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新型コロナワクチン接種後に72歳男性が死亡 厚生労働省が4人目の救済認定

 更新日:2024/03/08
ワクチン接種後の72歳男性死亡、4人目の救済認定

厚生労働省の感染症・予防接種審査分科会は10月17日、新型コロナウイルスワクチン接種後に死亡した72歳男性について、一時金を支払うことを決定しました。このニュースについて甲斐沼医師に伺いました。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

今回のニュースの内容は?

厚生労働省の分科会が認定した、新型コロナウイルスワクチン接種後に亡くなった72歳男性の死亡一時金の給付について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

厚生労働省の感染症・予防接種審査分科会は10月17日、新型コロナウイルスワクチンの接種後に死亡した72歳男性の事例について、「因果関係が否定できない」としてワクチン接種後の救済対象に認定しました。亡くなった男性は慢性腎不全の基礎疾患があり、ワクチン接種後に脳静脈洞血栓症を起こして死亡したとのことです。予防接種健康被害救済制度で新型コロナウイルスワクチン接種後の死亡事例が救済認定されたのは今回で4人目となり、遺族には死亡一時金4420万円などが支払われることになります。なお、10月17日までに新型コロナウイルスワクチンについての救済申請が4689件受理されており、審査で996件を認定、84件が否認、29件が保留となっています。

新型コロナウイルスワクチンの救済制度とは?

新型コロナウイルスワクチンの救済制度について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

ワクチン接種では一時的な発熱、接種部位の腫れや痛みなどの副反応以外にも、極めて稀ではあるものの副反応による健康被害で重大な病気や障害が引き起こされることがあります。そして、「予防接種によって健康被害が生じて医療機関での治療が必要になる」、あるいは「重大な後遺障害が起こる場合、その健康被害が接種を受けたことによるものである」と厚生労働大臣が認定した場合には、予防接種法に基づく救済制度によって医療費や障害年金の給付を受けることができます。

救済内容は健康被害の度合いやワクチンの区分によっても異なり、死亡一時金のほかに、医療費の支給、障害年金、遺族年金の給付などがあります。今回は死亡例だったため、死亡一時金の給付となります。予防接種法に基づく予防接種で健康被害が認められた場合には、予防接種を受けた段階で住民票を登録していた市町村の行政窓口に直接相談することができます。なお、申請には各種書類のほかにワクチン接種前後のカルテなどが必要になる場合があります。

新型コロナウイルスワクチン接種後に死亡した人の遺族会も

今回の新型コロナウイルスワクチン接種後の死亡例による社会への影響を教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

今回の件を受けて、新型コロナウイルスワクチン接種後に死亡した人の遺族らを支援する団体や弁護士らが、10月20日に遺族会の結成を発表しています。遺族会は、予防接種健康被害救済制度に被害者が申請する際に協力するほか、死亡とワクチン接種の医学的因果関係の解析を進めていく方針だということです。また、制度で補えない部分は国などに対して集団訴訟を提起する考えも示しています。

まとめ

厚生労働省の分科会が10月17日に、新型コロナウイルスワクチンの接種後に死亡した72歳の男性について、救済を認定したことが今回のニュースでわかりました。遺族会も結成されており、今後は救済制度についても注目が集まりそうです。

この記事の監修医師