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「急性心不全で突然死する前兆となる初期症状」はご存知ですか?医師が解説!

 公開日:2024/11/25

急性心不全で突然死する前兆にはどんな症状がある?Medical DOC監修医が急性心不全で突然死する前兆・原因・発症しやすい人の特徴・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

※この記事はMedical DOCにて『「急性心不全で突然死する前兆となる初期症状」はご存知ですか?医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

「急性心不全」とは?

「心不全」とは「なんらかの心臓機能障害、心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果として、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現して、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」と定義されています。
心臓には、全身の筋肉や臓器に血液を送る「ポンプ」としての機能があります。
具体的には、肺で酸素を受け取った血液を心臓から全身に送り、さらに全身を巡った血液を心臓に戻して再び肺に送る機能を有しています。
このポンプ機能が何らかの原因でうまく働かず、体にさまざまな症状をもたらす状態を「心不全」といいます。
さらに、この心不全が突然起こる、あるいは症状が急激に悪化して、突然死する恐れがあるのが「急性心不全」と呼ばれる状態です。
急性心不全は心筋梗塞などの病気が引き金となり、ポンプ機能が急速に低下して息苦しさや動悸、食欲不振、むくみなどの症状をもたらします。
急性心不全の多くは、虚血性心疾患や高血圧などの慢性疾患が原因であるため、まずはこれらの病気の改善を図ります。
急性心不全のなかには、たとえ血圧などバイタルサインが保たれている状態でも、急速に病状が進行して、心原性ショックや心停止に至り、突然死するケースも少なくありません。
そのような場合には、救命処置を優先し、呼吸困難や臓器うっ血(心臓内に血液が溜まっている状態)の改善を図る処置を緊急的に行う必要があります。

急性心不全で突然死する前兆となる初期症状

起坐呼吸(上半身を起こして呼吸する)

心不全が進行して重症化すると、就寝時にも息苦しさを感じますし、上半身を起こすと呼吸が楽になる「起坐呼吸」の症状が現れることもあります。
心不全の場合、前兆となる初期症状としては、運動時に息切れや動悸、疲労感などがあらわれて、重症化すると、夜間に呼吸困難や起坐呼吸(頭を高くしないと息苦しくて眠れない)などを生じ、さらに安静時でも動悸や息苦しさを伴います。
特に、左心不全になると肺から送られてきた血液が心臓内に溜まる「うっ血」が生じ、そのうっ血はやがて肺にも及んでしまう結果、肺でのガス交換がうまく行なわれなくなり、息切れや呼吸困難などの症状があらわれます。
このような症状が悪化すれば、突然死するリスクがあるので、救急車を呼びましょう。

食欲不振、だるさなど

一般的に、心臓は中隔(ちゅうかく)と呼ばれる壁で左右に分かれており、左側に心不全が起こる「左心不全」と、右側に心不全が起こる「右心不全」で症状が異なります。
特に、右心不全では、食欲不振、便秘、悪心、嘔吐、腹部の膨満感、手足のむくみ、体重増加などの症状が特徴的です。
右心には全身を巡ってきた血液を肺に送る働きがありますが、右心不全で機能が低下すると全身の血液が戻りにくくなり、このような症状があらわれます。
さらに、心臓から送り出す血液量が不足すると疲労感や脱力感、手足の冷え、尿量の減少、記憶力・集中力の低下などの症状が起こりやすくなります。
心配であれば、循環器内科など専門医療機関を受診しましょう。

むくみ

急性心不全では、心臓の働きが不十分であり、代償的に心臓拍出量を維持する仕組みが働いて、心臓拍出量そのものの低下は抑えられるものの、そのかわりに体のいろんな部分に負担がかかってさまざまな症状が出現します。
例えば、心不全に伴って腎臓に流れる血液が少なくなって尿の量が減り、水分が体内に貯留してくることになり、足の甲や下肢全体が浮腫を起こしてむくんだり、体重が短期間で数キログラム程度増加したりもします。
特に、うっ血性心不全は、体の中で血液が滞留したために、肺やほかの臓器などに静脈血が滞っている状態の心不全であり、うっ血性心不全になると、息切れや動悸、激しい咳、手足のむくみ、夜間の頻尿・多尿などの症状が現れます。
そのような症状が認められる際には、心不全に伴って突然死する恐れがありますので、循環器内科など専門医療機関を受診してください。

「急性心不全で突然死」についてよくある質問

ここまで急性心不全で突然死などを紹介しました。ここでは「急性心不全で突然死」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

急性心不全で突然死する時、どんな症状が多いですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

急性心不全で突然死するケースとしては、胸痛など胸部症状を呈して、心筋梗塞を引き起こす場合が考えられます。心筋梗塞は、心臓を養う冠動脈という血管が突然ふさがり、冠動脈疾患を起こすことによって心筋の一部への血液供給が大きく減少し遮断されることで発症します。
生命に必須である心臓への血液供給が数分以上にわたって大きく減少するか中断されると、心臓の横紋筋の筋肉組織が壊死することに繋がります。
心臓のポンプ機能は、心筋が収縮と拡張を繰り返すことで維持されていますので、心筋梗塞を起こして心筋の一部が機能しなくなって死んでしまうと、ポンプ機能が正常に働かなくなって、さらに心不全状態を悪化させることになります。
特に、急性心筋梗塞では、同時に心室細動という危険な不整脈を合併しやすく、そうなった場合には、迅速で適切な治療の有無が生死を分けることになります。

編集部まとめ

心臓という臓器は全身に血液を送り出すポンプの役割として一日中、休むことなく働き続けています。
一般的に、心不全とは心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める命に直結する病気と定義されています。
一言で心不全と言っても、原因や自覚症状は人によって多種多様です。
急性心不全は、虚血性心疾患、高血圧、心臓弁膜症などさまざまな心臓の病気が原因となって起こります。
急性心不全になると、息切れや動悸、激しい咳、手足のむくみ、倦怠感、夜間の頻尿・多尿などの症状が現れて、最悪の場合には突然死する可能性があります。
急性心不全は年齢を重ねるごとに発症するリスクが上がるために、現代の高齢化が進む我が国においては年々発症者が増えている病気でもあります。
今後もさらに患者数が増加することが予想されていますので、急性心不全に伴って突然死しないために日常的に注意していきましょう。
心配な症状があれば、循環器内科など専門医療機関を受診しましょう。

「急性心不全で突然死」と関連する病気

「急性心不全で突然死」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

急性心不全の原因は慢性疾患がもともと存在していることが多いため、上記のような病気を悪化させないことが突然死を防ぐことにつながります。

「急性心不全で突然死」と関連する症状

「急性心不全で突然死」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 胸痛を自覚する
  • 動悸を引き起こす
  • 手足がむくむ
  • 呼吸困難

心不全の症状は、原因によって異なりますし、自覚症状も幅広くあります。気になる症状がある場合には、心不全の可能性も含めて検査を行うことをお勧めします。

この記事の監修医師