「急性大動脈解離で急死する原因」はご存知ですか？医師が解説！

「急性大動脈解離」とは？

心臓から出た大動脈は、外膜、中膜、内膜の3層構造となっていて、十分な強さと弾力を持っています。これがなんらかの原因により、内側にある内膜に裂け目ができ、その外側にある中膜に血液が入り込みます。このように大動脈が避けた状態を、（急性）大動脈解離といいます。急性大動脈解離は、急死する原因にもなります。そこで、この記事では急性大動脈解離の命に関わる重要な症状や、起こりやすい人の特徴などについて解説します。

急性大動脈解離で急死する原因

心タンポナーデ

心臓は心外膜に覆われ、その間に心のう液が存在しています。心のう液は心臓を保護し、外部からの衝撃や摩擦を和らげ、心臓の正常な動きをサポートしています。急性大動脈解離では、大動脈の内層と外層の間に血液が入り、動脈壁が剥離することが原因です。この血液が心臓の周りにたまり、心のう液が大量に増えることで心臓の正常な収縮・拡張が妨げられます。心タンポナーデが進行すると、胸の圧迫感、呼吸困難、血圧低下、頻脈などの症状が現れ、急死の原因になることがあるとされます。

脳梗塞

大動脈は枝分かれをして、さまざまな臓器に栄養を送っています。その大動脈に急性大動脈解離が起こると、それら臓器に影響が出ることがあります。解離した大動脈は、枝分かれした血管を圧迫し、ふさいでしまうことがあります。その結果、枝分かれした動脈が遮断されて血流障害による合併症を引き起こします。脳へ向かう血管が遮断されると、脳梗塞を引き起こし、手足の麻痺や呂律が回らないなどの症状を引き起こします。また、脳梗塞は最悪の場合は急死することがあります。

心筋梗塞

大動脈からは、心臓への血管も枝分かれしています。そのため、脳梗塞が起こる原因と同じく、急性大動脈解離が起こると、心臓への血管も遮断されることがあります。その結果、急性大動脈解離によって心筋梗塞が引き起こされることがあり、胸の痛みや締め付け感、圧迫感、焼けつくような感じなどの症状が現れます。心筋梗塞も最悪の場合は急死することがあり、急性大動脈解離の急死の原因となっています。