された内容とは?

今回、医学誌「ランセット」で報告されたサル痘についての内容について教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

今回の報告はフランスの研究者によるものです。論文によると「発疹や頭痛、発熱などの症状が出た同居中の44歳と27歳の男性2人が、2022年6月10日にパリの病院で診断を受けたところ、サル痘への感染が確認された」とのことでした。男性たちに症状が出始めた12日後、イタリアン・グレイハウンドという種類の飼い犬が腹部に膿疱と肛門の薄い潰瘍を含む粘膜病変が出ました。この飼い犬を検査したところ、サル痘の陽性と判定されました。男性は飼い犬と一緒に寝ていたそうですが、自分たちの症状が出たときから犬をほかのペットや人間と接触させないように注意していたとも論文で説明しています。

論文の中で研究グループは「我々の知る限り、両患者およびその飼い犬の症状発現の速さは、サル痘ウイルスのヒトから犬への感染を示唆している。我々は、ヒトとの密接な接触や空気感染による単純なウイルス伝播ではなく、実際の犬の病気であると推測している。我々の発見は、サル痘ウイルス陽性者からペットを隔離する必要性についての議論を促すもので、ペットを介した二次感染についてさらなる調査をおこなうことを要請する」と記述しています。

今回の報告に対するWHOの反応は?

サル痘がヒトから犬に感染した報告について、WHOはどのような反応を示していますか?

武井 智昭 医師武井先生

今回の報告について、WHOのサル痘の技術責任者であるロザムンド・ルイス氏は、記者団に対して「これはヒトから動物への感染が報告された最初のケースであり、我々は犬が感染した最初の例であると考えています」と述べました。また、ルイス氏は「専門家はこのような状況が起こり得るというリスクを認識していた」として、「公衆衛生機関はすでにこの病気にかかった人にペットを隔離するよう助言していた」とコメントし、家庭外のネズミやほかの動物を汚染するリスクを下げるためには「廃棄物管理が重要である」とも述べました。

加えて、WHOの緊急対策責任者のマイク・ライアン氏は、記者団に対して「より危険な状況はウイルスが動物の密度が高い小型哺乳類の集団に移動する場合です」「1つの動物が次の動物に感染し、さらに次の動物に感染するという過程を経て、ウイルスは急速に進化していくのです」と述べています。その一方で、ライアン氏は「1匹の犬で、1人の人間以上にウイルスが急速に進化するとは思わない」と述べ、「用心深くある必要はあるがペットは危険ではない」と付け加えています。

報告内容への受け止めは?

今回の報告のような、ヒトから犬へのサル痘の感染についての受け止めを教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

今回の報告は初めてのケースであり、犬が感染する可能性があることが示唆されました。その一方で、さらなる犬同士や犬からほかのヒトへの感染の報告はありません。サル痘の感染経路のほとんどは皮膚感染(性的接触で男性同士が多い)であることには変わらず、この内容の啓発が重要であると考えます。

まとめ

欧米を中心に感染が広がっているサル痘について、ヒトから犬への感染が初めて確認されたとイギリス医学誌「ランセット」で報告されたことが今回のニュースでわかりました。日本でも感染が確認されているサル痘だけに、今後も動向に注目が集まりそうです。

この記事の監修医師