新型コロナワクチン接種後に11歳児が死亡「因果関係は不明、ワクチン接種の継続に大きな懸念はない」
厚生労働省は10月7日の専門家部会で、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を受けた11歳男児の死亡を報告しました。このニュースついて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
新型コロナウイルスワクチン接種後の11歳児の死亡について
新型コロナウイルスのワクチン接種後に11歳児が死亡した件について教えてください。
中路先生
今回のニュースは、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種後に、11歳の男の子が亡くなった件についてです。ワクチン接種後の5~11歳の死亡例としては2件目で、3回目接種後でははじめての例となります。今回報告された11歳男児は、9月19日にファイザー製ワクチンの3回目接種を受けて、翌日から発熱や痙攣(けいれん)などの症状が現われ、24日に亡くなったとのことです。直接の死因は、急性脳症による敗血症でした。敗血症は体内に細菌が繁殖して組織障害や臓器障害を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもある病気です。亡くなった男の子は、もともと熱性痙攣を繰り返しており、体内からは新型コロナウイルスとは別のウイルスが検出されました。このことから、専門家部会ではワクチン接種と死亡の関連を「評価できない」とし、現時点でワクチン接種の継続に大きな懸念はないとしています。
11歳男児の死亡例への見解は?
新型コロナウイルスワクチン接種後の子どもの死亡例について、先生の見解を教えてください。
中路先生
今回、厚生労働省は11歳男児が新型コロナウイルスワクチンの3回目接種後に死亡したことを公表しました。5~11歳の3回目のワクチン接種は9月上旬から開始されており、9月29日までに約1万8000回接種されているとのことですが、接種後に子どもの死亡が確認されたのはじめてです。関係部会によると、現時点での情報ではワクチン接種と死亡の直接の関連は不明とのことです。どんなワクチン接種においても、接種後の副反応は軽度なものから重度なものまで一定の割合で存在します。そのため、ワクチン接種にあたってはリスクとベネフィットを考慮した上での判断が求められます。今後、安全な新型コロナウイルスワクチン接種に向けて、ワクチン接種後の副反応のリスク因子などの検討が望まれます。
新型コロナウイルスワクチンの接種後、子どもにみられる副反応は?
子どもが新型コロナウイルスワクチンを接種したとき、どのような副反応がみられるのでしょうか?
中路先生
新型コロナワクチンの副反応の多くは軽度や中等度で、子どもに最も多くみられるのが注射部位の痛みです。頻度としては、1回目接種で74%、2回目接種で71%、接種直後よりも当日の夜や翌日に痛みを感じる子どもが多いのが特徴です。また、ワクチン接種後の疲労感や発熱は、1回目接種よりも2回目接種の方が頻度が高くなり、38℃以上の発熱は1回目接種で2.5%、2回目接種で6.5%です。
現時点では、新型コロナウイルスワクチンによる安全性の懸念はないとされています。その一方で、海外では新型コロナウイルスワクチン接種により、軽度の心筋症を発症した例が報告されています。ただし、5~11歳の男の子は、それ以上の年齢の子どもに比べると心筋炎の報告頻度が少なく、万が一、心筋炎になっても入院による安静で自然回復する例が多いことがわかっています。
まとめ
厚生労働症は10月7日の専門部会において、新型コロナウイルスワクチン接種後に、11歳の男児が亡くなったことを公表しました。専門家部会ではワクチン接種と死亡の関連を「評価できない」としていて、現時点でワクチン接種の継続に大きな懸念はないとしています。