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「亜鉛が不足」すると現れる症状はご存知ですか?過剰摂取すると現れる症状も解説!

 公開日:2025/12/18

亜鉛が不足すると現れる症状とは?メディカルドック監修医が過剰摂取すると現れる症状も解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「亜鉛の効果」はご存知ですか?男女別に管理栄養士が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

大隅 加奈子

監修管理栄養士
大隅 加奈子(管理栄養士)

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管理栄養士取得後、特定保健指導や病院で栄養管理・栄養指導・給食管理に従事し、現在はフリーで活動中。イベントやセミナーに参加し、みなさまの食生活のお悩みに応えられるよう努めています。

「亜鉛」とは?

「亜鉛」とは?

亜鉛は体内に約2,000mg存在し、骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓などに広く分布しています。亜鉛は、DNAやたんぱく質の合成、味覚の形成、性腺機能の維持、皮膚の代謝、免疫機能など、多くの生体機能において重要な役割を果たす酵素の構成成分です。このように、健康を維持するために欠かせないミネラルですが、体内で作ることができないため、食事からの摂取が必要です。

亜鉛の一日の摂取量

亜鉛の一日の摂取量

日本人の食事摂取基準(2025年版)で、以下の通り基準値が設けられています。
【一般成人の推奨量】  
     男性:9.0−9.5㎎/日   女性:7.0−8.0㎎/日

【一般成人の耐容上限量】
     男性:40−45㎎/日    女性:35㎎/日
 

亜鉛が不足すると現れる症状

亜鉛が不足すると現れる症状

皮膚炎

亜鉛は皮膚のたんぱく質合成に関与しています。皮膚に存在する亜鉛のうち70%程度が表皮に含まれ、皮膚のターンオーバーや爪の成長や強度にも大きく影響しています。

・症状の特徴

 ・表皮剥脱
 ・表皮内水疱、表皮内・角層の空胞変性など進行すると皮膚炎となります。
 ・母乳を摂取している乳児の皮膚炎にはお母さんの亜鉛不足が大きく影響しています。

・すぐにできる処置、症状の落ち着かせ方はあるか

 ・亜鉛を多く含む食品を積極的に摂取し、バランスのよい食事を心がけましょう。また、医師や薬剤師に相談の上、亜鉛補充療法やサプリメントなどで補うのもよいでしょう。

・症状が悪化した場合、どんな病院・科に行くべきか、受診時の注意点

 
 かかりつけ医、または皮膚科に受診しましょう。

薄毛・脱毛

亜鉛は髪の毛の成長に欠かせない栄養素で亜鉛不足により脱毛症につながる可能性があります。

・症状の特徴

 ・機械的刺激を受けやすい後頭部に始まり、しだいに頭部全体に拡大します。
 ・毛髪だけでなく眉毛なども脱落して全脱毛状態になることもあります。また円形脱毛症になる場合もあります。

・すぐにできる処置、症状の落ち着かせ方はあるか

 食事では、亜鉛のほか、たんぱく質、ビタミンC、鉄、銅など、毛髪の維持や成長を促進する栄養素を積極的に摂ることが重要です。

・症状が悪化した場合、どんな病院・科に行くべきか、受診時の注意点

 
 かかりつけ医、または皮膚科に受診しましょう

貧血

亜鉛赤血球の産生・機能維持などに関わっています。亜鉛が不足すると赤血球の形成が不十分になり、脆くなりやすくなります。

・症状の特徴

①胎児
成長・発育に亜鉛は不可欠です。胎児が亜鉛不足になる原因として、母体の亜鉛不足が影響します。
②偏った食事を摂取している人、極端なダイエットをしている人
食事からの亜鉛摂取量が極端に減少している可能性があります。
③胃の術後
胃を切除すると胃から吸収される亜鉛の量が減少、食事摂取量の減少に伴い食事から十分な量の栄養素(ミネラル)が摂取できなくなります。そのため亜鉛が不足し貧血のリスクが高くなります。
④スポーツ競技者
汗や尿からの亜鉛排泄増加に加え、身体活動の増加に伴う需要の高まりで亜鉛不足のリスクが増します。

・すぐにできる処置、症状の落ち着かせ方はあるか

 亜鉛を多く含む食品を効率よく摂取しましょう。不安な症状などあればかかりつけ医に相談し、内服薬やサプリメントで補うのも効果的です。

・症状が悪化した場合、どんな病院・科に行くべきか、受診時の注意点

 症状が落ち着いてからかかりつけ医へ受診しましょう。

味覚障害

味を感じる味蕾細胞の維持や再生には亜鉛が必要です。亜鉛が不足すると、味蕾細胞の新陳代謝が低下し、味覚障害を引き起こす可能性があります。

・症状の特徴

 亜鉛欠乏による味覚障害の症状には、何を食べても味がしない、苦味や金属味を感じる、口が渇く、口の中にトゲがある感じがするなどがあります。

・すぐにできる処置、症状の落ち着かせ方はあるか

 亜鉛を多く含む食品を摂取することや、唾液分泌を促す方法(例:ガムを噛む、酸味のある食品を摂る)を試すことが有効です。また、水分をこまめに摂取することも助けになります。

・症状が悪化した場合、どんな病院・科に行くべきか、受診時の注意点

 味覚に異常を感じた場合は、まずかかりつけ医を受診し、必要に応じて耳鼻咽喉科での精密検査を受けることをおすすめします。

発育障害

亜鉛は成長ホルモンや性ホルモンの合成を支える重要なミネラルであり、小児の正常な発育に欠かせません。小児の亜鉛欠乏は成長障害や低身長症を引き起こす要因の一つです。先天的な病気で亜鉛欠乏をきたすこともあります。

・症状の特徴

 偏食、食欲低下、生後6ヶ月以降の母乳栄養児での亜鉛不足、遺伝的な乳腺細胞の亜鉛分泌障害などがみられます。

・すぐにできる処置、症状の落ち着かせ方はあるか

 生後6ヶ月以降の乳児には、調整乳やピューレにした肉、卵黄、豆腐、魚など亜鉛を含む食品を摂取することが推奨されます。

・症状が悪化した場合、どんな病院・科に行くべきか、受診時の注意点

 かかりつけの小児科に相談しましょう。

亜鉛を過剰摂取すると現れる症状

亜鉛を過剰摂取すると現れる症状

銅の減少

亜鉛は銅の吸収を阻害する作用があり、過剰摂取が長期間続くと体内の銅が不足します。

・症状の特徴

 ・疲労・貧血・白血球の減少
 ・骨粗鬆症・神経の損傷
 ・筋力低下や歩行異常

・すぐにできる処置、症状の落ち着かせ方はあるか

 亜鉛サプリメントや亜鉛強化食品を摂取している場合は直ぐに中止してください。

・症状が悪化した場合、どんな病院・科に行くべきか、受診時の注意点

 かかりつけ医または、内科へ受診しましょう。

免疫機能低下

亜鉛を過剰摂取すると免疫力が低下し、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。

・症状の特徴

 ・風邪から感染しやすくなる
 ・疲れやすい
 ・病気やケガが治りにくい

・すぐにできる処置、症状の落ち着かせ方はあるか

 亜鉛サプリメントや亜鉛強化食品を摂取している場合は直ぐに中止してください。

・症状が悪化した場合、どんな病院・科に行くべきか、受診時の注意点

 疲労や病気、ケガが長引く場合は、かかりつけ医または、内科へ受診しましょう。

HDLコレステロールの減少

亜鉛を過剰に摂取すると、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低下する可能性があります。低すぎる状態は脂質異常症の一種となります。

・症状の特徴

 吐き気、嘔吐、食欲不振、胃痙攣、下痢、頭痛などがみられます。

・すぐにできる処置、症状の落ち着かせ方はあるか

 亜鉛サプリメントや亜鉛強化食品を摂取している場合は直ぐに中止してください。

・症状が悪化した場合、どんな病院・科に行くべきか、受診時の注意点

 かかりつけ医または、内科へ受診しましょう。

急性中毒

亜鉛の過剰摂取により急性中毒を起こす可能性があります。

・症状の特徴

 頭痛、発熱、全身の倦怠感などの徴候がみられます。曝露後4〜12時間で発症します。

・すぐにできる処置、症状の落ち着かせ方はあるか

 亜鉛サプリメントや亜鉛強化食品を摂取している場合は直ぐに中止してください。亜鉛サプリメントを摂取する場合は、食事と一緒に摂取するか、サプリメントではなく食事からの摂取を増やしましょう。

・症状が悪化した場合、どんな病院・科に行くべきか、受診時の注意点

 かかりつけ医や内科へ受診しましょう。または薬剤師に相談しましょう。
  

「亜鉛の効果」についてよくある質問

「亜鉛の効果」についてよくある質問

ここまで亜鉛の効果を紹介しました。ここでは「亜鉛の効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。

亜鉛サプリは毎日摂取しても大丈夫でしょうか?

大隅 加奈子大隅 加奈子

はい、摂取して大丈夫です。
ですが、他のサプリメントとの併用で過剰摂取につながることがありますので注意が必要です。お食事から十分に摂れない場合は、栄養補助食品やサプリメントなどを上手く取り入れていきましょう。

編集部まとめ

・亜鉛は人が健康を維持するために欠かせないミネラルです。体内で作ることができないため、毎日の食事から効率よく摂取する必要があります。しかし、十分な量が摂れない場合はサプリメントで補うことも効果的です。
一緒に摂る食材やお薬・サプリメントとの相互作用により吸収効率が変動します。亜鉛を有効に摂取するためにも、偏らないバランスのよい食事を心がけていきましょう。
・近年、仕事や家庭などライフスタイルの変化により食生活の乱れが起きているといえます。食の多様化により加工食品の割合が多く亜鉛欠乏から疾病につながる可能性もあります。健全な食生活を送れるよう意識していきたいですね。

「亜鉛」と関連する病気

「亜鉛」と関連する病気は19個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

内科の病気

消化器科の病気

  • 慢性肝疾患(肝性脳症、ウイルス性、NAFLO)
  • 慢性炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
  • 短腸症候群

泌尿器科の病気

整形外科の病気

皮膚科の病気

  • 先天性(1次性)腸性肢端皮膚炎
  • 低亜鉛母乳授乳による2次性腸性肢端皮膚炎

産科の病気

  • 子癇

婦人科の病気

精神科の病気

  • 精神疾患(うつ病、統合失調症)

神経科の病気

  • パーキンソン病

耳鼻咽喉科の病気

「亜鉛」と関連する症状

「亜鉛」と関連している、似ている症状は18個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 皮膚炎:鼻孔、眼瞼縁炎、爪周囲、四肢
  • 脱毛症
  • 創傷治癒遅延:褥瘡(難治性)
  • 味覚異常・低下
  • 消化器症状:下痢、胃の不快感(過剰摂取)
  • 発育障害:小児で体重増加不良、低身長
  • 性腺機能不全:特に男性、精子減少、性欲減退
  • 食欲不振・低下
  • 易感染性:免疫機能低下による
  • 不妊症
  • 骨粗鬆症・骨減少症
  • 貧血
  • 運動失調
  • 子癇(妊娠高血圧症候群によって脳の血管が障害され痙攣発作を起こす)
  • 更年期障害:ホルモンの分泌低下、月経の乱れ(生理不順)

この記事の監修管理栄養士